新選組ゆかりの壬生寺で見つかったのは、50年前のシャープの冷蔵庫でした
2023年1月31日
1973年、当社は「食品と電気を大切にします」をコンセプトに、家庭用で初めて野菜専用室を設けた3ドア冷蔵庫を発表しました。冷蔵庫の愛称は「ニューアラスカ」。なんだかとっても冷えそうな名前ですね。当時、オイルショックが生活に影を落とし、家庭では節約や省エネの意識が高まっていました。そんな中、1万人以上のユーザーの方への20回にも及ぶ聞き取り調査から、「野菜が乾燥して最後まで使いきれず無駄にしてしまう」などの声をもとに誕生したのがこの冷蔵庫です。実は当社には実機が残っていない「幻の製品」だったのですが、この度、ご縁があって再会することができました。
壬生寺に家庭用初 野菜室付き3ドア冷凍冷蔵庫「ニューアラスカ」<SJ-3300X>
「古い冷蔵庫が見つかったんですが、シャープで引き取っていただけませんか?」そんな連絡が当社にあったのは昨年末のことでした。連絡してくださったのは、京都市の株式会社杉本商事(以下、杉本商事)の社長、杉本光一様。杉本商事は先代社長の頃から当社製品を取り扱うご販売店です。聞けば、京都市の壬生寺に「ニューアラスカ」<SJ-3300X>があるとのこと。あの新選組ゆかりの、千体仏塔や壬生狂言で有名な壬生寺に「ニューアラスカ」?
お話によると、かつて杉本商事が壬生寺に納品した「ニューアラスカ」が今もまだ保管されており、もうご使用されないということを耳にした杉本社長が連絡くださったのです。「冷蔵庫の“たたずまい”に、ただならぬオーラを感じた」とのこと、古い家電がお好きでよく研究されている杉本社長、大変な目利きでいらっしゃったわけです。そして、社長のご尽力により、当社にご寄贈いただけることになりました。
壬生寺で「ニューアラスカ」にご対面
1月のある冬晴れの日、この「ニューアラスカ」を、京都市の壬生寺から大阪府八尾市にあるシャープの事業所まで運ぶことになりました。ここ壬生寺は京都の裏鬼門にあたる場所ということで、毎年節分会には表鬼門の吉田神社とともに多くの参拝客が訪れます。また、かつて壬生の地に駐屯した新選組隊士が鍛錬した場所としても知られています。
さっそく「ニューアラスカ」とご対面!ここ5~6年ほど使っていなかったということですが、とてもきれいな状態でした。壬生寺の行事の際に、食品や飲み物などを冷やすために使用されることが多かったそうです。電源プラグをコンセントに挿すと、だんだん冷えてきました。50年近く前に生産された冷蔵庫が問題なく稼働することを確認し、当社製品の長期信頼性・耐久性の高さを誇らしく感じるとともに、大切に使って下さったことへの感謝の気持ちでいっぱいになりました。
さて、今回ご連絡くださった杉本商事は、壬生寺へ多くの当社製品を納品してくださっているとのこと。壬生寺ではこの「ニューアラスカ」をはじめ、国産初のターンテーブル式家庭用電子レンジ<R-600>(1966年発売)など、これまでにさまざまな当社製品をご使用いただいています。杉本商事創業者で現会長でもある先代社長の杉本光司様は、かつて壬生寺の節分会の際、<R-600>を使ってたくさんのお餅を加熱した思い出などを話して下さいました。
「ニューアラスカ」は、6℃前後を保つ第3のドアの野菜専用室により野菜の鮮度が保たれることや、扉の開閉回数が減って電気代が節約できることなどが喜ばれました。杉本会長によると、当時としては珍しく冷蔵庫の下部から放熱する設計のため、壁にピッタリつけて設置することができ、そのことを合わせてお客様におすすめしたとのことでした。よりお客様に近い、ご販売店ならではの視点ですね。
「ニューアラスカ」が八尾へ帰還
杉本商事のトラックに揺られ、「ニューアラスカ」が八尾事業所に到着しました。当時、八尾事業所にあった冷蔵庫工場で生産されたと思われるこの冷蔵庫、約50年の時を経て八尾に戻ってきたのかと思うと胸が熱くなり、思わず「お帰り!」と声をかけてしまいました。
トラックから降ろされた「ニューアラスカ」は、冷蔵庫の技術担当者によって丁寧に磨き上げられました。作業中、その様子を見にやってきたのは同じく冷蔵庫の技術担当者たち。「なるほど、こうなっているのか」など、当時の冷蔵庫の最新技術にみんな興味津々です。
きれいになった冷蔵庫は、食堂利用者が毎日目にする「八尾第一食堂」の一角に展示することになりました。この社員食堂には当社の歴史的商品を展示しているのですが、オープンした2021年10月以来、イラストで紹介されていただけの「ニューアラスカ」の実物が登場した記念すべき瞬間です。その設置の様子を杉本社長も見に来てくださいました。
現在の物価高や電気代の高騰などの影響を受ける私たちの前に、突然この冷蔵庫がご販売店の手によって戻ってきたことには、なにか意味があるような気がします。使う人の生活がより豊かになる製品、そして製品に関わるさまざまな人に好きになってもらえる製品を作るということを忘れないように問いかけられているのかもしれません。
(広報Y)
毎年2月2日~4日までの壬生寺節分会(壬生寺節分厄除大法会)では、厄除け祈祷会 山伏の大護摩祈祷 昇殿特別祈祷 厄除け鬼払い壬生狂言「節分」上演などすばらしい行事が開催されます。詳しくは、壬生寺ホームページ(https://www.mibudera.com/)をご確認ください。
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