【シャープ横断♪バトンリレー】第8走者◆オーストラリアで気づいたキラートークとは…!
こんにちは、SDS事業本部 アジア事業推進部で液晶テレビの海外営業管理を担当している堀内と申します。
同期の吉村さんからバトンを引き継ぎました。例え普段会う機会がなくても、いつでも気兼ねなく話ができるのは同期ならでは! ただ、久しぶりに電話がかかってきたときに、まさか英国にいるとは思わず、驚きました(笑)まだ15年目ではありますが、私にとってシャープでの経験はまさに「異文化衝突の連続」という印象です。受け取ったバトンを機会に、これまでの経験を振り返ってみたいと思います。
海外営業部門に配属と思ったら、販促部門!?
2008年シャープに入社し、初めに配属されたのは八尾で海外OEM営業を行う部門でした。海外に携わる仕事をしたいと思っていたので嬉しい配属でしたが、実際にやってみると分からないことだらけ。しかも当時は、リーマンショック直後ということもあり、私が担当した客先の売り上げは計画比30%程と散々な結果でした。計画というものは、達成しえないものなのか...と本気で思っていました。この時は、実務を覚えても結果らしい結果が出せずに歯痒かったのを覚えています。当時の上司も先輩も仕事をする姿が格好良くて、早く成長して戦力になりたいなと思っていました。
そして2年目の下期に組織変更があり、海外営業部で新たに立ち上がった販売促進を行うグループに配属されました。グループのミッションは、日本のノウハウを用いて海外で実売促進をすること。国内で経験豊かな上司や先輩と共に取り組むことになりましたが、「実売推進」「率先垂範」「徹底的に」「4つの箱(配荷・研修・展示・実売」等、これまでの海外営業部では聞いたことがない言葉が溢れていたのが、まず驚きでした。基本、海外営業は販売会社の「納入(セルイン)」を管理するので、「実売(セルアウト)」のために「販促」をするという意識はあまりありませんでした。そして、前例がない中でまずは結果を出すこと...そんなプレッシャーを受けながら、がむしゃらに試行錯誤する日々が始まりました。
海外向け実売販促を行うために奔走する日々
当時の雰囲気としては、実売や研修について海外営業部内で協議しても「それは販促の仕事でしょう。」と言われることもありました。共通言語が異なるのでかみ合わない事もあり、私の理解が乏しいことも相まって、同じ会社なのにこんなに文化が違うのか!?と衝撃を受けたのを覚えています。私自身も何度も怒られながら、くらいつかねば...と必死な時期でした。
まず大きな活動としては、日本で行っている「個展」を新たな販促策としてアジア販社で提案し、フィリピンで初めて行いました。複数店舗同時開催で行う一斉個展という形式で、ディーラー・販社・事業部で一丸となって取り組み、初めての事例ながら成功できたのが嬉しかったです。販促グループと海外営業担当両者で応援に入ったことで、営業+販促でもうまく連携することができました。トラックでのビラ配り、サンドイッチマンなど、現場で色々と手作りで工夫を重ねていきました。
その後、本部戦略として「PCI爆販戦略」が立ち上がり、海外での実売推進に取り組むことになりました。当時の事業本部長がアジアの大手販売店にトップ商談を行い、その後、商品研修と実売イベント(個展)を実施する形で、ASEAN販社と協力して進めていきました。この頃にはデモツールも、気流ボックス、静電気除去ボックス(通称「シャワシャワ」)、PCIゲーム(通称「パチパチ」)等、充実してきていました。
印象深かった英国とオーストラリアでのPCIイベント
海外で行ったイベントの中でも特に印象深いのが、英国とオーストラリアでのイベントです。
<英国での苦い経験>
英国では実売イベントに対する反応がアジアとは全く異なりました。当時の英国人の現地社長からは「その取り組みは英国では効果的ではない」と否定的なコメントを言われ、逆風の中での開催となりました。日本からは事業本部幹部も現地入りし販社社員に対して説明会を行いましたが、参加者のほとんどは足を組みながら話を聞いており、内心非常に冷や冷やしていました...(欧米なら日常的なことですので…これも文化衝突!)
