“One SHARP”で実現!外国人技能実習生受け入れ企業向け スマートフォンレンタルサービス「J-STAY」がいよいよスタート!
2018年9月6日
外国人技能実習制度をご存じでしょうか? 日本の技術や技能を学びたい外国人が日本企業と雇用関係を結び、実務を通じて技術・技能を修得し、帰国後に母国の経済発展へ貢献することを目指す公的な制度です。
当社は、外国人技能実習生を受け入れる企業向けに、スマートフォンレンタルサービス「J-STAY」を開始しました。どのようなサービスなのか、当社がこのサービスを提供する意義は何か、企画開発に携わった通信事業本部 アフターサービス統轄部の吉村さんと岸さんにお話を伺いました。
吉村さん(左)、岸さん
「J-STAY」サービスの仕組み
―受け入れ企業、実習生、当社の関係性とサービスの仕組みについて教えてください。
(岸)実習生受け入れ企業向けに、当社のスマートフォンとデータ通信用SIMカード※1をセットでレンタルするサービスです。受け入れ企業はそれらを実習生に貸し出す仕組みになっています。レンタル契約は受け入れ企業と当社との間で行われるため、実習生は渡航前に申し込み手続きをするだけで、来日してすぐにご利用いただけるのがポイントです。
※1 データ通信専用SIMカード。音声通話には、別途SNSなどのアプリケーションのインストールが必要です。
開発の背景とサービスの概要
―サービスを始めようと思ったきっかけはなんですか?
(岸)来日する実習生が右肩上がりに増えていることが背景にありました。2020年には60万人を超えると推測しています。そうした状況にあって、当社として何か貢献できることはないかと思い、受け入れ企業に話を伺ったり、実習生にアンケート調査を行っていただいたりしました。その結果、実習生の皆さんが慣れない環境でのスマートフォンの個人契約を躊躇されている場合があることや、慣れ親しんだ母国語で端末を操作したいと思っていることがわかったんです。その一方で、受け入れ企業からは、実習生の皆さんとのコミュニケーションを深めたり、学習を支援するツールがほしいとのご要望を耳にしていましたので、当社にしかできないサービスで橋渡しをしたいと思っていました。
(吉村)受け入れ企業では「J-STAY」の仕組みを活用し、実習生への緊急連絡や一斉通達などにお使いいただけるので、コミュニケーションが深まるとともに、業務の効率化が図れます。さらに、eラーニングを活用した学習支援も効果的です。というのも、実習生の皆さんは来日して1年後に技能実習に関する基礎級の試験を受け、合格した人だけがさらに2年間の実習に進めるという仕組みになっているため、関連知識や日本語の習得が大きな課題となっているんです。「J-STAY」は、そのスキルアップの後押しや人材育成に繋がります。
(岸)実習生の皆さんにとっては、試験合格に向けた学習支援が心強いサポートになることはもちろんですが、母国のご家族や同時期に日本に来ている仲間と気軽にコミュニケーションが図れることも、大きな心の支えになると思います。先ほど、慣れ親しんだ母国語で端末を操作したい実習生が多いと言いましたが、実習生の主な出身国は、ベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイだとわかりました。
(岸)そこで、「J-STAY」の端末は8か国語(ベトナム語、中国語※2、タガログ語、インドネシア語、タイ語、ポルトガル語、英語、日本語)に対応したんです。これまでは、日本語と英語の2か国語のみの対応でしたから、一気に6か国増えたわけです。ソフト開発部門が開発を行い、さらに、本当に違和感のない表示内容になっているか、それぞれの国の出身者に表示画面を見てチェックしていただくなど、試行錯誤を重ねました。 ※2 中国語は簡体字のみ
中国語と日本語の表示画面
―レンタルする機種やサービス内容、料金などは、どのようにして決めたのですか?
(吉村)どんな使い方をしているのか、どの程度のデータ容量があればいいのか、どの価格帯なら利用しやすいのかなど、アンケート結果を参考にしました。今回、端末として採用した「AQUOS sense lite(SH-M05)」は高い機能を備えていますが、リーズナブルな料金設定を心がけました。さらに、レンタルの仕組みを取り入れたので、初期費用がかからず、個人契約の煩わしさからも解放されます。実習生の皆さんに喜んでいただける、当社ならではのサービスが実現できたと思います。
当社ならではのサービスが実現できたわけ
―当社ならではのサービスとは、具体的にどのようなことですか?
