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みんなが使いやすい家電を!シャープの「使い勝手」にこだわった製品開発への思いを聞きました

こんにちは、広報Uです。

みなさん、ふだん何気なく使っている製品やサービスで、「これ使いやすいな」または「使いにくいな」と「使い心地」について感じたことはありませんか?

毎日利用するものほど、使いやすい方がいいですよね。

当社には、使いやすい製品を作り出すために大事にしていることがあります。それは、「ユーザー中心設計」と「ユニバーサルデザイン」という考え方です。今回はそれらを製品開発につなげるために取り組む担当者の思いと、実際の製品例をご紹介します。


「ユーザー中心設計(UCD: User-Centered Design)」とは

国際規格(ISO9241-210 : Human-centered design for interactive systems)に基づき、作り手がお客さまの視点に立って考え、設計へ反映することで、お客さまが満足する製品・サービスの提供を目指していく考え方です。


当社ではこの考え方に基づき、設計における「UCD 8原則」を定めました。これを全社で共有し、製品開発のプロセスの中で、お客様の不満やニーズなどを調査しながら、製品の仕様や設計に反映させ、評価と改善を繰り返すことで「使いやすく」かつ「魅力的な」製品・サービスの実現を目指しています。

当社は、「ユーザー中心設計」の基本理念を以下の通り定めています。

シャープでは、ユーザー中心設計の取組みを通じて、使いやすくかつ魅力を感じる商品・サービスの提供を目指します。
提供する商品・サービスを通じて、より多くのユーザーに感動を体験頂き、豊かな暮らしの実現に貢献します。

「UCD 8原則」について

「ユーザー中心設計」の基本理念から、製品を使用する「ユーザー体験」の各ステップに合わせて、3つの「ユーザビリティ基本要件※1」を示し、その各基本要件に対応する「シャープのUCD 8原則」を定めています。

    ※1 3つのユーザビリティ基本要件:使ってみたいと思う、使いやすい、長く使い続けたいと思う

使ってみたいと思う

誘因性の原則

まず製品を知った/見た時に、「使ってみたい」と感じていただくことが重要です。
外観・機能などに、使うことへの興味を惹くような特長要素/オンリーワン要素を持たせる工夫が必要です。

第一印象の簡便さの原則

製品を手にした時、使う前から「難しそう」な印象を与えてしまうと、使う意欲も低下してしまいます。使う前から使い方がイメージでき、操作の簡単さ・手軽さを感じていただく必要があります。

使いやすい

確実な情報入手の原則

表示が見えにくかったり、音が聞き取りにくいと、操作を続けることさえ困難になります。操作の手がかりとなる情報を、感覚機能(特に視覚/聴覚/触覚)から感知しやすくする配慮が必要です。

理解・判断しやすさの原則

表示が見えたとしても、その意味が理解できなかったら次のステップに進めません。情報の意味や操作方法を容易に理解・判断できるように、わかりやすく情報提示する必要があります。

身体特性への配慮の原則

製品を操作した時に、体に負担なく楽に使っていただくことも重要です。
身体の関連部位のサイズや負担に配慮し、操作しやすく/扱いやすくする工夫が必要です。

快適なフィードバックの原則

製品を操作した後に、反応がなかったり、遅かったりすると、不快感や誤操作にもつながります。操作結果や状態を、適切に/心地よくフィードバックすることが重要です。

長く使い続けたいと思う

満足・愛着の原則

期待以上によい製品と感じていただけたら、満足・愛着感にもつながり、その後も継続して使い続けていただけます。
期待通り/期待以上に満足させる工夫・配慮が必要です。

安心・継続使用の原則

購入してから数年間の使用期間となりますが、お手入れ/メンテナンスがしやすかったり、信頼できるサポート等があると、安心して長く使っていただけます。
安心して長く使い続けられる工夫・配慮が必要です。

