あなたの○○教えてください!(3)思い出の家電(28)
これまで使ってきた家電と、その思い出をみなさんから投稿していただきました。
「そういえば、うちでもそんなことあったな」などと思いつつ、ほっこりしていただければ幸いです。
わたしは「FF式石油温風暖房機」
1980年代の半ば、寒冷地向けFF式石油温風暖房機<OF-356V>の商品開発をすることになりました。当初、製品は1万台程度の出荷だと聞いて、割と気楽に考えていました。
当時は、FF式石油温風暖房機の設計に関して右も左もわからないことだらけ。まずは電源トランスの仕様を自分で決め、基板パターン設計と電子回路設計に取り掛かりました。
製品開発のステップは、0次試作、1次試作、マイコン評価といったTS※1試作、ES※2試作、CS※3試作といくつかあるのですが、TS試作の頃に「電源クロックの検知の見直し」と「吸排気検知」の仕様を追加しました。当時、世間では暖房機での一酸化炭素中毒死亡事故が相次ぎ、その防止策が強く求められたためです。
※1 Test Sample : 機能サンプル
※2 Engineering Sample : 技術サンプル
※3 Commercial Sample : 量産品と同等のサンプル
具体的には、この暖房機の吸排気配管に微弱電流を流して配管状態を常に監視し、異常時(配管が外れたり穴があいたりの場合)に、暖房機を強制STOPさせる機能を追加しました。
この種の「強制STOP機能」が搭載された製品はこの機種が最初で、後発のFF式石油温風暖房機は、全機種安全性能第一の設計方針で、同様の機能が搭載されたと記憶しています。
思い返せば、結構、短期間での仕様変更と機能追加でした。当時の暖房機用電子回路には、4種類の定電圧源(駆動回路用、C-MOS用、マイコン用と吸排気検知回路用)が共存し、互いの干渉をキャンセルするための回路実装が大変でした。
製品を出荷した後、暖房機事故の報告もなく、後日、北海道・東北地方を中心によく売れたとの営業報告を聞いた時、初めて安堵したことを覚えています。