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シャープはなぜ、IoTベンチャー企業向けにモノづくり研修を行うのか

2016年11月4日

著者:広報M

IoTベンチャー企業を対象とするモノづくり研修「SHARP IoT. make Bootcamp supported by さくらインターネット」が、年4回開催を目標に11月からスタートします。シャープはなぜ、IoTベンチャー企業向けにモノづくり研修を行うのか。今回は、3人のキーマンにその狙いや背景についてお聞きしてきました。

 

「SHARP IoT. make Bootcamp supported by さくらインターネット」とは?

「SHARP IoT. make Bootcamp supported by さくらインターネット」は、IoTベンチャー企業を対象に、当社が培ってきた量産設計や品質、信頼性確保などの基本技術やノウハウを、当社の現役技術者が伝授するモノづくり研修です。加えて、この研修ではIoTに欠かすことのできないソフトウェアやサーバー技術、プラットフォームなどを国内データセンター大手のさくらインターネットさんに、スタートアップ向け資金調達のコツなどを投資ファンドのABBALabさんに解説いただきます。

※ スタートアップ:新規ビジネスモデルの開発により急成長を目指す企業

■第1回目のカリキュラム

schedule_w1500(クリックして拡大)

ベンチャー企業がモノを量産し、サービスを提供する。100年以上のモノづくりで培った当社のノウハウを活かし、そのお手伝いをする取り組みです。希望される企業に対しては、10日間の研修後、3か月から6か月程度の期間、量産仕様決定や量産立ち上げ、品質確認等を支援するプログラムもご用意しています。

詳細は、こちらのサイトをご覧ください。
http://www.sharp.co.jp/iot_make_bootcamp/

 

企画からゴミになるまで。モノづくりのプロセス全体を知ることが大切

20161016-a-1株式会社ABBALab 代表取締役 小笠原 治さん

“ハードウェアは必ずゴミになる。企画からゴミになるまで、プロセスの全体を把握し、適切な品質を設定することが大切”と話すのは、株式会社ABBALab 代表取締役の小笠原 治さん。

DMM.make AKIBAでモノをつくり、ABBALabで資金調達をすれば、今までモノづくりに関わらなかった人たちが、モノをつくって世界に売ることができる時代になりました。しかしIoT系のサービスにおいては、生産するハードウェアのオーダー数が違います。そこで大切なのは、プロダクトの品質を正しく設定することです。

シャープさんの品質の考え方を知り、自らのプロダクトの品質を正しく設定する。目指すべき品質が決まれば、工場などの外部パートナーとのやり取りの中で、スケジュールや費用の設定ができ、量産をスタートさせることができます。

工場特有の言葉や専門知識がわからず、うまくコミュニケーションが取れずに費用や時間を浪費する場面も多々あります。シャープさんがサポートすることで、ベンチャー企業と工場のコミュニケーションをスムーズにする効果があります。

“すぐにつくれる”だけでは世に出ません。人が使える状態までつくれる人は少ない。企画からゴミになるまで、幅広い知識を持つシャープさんがスタートアップの熱量や影響力を欲しがったのは、我々にとっても大きなチャンスだと思いました。

ABBALab
http://abbalab.com/

 

プレ開催に参加いただいた牧田さん。工場とのコミュニケーションで起こっていた問題とは

20161016-a-7株式会社tsumug 代表取締役 牧田 恵里さん

“スタートアップだから品質が悪い、ではいけない”と話すのは、7月に試験的に開催した研修プログラム(以下、プレ開催)に参加いただいた「スマートロック」を開発するハードウェアスタートアップ tsumug CEOの牧田 恵里さん。プレ開催に参加する前は、工場とのやり取りで困ることがあったそうです。

20161016-a-6

スマートロック(イメージ)