ユニバーサルデザイン(UD)への取り組み

ユーザー中心設計の基本理念に基づいて、ユニバーサルデザインにも取り組んでいます。ユニバーサルデザインとは、国籍や年齢・性別・障がいの有無などに関係なく、できる限り全ての人が利用可能であるように、製品・情報・環境などを作る手法です。開発する製品・サービスを、より多くの方々に気持ちよく使っていただけることを目指して、家電製品やデジタル複合機を中心に、ユニバーサルデザイン評価や調査などに取り組んでいます。

当社のユニバーサルデザインに即した家電

一般財団法人 家電製品協会は「ユニバーサルデザイン配慮家電製品情報」を公開しており、当社もここに提供メーカーとして紹介されています。この情報は9つの「UD配慮ポイント」を基準に掲載されており、当社家電製品は18種が対象となっています。(2022年7月現在)

9つの「UD配慮ポイント」とは、以下の9点です。

  1. ① 音声ガイドがついている
  2. ② 音声操作ができる
  3. ③ もしもの場合に役立つ
  4. ④ 家事の負担が軽減される
  5. ⑤ ボタンが触ってわかる
  6. ⑥ 文字やボタンが大きい
  7. ⑦ 報知音がある
  8. ⑧ 光って知らせる
  9. ⑨ 点字表示がついている/つけられる

これらのポイントに配慮して開発した製品の中から、一例として、当社の冷蔵庫をご紹介します。 2022年2月から発売した<SJ-GK50J/46J>は、9つのポイントのうち8つに対応しており、使いやすさにこだわっています。それぞれの配慮ポイントに沿ってご紹介します。

①音声ガイドがついている

②音声操作ができる※2

季節や使いかたに合わせて、節電方法やお掃除方法などの使いかたをアドバイスしてくれる「使いかたナビ」
食材を上手に保存できる冷蔵・冷凍術や解凍方法をアドバイスしてくれる「保存・解凍ナビ」

③もしもの場合に役立つ※2

見守りたい家族の冷蔵庫を登録すると、ドア開閉から安否をお知らせ。離れて暮らす家族や留守番中のお子様のようすをスマホで確認できて安心です。

④家事の負担が軽減される※2

旬の食材、買物メモで購入済みにした食材などから、おすすめメニューを教えてくれます。さらに献立相談履歴から、わが家好みのメニューも提案してくれます。メニューはスマホでも確認できます。
大容量冷凍室「メガフリーザー」の上段冷凍室には約20分の短時間で急速冷却する「作りおき急冷」を搭載。あら熱を取りたいときなどに便利!
    ※2 これらの機能は無線LANに接続し、クラウドサービス「COCORO HOME」と連携することで利用できます。

⑤ボタンが触ってわかる
⑥文字やボタンが大きい

⑦報知音がある
⑧光って知らせる

庫内の温度調整や、製氷の設定などを行う操作ボタン。大きい文字と押しやすい突起のあるボタンを設置しています。
ドアを開けっぱなしにすると冷気が逃げてしまうため、繰り返し報知音を鳴らすことで閉め忘れを防ぎます。またブザーに合わせて、庫内の明かりも点滅してお知らせします。

「UD配慮ポイント」は製品開発を行う上での大事な要素として取り入れられており、冷蔵庫以外にも対応した家電は数多く存在します。

ご紹介した「ユーザー中心設計」を推進している、品質推進室の佃・宮田・鎌村・角野に、製品・サービスのユーザビリティ (使いやすさ) 向上のための評価や施策、思いについて聞きました。

奥左から宮田さん・佃さん
手前左から角野さん・鎌村さん

ーなぜ「ユーザー中心設計」が必要なのですか?