肝心のイベントですが期待に反して来店客は少なく、3日間のイベントで最終日になっても1台も売れない事態になりました。「やばい、このままだと帰国できない・・」と絶体絶命な気分でしたが、最後の最後でデモを見てくれたロシア人ご家族と、現地在住日本人が1台ずつ空気清浄機を購入してくれて、なんとか販売ゼロを免れました。実を言うと購入してくれた日本人家族は、たまたまその時に英国に在住していた私の従姉だったのです。出張に行くことを事前連絡していたこともあって、イベントに会いに来てくれて、その際に空気清浄機を購入してくれました。(結果、助けられました。。)
ただ、このイベントでは英国人のお客様の購入は無かったので、文化も市場も違えば販売も難しい事を考えさせられました。
<オーストラリアでは「アレルギーでお困りですか?」がキラートークに!>
そんな英国での苦い経験後、オーストラリアで行われるPCIイベントを支援する機会が訪れました。シドニー近郊のモールで1か月間ブースを出展するイベントです。そのモールの店舗では、月に4台程しかシャープの空気清浄機を販売していませんでしたが、このイベントでは40台を目標に取り組みました。
まずは販売員の方々に研修会を実施し、モールでイベントブースを設営して、いざ勝負!
ところが最初の2-3日はお客様に話しかけても、中々販売に繋がりません。
ただ、接客を通して1つ気づきがありました。それは、お客様の多くは花粉アレルギーでお困りだということ。そこで、急遽ブースの看板訴求を “Let’s enjoy the clean air”から”Are you having trouble with allergy?” へ、より直接的に訴える訴求に変更。すると、自然とお客様が立ち止まるようになり、空気清浄機がどのようにアレルギー予防になるかを説明するうちに購入頂くお客様が出てきました。
更に、意外だったのはオーストラリアのお客様は質問したら最後まで答えてくれるということ。「アレルギーでお困りですか?」という一言から、会話のキャッチボールと応酬話法が進み、販売員も成約ができるようになっていました。(日本だったら、早々に「ありがとう、また考えてみるわー」と言って、立ち去っていくかもしれません。)
結果的に目標を大きく上回る98台を販売し、現地のニーズと施策が合えば販売ができる!という手応えを実感しました。そして、当時のオーストラリア販社の社長が初配属部門の部長だったこともあり、やっと何か貢献することができたと思えて嬉しかったです。
マレーシアを拠点にATOM活動を広げる
2012年からより現場に近いマレーシア(SEM)から、日本のATOM実売ノウハウをローカライズするというミッションに取り組みました。当時は海外向けの資料も何もないので日本の情報を参考に、ゼロから提案書や研修資料を作り上げていきました。日本語の独特なニュアンスを英語にするのは難しかったですが、相手が納得して実践できるよう、表現を工夫して取り組みました。
この時のチームの同僚は同期や同年代ばかりということもあり、それぞれが自由に施策を実践して、それを都度みんなで共有していました。もちろん成果へのプレッシャーもありましたが、仲間と切磋琢磨しながら前向きに仕事ができる貴重な経験でした。
研修ツールを詰め込んでマレーシアやシンガポールの客先を車で巡ったのは良い思い出です。バングラデシュやミャンマーなどの新興国でも、ATOM活動や実売提案が受け入れられて、実績に繋がった時は嬉しかったです。
現地のATOMチームを育成するために、各販社から選抜したリーダー育成研修会も実施しました。学んだノウハウを現地の言葉で実践してもらって、それを我々でサポートしていきました。回を重ねるうちに、各国に同じ志の仲間が増えていくのはやりがいもありました!現地リーダーの発案から「合展」や、日本でも例の無い「祭」など、ユニークな実売施策も発展し、現地メンバーの発想にも驚かされました。
また、NHKが「日本式ノウハウで差別化する日本企業」というテーマで、私が担当していたインドネシアを取材する事となり、急遽カメラの前でATOM研修を行いました。緊張しながらでしたが、インドネシアのリーダーと一緒に研修し、「お子様の目を傷つけないように爪を手入れしましょう!」と言っている姿をニュースで放映頂きました。