スタートアップと仕事がしたいと言ってくれる工場があることはとても嬉しかったです。ただ実際にやり取りをしてみると、何を伝えればいいのか、これが正しいのかと手探りの状態でした。他のスタートアップチームに聞いても、そのプロダクトに特化した考え方なので、自分のプロダクトと合っているかわかりませんでした。

プレ開催では、企画から設計、生産、出荷まで、全体の流れを知ることができました。工場と共通の言葉を知ることができて、これならモノがつくれると感じました。特に失敗例などの具体的な事例を聞けたのはすごく良かったですね。プログラムは1コマ90分ですが、質問が多くて120分以上続くことも。あまりに熱心な質問の数々に、後半のプログラムでは質問の時間をたっぷり取るなどの対策が取られたほどです(笑)

工場とのやり取りでわからないことを現役技術者に聞ける利点はもちろん、シャープさんにサポートいただくことで信頼が得られることもスタートアップには大きいと思います。

tsumug
http://www.tsumug.com/

 

シャープが狙うのは、スタートアップ支援を通した社内ベンチャーの風土づくり

20161016-a-3当社 研究開発事業本部 オープンイノベーションセンター 所長 村上 善照

“ベンチャー企業と共に新しいモノづくりを経験することで、熱い想いを社内に取り入れ、社内ベンチャーの風土づくりや有望な若手の発掘などに繋げていきたい。ベンチャー企業が苦悩する設計や品質設定など、シャープが培ってきたノウハウでお役に立てる”と話すのは、当社のオープンイノベーションセンター 所長の村上 善照。

プレ開催をしたことで、ベンチャー企業が持つ課題と、それに対してシャープができることが見えてきました。本来、社外には出せない踏み込んだノウハウや事例もご紹介し、大変好評をいただきました。

例えば品質について、シャープの品質基準をただ教えるのでは意味がありません。なぜその品質基準になったのかという”考え方”をご紹介する。そうすることで、自身のプロダクトの品質基準を正しく設定できるようになります。

研修プログラムには、工場とのやり取りに使用する「要求仕様書」をつくる演習があります。実のあるものにするために、その後の量産サポートまでしっかりとケアしていきたいと思っています。

創業から104年。「誠意と創意」を持って独自のモノづくりを続けてきた当社の新たなチャレンジです。時間はかかると思いますが、当社講師陣には単に教えるだけでなく、スタートアップ企業の熱量や新しいコトづくりへのチャレンジ精神を感じて貰って、社内ベンチャーの風土醸成につなげていきたいと思っています。この取り組みを継続するためにも、熱い想いを持ったベンチャー企業の方々にぜひ参加していただきたいと思います。

 

DMM.make AKIBAをちょっと拝見

今回お伺いしたDMM.make AKIBAには、シェアオフィスやプレゼンスペースである「Base」と、3Dプリンターや5軸CNC切削機、塗装、縫製、環境試験機、撮影機材など、様々な設備・工具が揃う「Studio」があります。

「Base」には、当社の3Dモーションセンサやほこりセンサなどを展示いただいています。IoTでは、人の行動や変化がサービスの起点になることが多く、センシング技術がとても重要です。クリエイティブなこの場所に置いていただいていることを知り、当社のセンサを使ったプロダクトが次々と生まれそうな予感がしてたいへんワクワクしました。

20161016-a-4

「Studio」も見せていただきましたが、これが本当にすごい。ここでつくれないものは、きっと世界中どこにいってもつくれないと思います。家の地下にあったら最高なのに。

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DMM.make AKIBA
https://akiba.dmm-make.com/

 

モノづくりとは、ただ機能を持った機械や道具をつくることではなく、それを使ったサービスを通して、生活を豊かにしたり、新しい体験を提供していくことだと感じました。SHARP Blogでは、「SHARP IoT. make Bootcamp supported by さくらインターネット」の今後に注目していきたいと思います。

(広報担当:M)

 

SHARP IoT. make Bootcamp
http://www.sharp.co.jp/iot_make_bootcamp/

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