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「TEKIjuN」って何?② 調湿材「TEKIjuN」は様々なところで活躍します!-初の納入は島村楽器様へ-

2022年6月24日

著者:広報H

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島村楽器様へ調湿材「TEKIjuN(適潤)」ビーズ型を納入
(不織布袋に入った「TEKIjuN」ビーズを矢印の6箇所に設置)

前回は、「TEKIjuN」開発のきっかけやメカニズム、ビーズ型・シート型それぞれの特長などについて説明しました。今回は、その形状別の効果的な使用シーンや、初の納入事例などを紹介します。
引き続き、研究開発事業本部 インキュベーションセンターの鎌田、香村、越智に話を聞きました。

<前回の内容はこちら>

― 具体的にはどんな場所での活躍を想定しているのですか?

<ビーズ型>

(香村)ビーズ型は、工芸品・嗜好品の保管、食品の鮮度保持、試験機関や研究所など理化学用途での使用に向いています。

例えば、ギターやバイオリンの保管に用いると、乾燥による反りや割れを抑制し、ピアノに用いると、乾燥による歪みに起因する音階のズレを抑制します。ワインでは、コルクの状態を正常に保ち、適切な熟成を促します。美術品や宝飾品も湿度変動によるヒビ割れを抑制し、良好な状態を保ちます。

食品では、一般的に冷蔵庫は、20~40%RH程度の乾燥冷気が循環しますが、「TEKIjuN」を使うことで80%RH以上の湿度に調節することができるため、食品の鮮度保持効果が高まります。また、食品輸送時には、輸送箱内の水分蒸散による結露を抑制しますので、菌の繁殖リスクを下げることができます。

試験機関や研究所では、厳密な湿度管理が求められます。現在使われているデシケーター※1や、温度と湿度の両方を調整する恒温恒湿槽等の電源が必要な専用機器と異なり、「TEKIjuN」は、導入コストを大幅に削減できる(恒温恒湿槽は1台1千万円を超えるものもあります)ほか、電気代も不要、省スペースで容易に扱えます。デシケーターは一つの湿度帯しか調整できませんが、複数の容器に異なる湿度帯の「TEKIjuN」を入れることにより、複数の湿度を同時に調整することが可能です。

  • ※1  デシケーターは、化学実験室などで湿気を嫌う物(吸湿性のある試料や試薬、半導体電子部品や防錆部品など)を乾燥状態で保管するために用いる容器。防湿庫、デシケータとも呼ばれる。

<シート型>

(香村)シート型は、結露対策用品として、電設資材の湿度調節や輸送・倉庫などの物流シーン、あるいは建材などに有効と考えています。

例えば、配電盤等の扉の内面に設置すると、結露を抑制するため、内部の湿度が安定し、トラブルが減少します。

物流シーンでは、コンテナ・倉庫で保管する貨物を結露被害から守ります。実は食品のコンテナ輸送事故の約13%が結露濡れ※2なのです。

  • ※2 出典:一般社団法人日本海事検定協会の資料

また、室内や壁内の建材に用いる場合、特に、最近多く用いられている高気密・高断熱性家屋の壁内に使用することで、結露やカビを抑え、快適環境の創出と家屋の長寿命化に貢献します。

― 想定される使用シーンを見てもSDGsの達成に貢献する製品と言えそうですね。

(鎌田)そうですね。電源不要のため、省エネルギーとなりますし、食品の品質維持期間の延伸による廃棄ロス低減、結露対策による快適な住環境も実現する等、SDGsの達成に貢献します。

  • ・SDGs目標  7:電源不要の湿度調節技術として「省エネルギー」を促進
  • ・SDGs目標11:住空間、およびインフラでの湿度管理、結露抑制による「快適で衛生的な住環境の創出」
  • ・SDGs 目標12:食品、資材の寿命を長く保ち、「廃棄ロスを低減」

この食品の品質維持というのは、健康的な「食」や「水」の実現に繋がります。これは、当社が経営方針に掲げている「健康関連事業の強化」にも合致するため、現在、具体的な取り組みに向けた検討を進めているところです。 

 

― とても優れた製品なのは分かりましたが、目標湿度を維持するにはたくさんの量が必要なのでは?

(香村)いいえ、そんなことはありません。密閉空間1リットルに対して、ほんの1~2g程度(13~15粒)で十分です3。寿命も、目安ではありますが、半年~1年間は使用できます。

  • ※3 保管容器の密閉度や開閉回数、保管環境の温湿度によっては、使用量を増やしていただく必要があります。また、密閉空間の体積が大きくなりすぎると、効果が発揮できないことがあります。

― 開発する上で苦労したことやこだわったことはありますか?