(岸)「端末、SIMカード、アフターサービス」の3つをセットで提供するということです。SIMカードのみ提供するサービスは他にもありますが、端末とセットで、3年間のレンタルサービスを提供しているのは当社だけです。
―他社が手掛けていないのには、何か理由があるのでしょうか?
(吉村)すべての仕組みを一社でカバーするのが難しいのかもしれませんね。当社は端末(スマートフォン)を製造していますし、アフターサービス(保守契約)も手掛けています。また、当社は、ロボホン事業においてMVNO事業者※3としてモバイル通信サービスを提供していますので、それを「J-STAY」にも活用できます。さらに端末をレンタルで提供できれば、初期費用がかからず費用面での負担が軽くなり、より多くの方に利用いただけると考えました。以前から複写機のレンタル事業を行っているグループ会社と連携することで、その仕組みを活用することができたんです。
※3 MVNO (Mobile Virtual Network Operator) 携帯電話などの無線通信インフラを他社から借り受けてサービスを提供している、仮想移動体通信事業者
―なるほど。当社は個別の事業を強化すると同時にグループ全体で協力しあう“One SHARP”の考え方を大切にしていますが、まさに“One SHARP”で実現されたわけですね。ご自身のこれまでの経験も活かせましたか?
(吉村)そうですね。これまで、ネットワーク関連の保守サポート、法人向けコールセンターの立ち上げ、携帯電話の修理サービスなど、サービス関連の業務に携わってきました。これらの経験から得た知識やスキルが大いに役立ったと思います。ただ、それと同時に社内連携の大切さを痛感することも多かったですね。今回、商品の出荷にも関わることになったのですが、その分野は門外漢なので苦労しました。他部門の皆さんの協力を得て、形にすることができました。
(岸)私は入社してすぐ、現在の部門に配属となりました。ちょうど10年目になります。最初の3~4年は携帯電話の品質管理業務を担当し、それ以降は主に新規商材のサービス体制の構築に携わってきました。常に新しいことに挑戦する環境なので、勉強することが多く大変でしたが、そうした積み重ねが「J-STAY」の立ち上げに役立ったと思います。今回もチャレンジの連続で苦労もありましたが、いろいろな方々にご協力いただき、感謝しています。
―「J-STAY」の誕生は吉村さんや岸さん達の熱意や努力、周囲の皆さんとのチームワークの賜物ですね。ところで、5月24日のニュースリリースで「J-STAY」を発表してからの反応はいかがですか?
(吉村)一緒に事業をやりたいとのご提案を数社から頂いたときは嬉しかったですね。他にも、たくさんの企業から「詳しい資料がほしい」などのお問い合わせを頂きました。なかには具体的なご要望もあり、関心の高さを実感しましたね。
今後に向けた期待
―いよいよサービスが開始されました。今後の展開に向けて、ひと言お願いします。
(吉村)日本を訪れる海外からの実習生は今後もますます増えると思います。「J-STAY」の「J」はJAPAN、「STAY」は滞在です。「皆さんが母国を離れて日本に滞在されている間、母国のご家族や一緒に日本に来た仲間、実習先企業とのコミュニケーションを深め、安心して実習に取り組めるお手伝いがしたい」そんな思いをこめました。当社ならではのサービスで、実習生の皆さんにも受け入れ先の企業にも喜んでいただき、世の中に貢献していきたいと思っています。
(岸)外国の方がシャープのスマートフォンを使っている姿が見たいです。「J-STAY」を通じて、そんなシーンが増えると嬉しいですね。
―吉村さん、岸さん、ありがとうございました。
話を聞きながら、自分が母国を離れ一人日本に来た実習生だとしたら・・・個人契約しなくても、母国語でコミュニケーションが楽しめる、使い勝手のいいスマートフォンがあるなら、ぜひ使ってみたいと思いました。また「端末、SIMカード、アフターサービス」をセットで提供する当社ならではの仕組みが、“One SHARP”の考え方をベースに実現したと思うと、ちょっと嬉しくなりました。モノづくり、ソフト開発、アフターサービス。 それぞれ分野は違っても、お客さまの笑顔を目指して取り組んできた志は同じです。その思いを一つに結集することで、新たな喜びや社会貢献に繋がったのだと知り、同じ社員として誇らしい気持ちになりました。
(広報担当:I)
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