【シャープ横断♪バトンリレー】第30走者◆WEBモニタリングサービス~EPISODE:ゼロ~

元部下の藤井さんが「バトンを渡したい」と言ってきた。

「アホか、こういう企画は若い世代がキラキラした話をするもんで、オッサンはええねん」

と一蹴したが、困った顔をしている。そういえば出産祝いも、新居引越祝いもしてないなぁと思い返し、引き受けることにした。

ということで、シャープエネルギーソリューション エネルギーマネージメント商品企画部の佐藤です。

私の尊敬するお笑いタレントの高田純次さんが、いいことを言っています。

「年をとって、やってはいけないことが3つある。 説教、自慢話、昔話」

しかし、今回編集部から「昔の経験やエピソードを具体的に書いてください」と言われたので、少し話をさせていただきます。何を書こうか過去を振り返っていると、色々あったなぁと思い出したので、10大ニュースにまとめてみました。


<個人的なシャープでの10大ニュース>

【1位】業界初「WEBモニタリングサービス」立ち上げ

武闘派の上司が販売会社に出入禁止で大ピンチ→風神雷神に救われる

【2位】今ではシャープ蓄電池の代名詞「AI制御」立ち上げ

太陽電池の専門家とAIの専門家が異文化コミュニケーションして、全く新しい制御を開発

【3位】業界初「クラウド蓄電池」を立ち上げ、蓄電池国内シェア1位になる

当時は他社比較表が作りにくいほど斬新な商品で、新規参入から3年で首位を獲得

【4位】中部電力と業界初「住宅用DR (デマンドレスポンス) の商用サービス」立ち上げ

中部電力とはその後も良好な関係を築き、今年Tech-Dayビジネスセッションが実現

【5位】オプトデバイス事業部時代を経て社内公募でソーラーシステム事業部へ異動

仕事の基礎は全てオプト時代に教わりました。同僚・先輩とは今でも良好な関係です

【6位】V2H (Vehicle to Home) 発売の記者発表でテレビに出る

知人に自慢したらスーツがダサいとダメ出しされ、大阪梅田でセミオーダースーツを購入

【7位】上司が日本語の通じない中国人になる

新しい上司は中国人♪ これ~はチャンス これ~はチャンス 勉強しなおそう♪

【8位】サイゼリヤでアイデアの神様に啓示を受ける

広い机に白紙にペン、謎のオペラを聞きながら考えていると、本当に降りてくるんです

【9位】コロナで在宅勤務を経験

私は賛成派。仕事終わって10秒でビールをプシュ!って生活、またしたいなぁ

【10位】部長になる

ふんぞり返ってハンコ押してりゃいいと思ってたけど少し違ってました



せっかくなので、10大ニュースの中からいくつかを、もう少し詳しく紹介します。

【5位】オプトデバイス事業部時代を経て社内公募でソーラーシステム事業部へ異動

私の会社生活は、オプトデバイス事業部時代から始まります。もともとシャープを志望した理由は「ソーラーに関わる仕事をして環境問題を解決したい」という思いでしたが、最初に配属されたのは電子部品事業本部の技術部で、省エネ効果の高い電源ICを開発していました。当初希望した部署ではありませんでしたが、別の形で環境に貢献できること、そして先輩や同僚が素晴らしい人たちだったことで、次第に仕事が楽しくなり、非常に充実した日々を送ることができました。

最終的には社内公募でソーラーシステム事業部へ異動しましたが、私の会社生活の基礎はすべてオプト時代に教わったと思っています。本当に感謝しています。その後、ソーラーシステム事業部で担当した太陽光発電の電力変換器(パワコン)には、オプト時代に携わったチョッパーレギュレータとの共通点が多く、当時技術者として培った知識が今でも大いに役立っています。

担当していた電源IC “チョッパーレギュレータ”

会社の基礎は全てオプト時代に教えてもらいました(右から2番目)

【1位】業界初「WEBモニタリングサービス」立ち上げ

バトンを渡してくれた藤井さんがWEBモニタリングサービスの話をしてくれたので、私はその十数年前の立ち上げエピソード(EPISODE:ゼロ)を紹介します。

当時の太陽光発電システムは、まだクラウド連携やHEMS(Home Energy Management System)という概念がありませんでした。そんな時代、大先輩たちは「太陽光発電システムの発電は天候に左右されるため、正常に発電しているかどうかをお客様が判断するのは難しい。私たちメーカーですら、過去の発電量や動作履歴がなければ分からないことがある。だからこそ、太陽光発電システムのデータを自動で収集し、メーカーであるシャープ自らが遠隔で稼働状況を見守るべきである」という大義を持っていました。そして、それを実現するサービスを立ち上げることになりました。

業界初、クラウド連携する太陽光発電システム&遠隔見守りサービス

しかし、電力モニターにネットワーク機能を搭載したり、サーバーシステム群を新規構築したり、バックオフィスの運用スキームを作ったりと、斬新すぎてソフトもハードも運用も開発要素が多すぎる。しかも当時のソーラーシステム事業部にはクラウドサービスを開発する技術部門がなく、上司である課長と担当の私の二人が、外部業者や社内の関係部門と手探りで調整しながら進めることになりました。

