8月29日、シャープ特選工業株式会社(以下、シャープ特選工業)は創業70周年を迎えます。障がい者関連機関並びに障がい者雇用法人をはじめ、関係する皆様のご指導ご支援に心より厚く御礼と感謝を申し上げます。
―なりたち―
シャープ特選工業のなりたちは、シャープの創業者である早川徳次氏の幼少期まで遡ります。1893年11月3日、東京に生まれた早川氏は母が仕事で多忙な上、病弱でもあったため、生後わずか1年と11ヶ月で出野家に預けられ、やがて養子になります。暮らしが貧しく、また継母に辛く当たられ、食事も十分に与えられない過酷な生活を送っていました。そんな彼に奉公先を紹介してくれたのが、近所に住む目の不自由なお婆さんでした。彼は、新生活への希望を与えてくれたそのお婆さんに対して強い恩義を感じ、生涯その恩に報いたいという想いを抱き続けていました。
その後、早川式繰出鉛筆の発明、国産第一号鉱石ラジオ受信機の開発などで事業を拡大していった早川氏のもとに、1944年、一つの依頼が届きました。それは日本ライトハウス※1の創始者であり、自身も盲目である岩橋武夫氏からでした。その内容は「戦争で目を失った失明軍人に対して、電気についての講義と実地訓練をしてほしい」というものでした。お婆さんへの恩返しを果たすべく依頼を快諾し、講習と指導を実施しました。これがシャープの障がい者雇用のはじまりとなりました。
※1 「失明者に希望のともしびを」という願いのもとに世界各地に作られている、盲人のための福祉施設。
そして今からちょうど70年前の1950年に、日本で最初の特例子会社※2となる「合資会社特選金属工業」を創立しました。当時はラジオ部品をプレスする加工作業を行っていました。
※2 障がい者の雇用の促進等に関する法律(1976年制定)」に定義されている、障がい者の雇用に特別の配慮をした子会社。資本や役員の構成、障がい者雇用率など一定要件を満たす場合、特例として、その子会社で雇用される労働者を親会社が雇用しているとみなして雇用率を算定できる。
今の「シャープ特選工業株式会社」に社名が変更されたのは1982年。同時期に、大阪市阿倍野区にある今の社屋も建設されました。
―早川徳次氏の想い―
「何かを施す慈善より、障がい者自身で仕事をし、自助自立できる環境を作ることが福祉につながる」
「私は思う。誰も彼も幸せであるためには、誰も彼も適職を持つということである。」
シャープが、障がいのある人を安定的に雇用してきた背景には、創業者である早川徳次氏の「障がいを抱えた人に働ける環境を作ること」に対する強い思いがあったのです。
―記念制作物―
シャープ特選工業では70周年を記念した制作物を作成しました。キャラクターデザインから翼の作成まで、全て社員全員で行ったオリジナルです。羽根にはひとりひとりの抱負が書かれています。こちらの制作物は、シャープ特選工業本社1階の展示コーナーに掲示されています。
創業70周年を迎える今日まで、シャープ特選工業は日々さまざまな業務を推進して自らの道を切り拓きながら、同時により多くの障がいを持つ方々が活躍できる社会づくりへの道を敷いてきました。現在、従業員は100名、うち60名が障がいのある人たちで構成されています。私たちシャープ特選工業の従業員は、シャープ創業者である早川徳次氏の想いを引き継ぎ、これからも創業者が重んじた「感謝の心」「人の和」「何糞の精神」を大切にし、仕事に取り組んでいきます。
(シャープ特選工業)
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