オススメの一冊(20)堕落論

みなさんから募集した、とっておきの書籍を紹介します。ご自身の参考や、ご家族に紹介したくなる一冊とめぐり会えるかもしれません。

堕落論

坂口安吾 / 古典名作文庫編集部 著 (千歳出版)

終戦直後に発表され、変わりゆく世の中に翻弄され路頭に迷う人々に、新たな価値観を与えたとされる名著です。

国語の教科書などで、書名や著者名だけでも目にしたことのある方は多いかもしれません。私も印象的な題名が長年記憶に残っており、大人になってから偶然書店で見かけたことをきっかけに読み始めました。

戦時中、社会を取り巻き、人々が心酔していたとされる、天皇を崇拝せよという「天皇制」と、国のために命をかけよという「武士道」の精神に背き、「堕落」することについて論じ、そして、

「堕ちる道を堕ち切ることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。」

と筆者は主張します。

勿論、現代の日本には戦争はありません。

しかし、不景気、災害、年金問題といった鬱々とした話題は絶えず、またそれらを解決するかつての天皇制や武士道といったような社会的な心の拠り所もありません。

本書は、そんな世の中だからこそ、社会の固定観念や、他人による主義主張に囚われることなく、自分にとっての本当の幸せを考え、自分自身の人生を生きる大切さを教えてくれます。

現代社会に対して、漠然とした不安感やどこか窮屈な想いに捉われている方は是非読んでみてください。

約80年前に刊行された本書ですが、はっと気付かれるようなセンテンスがきっと見つかるはずです。

 

 

 

 

 

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