-固形状として世界初※1、密閉空間を目標湿度に調節・維持※2
調湿材『TEKIjuN(適潤)』を開発したことを発表しました

1月18日(火)、当社は 固形状のものとして世界で初めて、密閉された空間を目標湿度に調節・維持できる調湿材『TEKIjuN(適潤)』を開発したことを発表しました。本材料は、すでに展開中の適切な温度を保つ「適温蓄冷材」に続き、湿度に着目した新材料であり、快適な生活を支える技術となります。東京ビルで記者発表を開催し、メディア向けにオンラインでも配信しました。
発表後、本技術はテレビや新聞、Webなど多数のメディアで紹介されました。

『TEKIjuN(適潤)』(左:ビーズ型、右:シート型)

最初に、常務執行役員 研究開発事業本部長の種谷さんが、当社が、「人や社会に寄り添い、常に新たな価値を提供し続ける強いブランド企業 “SHARP”」を目指す中、「社会にインパクトを与える世界初 /世界一の独自技術により新しいエコシステムを構築し、全社及び社会へ貢献できる新規事業を創出/拡大する」とのコンセプトで研究開発を進めていることを述べるとともに、新規商品・ソリューション創出の事例、保有技術などを紹介しました。

種谷さん

次に、同 インキュベーションセンター 係長の越智さんより、調湿材『TEKIjuN』開発のきっかけや湿度調節メカニズムを紹介した後、提供する2種類の形状であるビーズ型およびシート型 『TEKIjuN』 の夫々の特長や活用シーンについて説明しました。ビーズ型については湿度調節効果、シート型では結露抑制効果を紹介する動画も交えて訴求しました。
最後に、調湿材『TEKIjuN』 を用いることで、多湿や乾燥によって劣化し、廃棄されていた資材や食料品の削減などで、SDGsに貢献できることも訴えました。

越智さん

会場では、開発品の展示に加え、バイオリンや野菜などを用い具体的な活用シーンを実感できる展示演出を行いました。

『TEKIjuN』 でほうれんそうの品質・鮮度を維持(左: 『TEKIjuN』なし)

 

■ 主な特長

1.固形状として世界初、密閉された空間を目標湿度に調節・維持できる調湿材
2.湿度制御性に優れる「ビーズ型」は、保管・保存対象物に最適な目標湿度を設定可能
3.吸放湿速度に優れる「シート型」は、急激な湿度変動に対応し、結露を抑制

木製品や生鮮食品など、多くの物品の品質・鮮度を維持するには、たとえば、バイオリンなどの木製楽器やカメラの場合は40~50%RH※3、ワインやお米は60~70%RH、野菜や果物などの青果は80~90%RHと、対象物により適切な湿度域で保管・保存する必要があります。
また、空間の湿度は外気温によっても変動するため、最適な湿度の維持には、乾燥剤に加えて空調機器などの電源を必要とするケースもありました。
しかし、新開発の固形状調湿材『TEKIjuN』は、電源を必要とせず、また、成分調整により、40~90%RHの範囲で任意に目標湿度を設定できることから、保管対象物に適した理想的な湿度環境を提供することが可能です。

保管・保存に最適な湿度

 

湿度制御性に優れる 「ビーズ型」

40%RH~90%RHの 『TEKIjuN』 「ビーズ型」

「ビーズ型」は、単位質量あたりの液体調湿材の含有率が高いため、湿度制御性に優れています。目標湿度を設定した状態で提供できます。たとえば、木製楽器の保管には45%RH型ビーズ、ワインの保管には70%RH型ビーズのように、対象物の保管に最適なものを利用いただけます。また、直径5mm程度の小さな球体から構成されるため、楽器ケースやカメラケース、ワインセラーなど、余剰スペースが限られた空間でも利用可能です。

木製楽器(バイオリン)の保管には45%RH型ビーズ(矢印が示す白い箱の中にビーズが入っています)
『TEKIjuN』 でカメラに適切な約40%RHに調節・維持

 

 

吸放湿速度に優れる「シート型」

「シート型」は、空気との接触面積が大きくなるように、『TEKIjuN』を微細化し、不織布と配合したもので、吸放湿速度に優れるという特性を有しています。一般的に、相対湿度が急激に上昇すると結露が発生しやすくなりますが、「シート型」は空気中の水分を速やかに吸収するため、結露を抑制することができます。一方、相対湿度が低下すると自ら放湿するため、湿度の急激な変化が緩和されます。
用途としては、電設ボックス内の電気機器の結露抑制、輸送用コンテナや倉庫内における段ボールなどの荷物の濡れ抑制に適していますし、軽く薄いため、住宅の壁の内部に組み込むなど、幅広い用途への利用が期待されます。加えて、たとえば、折り鶴の形に折ることもできるため、調湿機能を持ったインテリアとしての利用も可能です。

電装箱の結露防止に「シート型」 (矢印のところ)

 

※1 当社調べ(2022年1月18日)。
※2 周辺の温度変化に伴い、数%RH程度変動することがありますが、時間経過とともに目標湿度に近付いていきます。
※3 RH:相対湿度(relative humidity)。空気中に存在可能な水分の最大質量(飽和水蒸気量)に対する、実際に存在する水分の割合(単位:%RH)。飽和水蒸気量は温度で異なり、存在する水分が同一質量でも、温度が異なれば、相対湿度は変化します。

 

<関連リンク>

・ニュースリリース
固形状として世界初、密閉空間を目標湿度に調節・維持する調湿材『TEKIjuN(適潤)』を開発

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