あなたの○○教えてください!(3)思い出の家電(24)
これまで使ってきた家電と、その思い出をみなさんから投稿していただきました。
「そういえば、うちでもそんなことあったな」などと思いつつ、ほっこりしていただければ幸いです。
わたしは「電卓、液晶コンペット」
・私が小学校低学年の頃、毎週土曜の午後は習い事でした。
ある日、いつものように習い事へ通うため同級生の家の前を通ったところ、同級生が家の軒先で算数の宿題を電卓で計算しているのを見かけ、はっと驚いたのを覚えています。
子ども心に、なんかずるいとも思ったのですが、それが当時テレビCMでしか見たことのなかったシャープの液晶表示電卓「液晶コンペット」<EL-805>※1との出会いだったのです。
その時、目にした液晶ではっきりくっきり表示されていた数字(強調しすぎない7セグ※2)のことは、今でも覚えています。
算数の宿題程度の計算は、そろばん(暗算)でしたほうが早いのに、わざわざ電卓を借りてきて、何度も自身で試してみました。
当時は子どもだったためか、とんでもなく高価なものだろうと感じ、値段を知ろうという考えにすら至りませんでした。
※1 COS化世界初の液晶表示電卓。単三乾電池1本で100時間動作。COS:Calculator On Substratum の略で1枚の特殊強化ガラスの基材(Substratum)に、表示部、駆動(回路)部、キー接点などの計算機の全機能を一体化したもの。
※2 7つの棒状の表示から構成される8の字型の表示で、真ん中を一つ消すと0で、左下を消すと9が表示でき、0から9までを表示できます。
・私の義理の父は、現役時代に奈良の山間の町で自転車屋を営んでいました。
義父は新しいもの好きで、若い頃から家電製品を初め、自動車、バイク、カメラ、食器、動物ペットなどなど幅広く興味を持っている人です。現在は商売を引退しましたが、80歳を迎えても海釣りにはまり、奈良から伊勢までよく出かけています。そんな新しいもの好きの義父が、商売の会計計算用にと、今から40年以上前に購入したのが、世界初の「液晶表示電卓 <EL-805>」でした。
当時は、単三電池1本で長時間使用できる電卓としてかなり重宝していたようですが、義理の母は液晶表示部分にある「蓋(電源スイッチと兼用している部分)」が邪魔で数字が見難いと言い出し蓋部分を無理やり外そうとしていたそうです(笑)。
時が流れ、義理の息子となった私がシャープに務めているということで、「この電卓の価値が分かる者に渡したい」と数年前に思い出話と共に電卓を譲り受けました。
私は情報システム事業本部時代の奈良事業所に勤務していたこともあり、「この電卓の技術は、あらゆる分野で応用されるキーデバイスへと発展し、現在の液晶テレビなどにも繋がる『IEEEマイルストーン』の認定対象の製品」ということを承知していたので、まさか身近な人から譲り受けるとはと驚きでした。
保存状態もよく、今でも単三1本で問題なく作動し、簡易取扱説明書も比較的綺麗な状態で残っています。
一般的には単なる古い電卓ではありますが、私にとっては大事な宝物になり、将来私の息子へ義父母の思い出話と、シャープの歴史と共に引き継いでいきたいと思っています。