その課長は忖度や回り道が大嫌いな「武闘派」で、関係者との調整などせずゴールに向かって最短ルートを突き進む人でした。当初はそれで良かったのですが、ある時、販売会社の絶対的な権力者であったH専務(当時)の逆鱗に触れ、「二度と顔を出すな!」と突然まさかの出入り禁止に。まだ山ほど調整ごとがあったので、逃げ道はなく、選択の余地もなく、私が直接H専務とさまざまな調整ごとをすることになりました。今思い返しても、この時期が私の会社生活の中で一番辛かったと思います。絶体絶命の私は毎日辛すぎて、くじけるたびに手帳に「K(=くじけた)」印を付けていました。確か18個ぐらい書いたと思います。

でも、必死になってトコトンやっていると、不思議なもので誰かが助けてくれるんです。

上司を出入り禁止にしたH専務、そしてその頃にソーラーシステム事業部に移ってこられたM営業統轄(当時)。このお二人は、見た目が怖すぎるし口も悪いのですが、困りごとがあって相談に行くと、親身になって聞いてくださり、部下にトップダウンで指示を出していただくなど、本当に助けてもらいました。

ちなみに、このお二人は現在シャープを引退され、お二人ともある会社でご活躍されていますが、シャープ社員の間では今でも「風神・雷神」と信仰され(恐れられ?)ています。

風神・雷神に助けてもらいました

こうして立ち上げたWEBモニタリングサービス(2009年)は、その後、サーバー側に頭脳を持ち、家庭内の蓄電池を遠隔自動制御する“クラウド蓄電池(2014年)”に応用されました。それが、さらにCOCORO ENERGYのAI制御(2019年)、そして住宅用DRサービス(2023~2024年)へと進化していきました。それぞれの作品にも思い出深いエピソードがありますが、紙面の都合上、割愛させていただきます。

ここでひとつだけ言わせていただくと、上記の通り、過去5年ごとに“将来のあたりまえ”となる革新的な商品・サービスを立ち上げてきたという事実があります。ですから、次は2029年にSESJから“すごい何か”が発売されると私は予言します!

これは、先輩が見つけた勝手な法則ですが、後輩たちがその流れを汲んで、5年後には“すごい何か”を開発してくれると確信しています!

開発に関する話はここまでにして、ここからは少し異なる話題に移ります。

【7位】上司が日本語の通じない中国人になる

シャープの公用語が英語になるという宣言を聞いた時は、「自分には関係ないだろう」と思っていました。しかし、ある日、SESJの会長に鴻海系の中国人が就任。日本語が全く通じず、通訳の付き人もいない状態で、私がその会長に定期的に報告をすることになったのです。

新しい上司はフランス人♪ボディーランゲージも通用しな~い♪という歌がありますが、本当にそんな感じで、非常に困りました。でも、これは逃げられないと悟った私は、「ピンチはチャンス!」と自分に言い聞かせ、英語の勉強を始めることにしました。

私が選んだのはオンライン英会話。リアルの英会話教室より圧倒的に安いし(1レッスン25分間で約700円)、200人以上の講師から選べるんです。私は「きれいな方で、明るくて、私のしょうもない世間話に付き合ってくれて、英語の発音に癖が無く、土日の昼間に予約ができる人」というかなりワガママな基準で講師を選び、毎週楽しく勉強しています。皆さんにもおススメですよ!

オンライン英会話イメージ(複数社ありますが、私は“QQ English”をやっています)

【8位】サイゼリヤでアイデアの神様に啓示を受ける

私は企画部に所属しているので、新しいアイデアを考える機会が多いのですが、「皆で集まってブレストしよう!」というやり方では、経験上、無責任で薄っぺらいアイデアしか出ず、あまり上手くいかないことが多いです。誰か一人がトコトン考え抜いて、その案を有識者でブラッシュアップする方が、より良い結果になると感じています。

私の場合、アナログ脳のままで進化が止まってしまったのか、パソコンの前ではなかなか新しいアイデアが浮かびません。そのかわり、ある方法でトコトン考え続けていると、ある時にフッとアイデアの神様が降りてくるという特技を持っています。

その方法とは、落ち着いた場所で、できるだけ広い机にA4の白紙を置いてペンを持ち、静かな音楽を聞きながら考えるんです。私のお気に入りの場所は「空いているサイゼリヤ」。謎のオペラを聞きながら考えていると、本当にアイデアが降りてくるんです。私が関わった新商品・サービスの構想や、困りごとの解決策のほとんどがここで生まれました。

皆さんも、自分だけの「アイデアが降りてくる場所」を見つけてみてはいかがでしょうか。

これまでの会社生活を振り返ると、本当に周りの方々に恵まれていたなぁと改めて感じます。とにかく感謝の気持ちでいっぱいです。この感謝の気持ちを次の世代につなげていきたいと思います。

ということで、次は年齢をぐっと若返らせて、いつも明るくて、ほんわかした雰囲気を持つ

シャープエネルギーソリューション セールスプロモーション開発部
橋詰遥香さん


にバトンをお渡ししたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

(佐藤努/SESJ エネルギーマネージメント商品企画部)

≪シャープ横断♪バトンリレー≫とは…?
みなさんの人脈を駆使しバトンのようにコラムを繋いでいくという、太古の昔からある数珠つなぎ企画!第30走者はシャープエネルギーソリューション エネルギーマネージメント商品企画部の佐藤さんでした。第31走者は、佐藤さんからバトンを託された橋詰さんです。お楽しみに♪

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