(越智)実は、研究を進める中で、湿度調節によく使用されている材料を見つけたのですが、これらは樹脂に染み込みにくいことがわかりました。樹脂との相性が良く、さらに、調湿をするのに最も適切な材料の組み合わせを見つけるのにとても苦労しました。広く普及させるためにコストも考慮する必要がありますので、相当数のシミュレーションを重ねました。

研究開発事業本部 インキュベーションセンター 第ニ開発室の越智さん

今回、40~90%RHまで対応できるように「TEKIjuN」をラインアップしていますが、湿度帯によって調湿に適した材料が異なります。その上、性能面やコスト、製造時の管理面も考え、湿度帯ごとに細かく材料の組み合わせや比率を調整することで、各湿度帯へ対応可能なものに仕上げることができました。ここは、特にこだわったところです。

― その苦労を経て開発した「TEKIjuN」ですが、先日、お客様に納入したんですよね。

(鎌田)今年3月から4月にかけて、島村楽器株式会社(以下、島村楽器)様にビーズ型を納入しました。島村楽器様の店頭展示用アップライトピアノ全数(約1,500台)にてご使用いただいています。

島村楽器様店舗イメージ

― 島村楽器様に納入することになったきっかけを教えてください。

(越智)湿度に弱く、痛んで困るモノはなんだろうと検討する中、まず楽器に着目しました。そして、楽器関連の企業に直接、「TEKIJuN」をご紹介しました。2020年の後半だったと思います。研究者ばかりのチームでしたので商談に慣れておらず苦労しましたが、そんな中、興味を持っていただいた企業の一つが島村楽器様です。

しかし、効果があることを頭ではご理解いただけても、実績がありませんので、資料や説明だけではなかなかご納得いただけません。そこで、アップライトピアノの内部へ楽器に適したビーズ型を設置する実証実験を、季節や場所を変えて3回実施しました。

そのいずれの実証実験においても、ピアノ内部の湿度変動の抑制効果を十分に確認・評価いただけたことから、目標湿度50%RHのビーズ型「TEKIjuN」の納入が実現しました。

― シート型を含め、今後はどのように展開するのですか?

(鎌田)シート型は現在、実証実験中であり、早ければ今秋頃に製品化の見込みです。もちろん、ビーズ型も島村楽器様以外での展開も進めています。近いうちに、皆さんの身近なところで「TEKIJuN」が活躍するかもしれません。将来的には海外展開も考えています。

― 最後に、皆さんの今後の目標を教えてください。

(越智)島村楽器様からは、「湿度調整に困っていたので大変助かります」という声をいただきました。このように感謝されるような製品に携われることはやりがいになっています。さらに良い製品となるよう開発を進めていきます。

(香村)市場調査をすると、思っていた以上に湿度でお困りの方が多いことが分かります。そうしたお客様のお困りごとを「TEKIjuN」で解決することは社会貢献でもあります。しかし、事業として成り立たないと社会貢献は続けられません。これからも「TEKIjuN」による社会貢献が続けられるよう頑張っていきます。

(鎌田)今年1月18日に記者発表を行いましたが、多くのメディアでご紹介いただいた結果、私たちが想定していなかったシーンでの提案をいただくなど、その反響の大きさに驚いています。湿度調整といえば「TEKIjuN」と皆さんから言っていただけるように、事業を進めていきたいと思います。

研究開発事業本部 インキュベーションセンター 第ニ開発室の鎌田さん(左)と香村さん

― ありがとうございました。


まだ、スタートしたばかりの「TEKIjuN」事業ですが、容易に目標湿度に調整できるだけでなく、SDGsの達成にも貢献する画期的な調湿材です。そう遠くない未来に多くの場所で目にする機会が増えるのではないでしょうか。
シャープは、これからも健康で快適な生活のための環境作りに貢献していきます。ぜひご期待ください。

●「TEKIjuN」のお問い合わせ:Info_tekijun@sharp.co.jpまで

(広報H)

<関連サイト>
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■ニュースリリース
 目標湿度に調節・維持する調湿材『TEKIjuN』を島村楽器に納入
 固形状として世界初、密閉空間を目標湿度に調節・維持する調湿材『TEKIjuN(適潤)』を開発

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