【シャープ横断♪バトンリレー】第2走者◆タクシーの中で言われたひとこととは…

近藤さんからバトンが飛んできました。

確かに、SDS(スマートディスプレイシステム)事業本部は、音響・オーディオ事業を引き継いでいますが、リレーの中継ぎが僕でいいのか、幾ばくかの不安が。

僕のシャープ人生は、1996年4月にスタートしました。入社式で覚えているのは、久保副社長(当時)ご訓示の「なんでもいいから、1年に50冊本を読め」という言葉だけですが、これは、今も守っています。1週間に1冊ペースなので、習慣にすれば、ハードルは下がります。もちろん、「なんでもいい」というのが肝ですが。

研修後は、奈良の情報システム事業本部・携帯システム事業部の商品企画部に配属されました。「携帯」といっても、携帯電話ではなく、新携帯情報ツール「ザウルス」を意味していますが、イメージが判らない方も多いでしょう。現代風に描写するなら、通信機能のないスマートフォンです。タブレット形状で、メール、ブラウザ、表計算、スケジュール、アドレス帳といったアプリをプリインし、PDA(Personal Digital Assistance)というカテゴリーを確立していました。

「液晶ペンコム」ザウルス<PI-3000>

配属されて、すぐに商品企画はできないので、まずは書面作成ですが、日本語が拙く、伝えるべきことを伝えることができないのです。書類を書いて、職場コーチに見てもらうのですが、ほぼ全文に赤ペンが入る惨状。出来の悪い書面を、毎日毎日、根気強く添削してくれたコーチには感謝の思いしかありません。お陰で、何とか社会人として生きていけてます。

もう一つ、配属時の課長から頂いた言葉、「考える時間が欲しければ、手を早くしろ」は、鮮明に記憶に残っています。要領が悪いのを見かねて、声をかけてくれたのでしょうけど、作業スピードそのものを磨くことに加え、完成形をイメージして最短距離を走り、考える時間を最大限確保するというのは、的確なアドバイスだと思います。最近は、脊髄反射の仕事ばかりですが。

商品企画として最初に関わったパワーザウルス<MI-500>では、本体に内蔵する表計算(xls互換)アプリを担当しました。以後、<MI-C1>、ザウルスアイゲッティ<MI-P1、P2>等のザウルス本体、Windowsアプリ(ザウルスパワーコネクション:ザウルスとPCの間でWordやExcelの送受信、Outlookとザウルスのアドレス帳/スケジュールをシンクロナイズするソフト)に加え、周辺機器(電子辞書カード)、メールマガジンサービス(ポストマガジンクラブ)、電子書籍サービスの立上げにも参画しました。

<MI-C1>

ポストマガジンクラブでは、ザウルス使いこなし術を連載しましたが、3,000人を超える読者登録を頂き、一般の方の目線を意識した文章を学ぶよい機会となりました。電子書籍サービスは、1999年に業界の最先発組としてスタートし、現在のCOCORO BOOKSに繋がっており、思い入れが深いです。当時、仕様を担当したビューアアプリの操作系統が今でもあまり変わってないのは嬉しいです。

仕事は充実していましたが、インターネット黎明期、世の中の先頭を走って、開拓してきたザウルスの市場は、当時0円で販売されていた携帯電話のビジネスモデルに破壊されました。

とある展示会でお客様から「携帯電話のメールは何もしなくても降ってくるのに、ザウルスのメールは、何でわざわざインターネットにつながなきゃいけないの?」と聞かれて勝負があったと感じました。「ダイヤルアップで接続して、メールサーバにアクセスすることで云々」という僕の説明は響かなかったと思います。

<MI-E25DC>という(僕にとって)最高のザウルスを世に出したのち、東広島(通信システム事業本部)に異動し、スタッフ職に転じました。

<MI-E25DC>

以降、市ヶ谷(海外情報通信営業本部)、西田辺(経営企画室)、矢板(AVシステム事業本部)、堺でスタッフ業を続けて、現在に至ります。

SDS事業本部は、TV、BDといったビジュアル機器とオーディオ機器を担当しています。人間の五感による情報判断は、視覚が80%、聴覚が10%を占めると言われており、映像と音が、情報判断の最重要な感覚と言えます。だからこそ、動画コンテンツは、映像だけでストーリーが判るか?音声だけを聞いて伝わるのか?ということを意識しなくてはなりません。8KとAIoTの両方を担うSDSは、今後も音と映像の両方を追求していきます。

21年度、SDSではminiLEDを採用したAQUOS XLED、ウェアラブルAIスピーカー、窓口業務用スピーカーシステム等、新しい需要を創造する新カテゴリー商品を投入しました。世の中にない商品を創出し、人の生活をより豊かなものに変えていく、というのが、入社動機でしたが、本部スタッフとして、企画とは違う形で商品に関わっていても、その気持ちは変わりません。22年度も、SDSは新しい需要の創造に取り組みます。

これまでの26年を超えるシャープの生活の中で、数字と文字の2択なら、文字で仕事をしてきましたが、100人が読んで、100人が誤読しない文章を書きたいし。同じことを伝えるなら、1文字でも削りたいし、読み返しが不要なリズム感と流れは欲しいし(脳内音読)、漢字とひらがなは心地よいバランスを保ちたいし・・・ という訳で、まだまだ、言葉の修行は続きます。

長く働いていると、色んなことがあります。経営危機の頃、矢板の酒場でたまたま隣席になった方と話してたら、同じ寮だと判明し、それではと一緒にタクシーで寮に戻ることになりました。車中の会話で僕の職種がバレた途端に、突然空気が重くなり、「お前らがしっかりしないから、こんなことになるんだ」と罵倒されたことは、今もまだ深く胸に刺さっています。また、仕えた方が退任される際、いつか来る日が、たまたまその日になっただけなのに、しみいるものを感じながら見送ったことが思い出されます。

それでも、様々な職場で出会った方とのコミュニケーションの記憶は財産ですし、仕事で接点のあった方々には、困ったとき部門を超えて助けてもらっています。いつもみんな、ありがとう、です。
そんな仲間の中から、

渉外部の天野さん

に次のバトンを託すことにいたします。

(福永健一/スマートディスプレイシステム事業本部 戦略推進部 部長)

Illustration by Kenichi Fukunaga
(昔、マンガのアシスタントのバイトをしていたのですが、久しぶりにペンを握りました)


≪シャープ横断♪バトンリレー≫とは…?
みなさんの人脈を駆使しバトンのようにコラムを繋いでいくという、太古の昔からある数珠つなぎ企画!第2走者はスマートディスプレイシステム事業本部の福永さんでした。第3走者は、福永さんからバトンを託された天野さんです。お楽しみに♪

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