SHARP Blog

8K技術で医療の世界が変わる。「見えなかったものが見える」別次元の世界。

2018年2月2日

著者:z

 

「8K技術の先端医療への応用」
(「CEATEC JAPAN 2017」:シャープブースにて、パプリカ内部を撮影したデモの様子)

 

昨年、当社は8Kについて多くの情報を発信してきました。その中でも9月29日のニュースリリース「8K映像モニターを医療分野に展開 8K硬性内視鏡システムへの活用」は、8Kの応用事例として、家庭のリビングで観る液晶テレビとは全く違った驚きと、8K技術の広がりをお伝えできたかと思います。

 

医療現場というと、最近、テレビドラマで描かれる手術室のシーンでも、映像モニターを目にすることがあります。こうした場面で8K映像モニターはどのように活用されるのか、当社で8Kの社会実装を推進している研究開発事業本部の吉田さんに聞きました。

 

研究開発事業本部の吉田さん

 

--そもそも、8K映像モニターは、なぜ医療現場で用いられることになったのでしょうか?

 

(吉田)今から10年ぐらい前のことだったと思います。高精細な内視鏡の研究開発を行っていた、一般社団法人メディカル・イメージング・コンソーシアム(MIC)の理事長で医師の千葉敏雄先生が、当時勤務されていた国立成育医療研究センターの近くにあるNHK放送技術研究所(東京都世田谷区砧)でスーパーハイビジョンの研究が行われていたのをご覧になり、NHKと共同開発していた当社のディスプレイをお貸しするなどして医療界とのお付き合いが始まりました。

そして、このコンソーシアムとの共同開発により「8K硬性内視鏡システム」が完成しました。事業化にあたり、2016年にカイロス株式会社が新設され、大学病院などの医療現場へ導入が始まりました。

 

世界初 スーパーハイビジョン対応直視型85V型液晶ディスプレイの開発に成功
(2011年5月19日NHK放送技術研究所にて公開)

 

--念願の事業化がスタートし、「8K硬性内視鏡システム」への活用が実現しました。昨年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2017」で当社の展示をご覧になった関係者の反応はいかがでしたか?

 

(吉田)やっと実用化できたのですが、従来、医療現場で使用されていたフルハイビジョンのモニターや、4Kモニターの映像と比較しても、「これまで見えなかったものが見える」「微細な血管や神経まで見える」「血の色がはっきり見える」と驚きの声をたくさんいただきました。

 

--家庭用のテレビでは、解像度や色調の鮮やかさを重視する傾向にあるように思われるのですが、医療の現場で映像モニターに望まれるスペックとはどのようなものですか?

 

(吉田)人間の体の中にあるものを視ていくわけですから、本来の色が忠実に表現されることが大切です。赤い血の色も単に赤いわけではなく、血管の場所や状態により色々あります。現物と同等か、より自然な色調で、大きくはっきり視られるようにする必要があります。

 

--この8K映像モニターは、当社が長年、自然の色にこだわってきた映像技術が生かされていると言えますね。

最後に、8K映像技術を応用した内視鏡システムに期待するところをお聞かせください。

 

(吉田)いくら革命的で良いシステムであっても、高価格のため導入が進まないのでは意味がありません。多くの医師や患者さんのためにも、よりスピーディーな普及が進むことを目指さなければと思っています。

天理で生まれ育ったシャープの8K技術は、研究開発のフェーズから、実際に社会に役立てる「社会実装」のフェーズに移行しています。8Kの液晶から始まった当社の8K技術を、様々な分野のパートナーと組んで面展開し、新たな産業への展開を進めます。今回の医療現場への応用はその第一弾ですが、今後、工業分野、インフラ分野などに続々と展開していきます。技術には事業化できるタイミングがあって8Kはまさに今が旬です。このタイミングを逸しないよう、関係者と連携しながら、早期の社会実装に向け取り組んでいきます。

 

研究開発事業本部のあるシャープ総合開発センター(奈良県天理市)
今日もここで、多くの技術が生まれています。

 

当社の8K映像技術が、医療現場をはじめ次世代を担う医師の教育用など多方面に活用され、医療分野の技術革新が進む期待が高まりました。

実際の、医療現場への導入について、次回のBlogでレポートします。

 

関連サイト:SHARP 8K World

http://www.sharp.co.jp/corporate/8k/

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(広報担当 Z)

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