これを視聴した伯父が、昔シャープのATOM隊の研修を受けた時の話をしてくれて、当時の営業戦略書(手書き!)を見せてくれたのも興味深かったです。
インドネシアで「お客様」意識を変えさせられた
2015年からはインドネシア販売会社(SEID)へ異動することになり、これまでの実売関連の経験を活かして貢献するぞ、と意気込んで現地に向かいました。
堀内「わからないことだらけですが、頑張りますのでよろしくお願いします!」
と言ったところ、上司は、
上司「よろしく。まず習うより慣れて。なにか問題あったら教えて。」
と一言。
何かオリエンテーション的なものがあると想像していたので、勝手がわからないまま、販社での業務をスタート。それまでの実売&販促経験を活用して何か貢献できないかと思い、ちょっと良い商品にランクアップするNEW LIFE施策を企画し、当時の販社社長に提案してみました。それを見て、言われたのは・・・
販社社長「…あなたの言いたいことはわかるけど、なんかあなた本社の人みたいやな。まあ、やってみたら」。
モヤモヤした気持ちで現地社員と打合せ。なかなか前向きに協力してもらえず、
現地マネジャーA「・・ふーん、で、予算はどうするの?あなたが持っているの?」
という少し引いた反応で、実践はするけどあまり気乗りしない様子。
現地マネジャーB「日本人はいいよね、日本の部署に帰れる場所があるから。僕たちはずっとここで頑張らないといけないけどね。」
そこで「お客様」意識を持っていたのかもしれないということに気づきました。現地マネジャーも、若かった私だから敢えてズバッと言ってくれたように思います。それからは、現地社員と一緒に課題に取り組み、踏み込んで協議をしていきました。そして、販売への効果を確認していくにつれて、少しずつ販社の一員として受け入れられた感じがしました。
現地では業績への貢献に向けてどうすべきか現地社員と一緒に考える事が大切、と気づかされました。
液晶テレビでダイナミックな市場の変化を体験
その後、インドネシアで液晶テレビの担当をすることになりました。当時、液晶テレビはシェア3位で、競争も激しく計画達成も厳しい状況でした。ある時、受注が低迷し打つ手を見いだせない時、上司が突如「決めた。24型を3割引にする!」と言い、その場の全員が驚きました。常識的には24型市場は縮小すると誰もが思っていたし、それほどの値下げは赤字になるので取る選択肢ではなかったのです。
ところが、これを実践してみると客先も大量発注という形で反応。16,000台の販売計画のところ、30,000台を超える受注となり、在庫がないことに客先から多数のクレームを受けました。ただ、これを機に地方部でより安価な24型に需要があることが明らかになり、一気に市場が拡大。薄利多売するモデルと利益を取るモデルとですみ分けてモデルミックスを調整し、大型含めて液晶テレビの販売が伸長しました。そして、2017年12月に台数ベースでシェア1位を取ることに繋がりました。(…現在は3位ですが、挽回に向けて奮闘中です!)
一つの判断で市場も販売もダイナミックに左右される事と、時には大胆な決断をする事の醍醐味を実感する貴重な経験となりました。この経験は今の事業部営業としても活かされていると感じています。
事業部という立場で引き続き頑張ります。
ここまで書いてきたように「海外と日本」、「アジアと欧米」、「本社と販社」というような切り口を体験し、今では「事業部と販社」の切り口で異文化衝突を体験してきているなと思います。その中で、これからも新たな経験が生まれてくると思うので、それに揉まれながら引き続き取り組んでいきたいと思います。
長文に付き合って頂き、ありがとうございました!
次は、短期間ではありましたが、八尾の販促部門で一緒に頑張った
Smart Appliances & Solutions 事業本部 清潔ランドリー事業部 販売推進部の幸磨由子さん
にバトンを繋げたいと思います。
(堀内信吾/スマートディスプレイシステム事業本部 アジア事業推進部)
≪シャープ横断♪バトンリレー≫とは…?
みなさんの人脈を駆使しバトンのようにコラムを繋いでいくという、太古の昔からある数珠つなぎ企画!第8走者はスマートディスプレイシステム事業本部の堀内さんでした。第9走者は、堀内さんからバトンを託された幸さんです。お楽しみに♪