「リサイクル設計研修」とは? …シャープは製品設計時からリサイクルに配慮した取り組みを進めています!
2023年5月22日
シャープは、洗濯機やテレビなどの使用済み家電※1をリサイクルし、回収したプラスチックを家電製品に再利用するなど、再資源化を進めています。(家電リサイクルについては以前のブログで紹介していますのでご覧ください。)
使用済みの家電は再資源化されているんです!家電リサイクル工場の様子をご紹介(1/2)洗濯機編
使用済みの家電は再資源化されているんです!家電リサイクル工場の様子をご紹介(2/2)薄型TV編
- ※1 ①エアコン、②テレビ(ブラウン管、液晶、プラズマ)、③冷蔵庫・冷凍庫、④洗濯機・衣類乾燥機の4品目
突然ですが、そのリサイクルの現場で一番大切にしていることは何か、分かりますか?
・・・それは「単一素材にまで分解すること」です。
例えば、ペットボトルはラベルやキャップを外して捨てていますよね。それは、材質が異なるプラスチックを取り除けば、単一素材のプラスチック「PET」だけになり、再生時に純度の高い再生プラスチックが精製可能になるからです。
様々な部品(部材)で構成され何年も使用される家電の場合、純度の高い再生プラスチックを再生するには、設計の段階でリサイクルを考慮しておくことがとても重要で、それにより、リサイクル作業の効率も上がります。
そこでシャープでは、こうした「リサイクル配慮設計の大切さ」を理解するため、製品設計者向けの「リサイクル設計研修」を定期的に行っています。
今回は、実際の研修の様子や、参加者の意識の変化などをご紹介します。
■「リサイクル設計研修」の内容
4月18日、洗濯機・冷蔵庫などの白物家電の商品企画/技術担当者など13名が参加し、大阪府枚方市にある当社関連会社の関西リサイクルシステムズ株式会社※2(大阪府枚方市、以下 KRSC)で研修を開催しました。
- ※2 関西リサイクルシステムズ株式会社(https://www.krsc.co.jp/):使用済み家電製品の再商品化等を事業内容として、当社と三菱マテリアル株式会社を中心に大阪府枚方市に1999年12月に設立(2001年4月操業開始)。担当エリアは、大阪府・京都府・奈良県・和歌山県(新宮市除く)・滋賀県(大津市のみ)。
午前中は、リサイクルに配慮した設計や、プラスチックを再生し、何度も回収・再利用するプラスチックの「自己循環型マテリアルリサイクル技術※3」の考え方などを学び、午後からリサイクル現場を見学しました。
- ※3 廃家電から回収された廃プラスチックを新しい家電製品の部材として繰り返し再利用すること、またその技術。当社は2001年4月の家電リサイクル法施行当初からこの技術を実用化しています。
現場には、「分ければ資源、混ぜればゴミ」というコピーが掲げられています。リサイクルの本質をよく表しています。KRSCでは、プラスチックに異物が混ざらないよう、人の手で解体している工程も多く、このような手間暇かけた作業によってリサイクルが成り立っていることを実感しました。
その後、実際に何年も使用されリサイクル工場に運ばれてきた使用済み家電の解体を行いました。
今回は全自動洗濯機の解体です。手作業で上蓋や外箱、水槽ユニットなどを解体し、プラスチック・金属などを選別するところまでを体験しました。ここでは、KRSCの担当者から解体時に苦労する製品構造なども説明いただきました。
なお、洗濯槽は単一素材でできている大きな部品なので、プラスチックの自己循環型マテリアルリサイクルに適しています。シャープはそこに着目し、使用済み洗濯機から回収した水槽プラスチックを調製して、洗濯機新製品の水槽に利用する取り組みを2001年から推進しています。何度も繰り返し再生利用できる品質が強みで、「水槽to水槽」のリサイクルの取り組みを続けた結果、水槽リサイクルはスタートから約20年を経て、現在4巡目に突入し、(詳細はブログご参照ください。→ 洗濯機水槽のリサイクルが4巡目に入りました!)2001年4月の「家電リサイクル法」施行以来、累計で約6,566t※4のプラスチック材料を再利用しています。
- ※4 2023年3月末までの実績。
この再生材は全自動洗濯機の新製品<ES-SW11H(6月22日発売)>、<ES-GV10H/GV9H/GV8H/GV7H(5月25日発売)>の水槽にも採用しています。● 洗濯機の製品情報はこちら
実習では大まかにプラスチック・金属・基板など5つの素材へと大別しましたが、実際の現場ではプラスチックだけで7種類に分別しています。
構造の違いがリサイクルのしやすさに大きく影響すること理解してもらえるよう、シャープ製洗濯機と比較しながら、異なる機種の洗濯機の解体デモも行いました。
研修の最後は、解体実習時に取ったメモを振り返りながらグループディスカッションと意見交換を行いました。
普段からユーザー目線を持つことを意識している担当者が、この研修を通して、新たに「設計がリサイクル(解体)のしやすさにも与える影響が大きい」ことを認識できたことが大きな一歩です。「リサイクルしやすい=メンテナンスしやすいという概念をもつことができた」という感想もあり、担当業務への意識向上にもつながりました。
さらに、「生産現場を配慮した設計は理解していたが、リサイクル現場への配慮は知らないことが多かった」「担当箇所がリサイクルで取り外しの手間がかかる事例であることが分かった」「構造を比較したことがリサイクル配慮設計を理解する上で役立った」など、今回の研修の目的である「リサイクル配慮設計の大切さ」が実感できたようです。
また、受講者が携わっている製品の最終地点を見られたことで、リサイクル現場への感謝が多く聞かれました。
今回KRSCからは、「ものづくりの上流のメンバーがリサイクルを体感したことは意義がある。ものづくりとリサイクルはトレードオフの関係になりやすいと言われるが、バランスをとりながら、今後より資源循環に繋がる製品を生み出してほしい」と期待の声をいただきました。
シャープは、「リサイクル設計研修」を通じて培ったマインドを意識しながら、「SHARP Eco Vision 2050」で掲げた「製品への新規採掘資源※5の使用をゼロへ」の目標に向かって挑戦し続けます。
- ※5 リサイクルをするにあたり環境配慮面で合理性のないものを除く
(SAS T/広報H)
<関連サイト>
■自己循環型マテリアルリサイクル技術
■関西リサイクルシステムズ株式会社
■製品情報:洗濯乾燥機
■SHARPBlog
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