(佃)「ユーザー中心設計」は、使う人のことを理解して、仕様や設計に反映していく考え方です。高齢者やハンディキャップのある方など、さまざまなユーザーのことをよく知り、理解することが必要です。しかし、自身が開発に携わった製品のことは十分に理解しているので、実際のユーザーがどのようなところを使いづらいと感じるのか、想像しにくいものです。このため、製品開発に携わる社員を中心に、ハンディキャップを体験する講習を実施しています。(画像は2019年12月実施の様子)


ハンディキャップのある人が製品にどのような不便を感じるのかを知り、新たな製品開発・改良に活かしています。最近は新型ウイルスの影響から、リモートでの体験実習を行っています。製品が使いやすいと、ユーザーの生活をより快適にすることができますし、ご満足いただければ、次もシャープ製品を選んでいただく可能性が高まりますので、当社にとっても重要な取り組みです。

ーお客様からはどういった声をいただいていますか?

(宮田)インタビュー調査やユーザビリティテストに参加いただいた方々からは、視認性に配慮して文字を大きくした商品について、「視認性を高くすると見やすくなるのは当然だが、見た目の美しさもほしい」といった声をいただきました。見やすくすることは当然のことで、そこからさらに「使ってみたい、使い続けたい」と思っていただける工夫が必要だということを改めて認識することができ、デザイン性も重要視した工夫・改善につながりました。

また、「昔から電化製品はアイデアや使い勝手の良いシャープが好きだ」「インタビュー調査を体験して、シャープの社風が好きになり、応援したい気持ちが高まった」という声もいただき、励みになっています。

ー当社では以前より、AIoT※3の取り組みの一環として、さまざまな家電を音声対応にしていますが、ユニバーサルデザインとの相性も良さそうですね。

(鎌村)AIoTは当社が以前より熱心に進めている取り組みのひとつです。AIoTの機能を持つ家電は、クラウド上のAIがたくさんのお客様の行動や好みを学習し、それぞれに適したサービスや使い方を提案します。毎日使うIoT機器がお客様一人ひとりに寄り添い、生活課題を解決してくれる存在になることを目的としています。

数ある機能の中で、音声対応は特にユニバーサルデザインに大きく関わる機能と考えています。例えば、製品の状態や、室温など、動作に関わる周囲の状況を音声で伝えたり、音声で操作方法を説明し手順を誘導したりするなどの機能があります。これらの機能は、目が見えない、または見えにくい状況での操作をサポートすることができます。また、最近の機種では、製品が一方的に通知を発するだけでなく、人が話しかけることでエアコンが温度設定をしたり、調理家電がオススメの調理方法を答えてくれたりするなど、より便利に使えるようになってきていると思います。

    ※3 「AIoT」は、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)を組み合わせ、あらゆるものをクラウドの人工知能とつなぎ、人に寄り添う存在に変えていくビジョンです。「AIoT」はシャープ株式会社の登録商標です。

ーユニバーサルデザインとして大事なことはなんだと思いますか?

(宮田)「少しでも多くのユーザーに使いやすくする」「メーカー側のUD配慮への意識を高める」ことが大事だと思います。

ユーザーの要求事項を調査して理解すること、そして製品へ反映する際は、分かりやすくも、さりげなく、かっこよく配慮することが重要と考えます。

ー今後の当社の製品をどのようにしていきたいですか?

(佃)シャープの製品やサービスについて、見ただけで「使ってみたい!」、実際に使って「使いやすい!」、さらに「また使いたい!」と、少しでも多くのユーザーにポジティブなイメージを持っていただけるような取り組みを続け、シャープファンを増やしていきたいです。

特に、まず「使ってみたい!」と思っていただくには、「使いやすさ」はもちろん、「機能」「デザイン」にもこだわる必要がありますので、シャープの様々な技術を融合し、より魅力的な商品を作っていきたいです。

当社が取り組むユーザー中心設計とユニバーサルデザインについてご紹介しました。皆さんのご自宅にある家電製品について、どんなところが使いやすく、どんなところが使いにくいか、という視点で観察してみてはいかがでしょうか。

広報U

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