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自己循環型マテリアルリサイクルの要!関西リサイクルシステムズが生み出す高品質再生プラスチック原料のひみつ

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 2025年1月22日(水)に発表した当社の新しいプラズマクラスター冷蔵庫「Fit63シリーズ」は、再生プラスチックの使用量が従来品の約2.8倍にアップしており、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、着実に歩みを進めています。

※ 再生プラスチック材使用量:2024年度機種SJ-MF55M:約1,140g、新製品SJ-MF55P:約3,180g。原料調達状況によって使用量がかわることがあります。

今回の新商品で初めて、庫内に再生プラスチックを使用しています
再生プラスチックを使用しているパーツ 左:冷蔵室シキリ、右:シャワーダクト

 このようなシャープの資源循環への取り組みを支えているのが、今回ご紹介する関西リサイクルシステムズ株式会社(以下、KRSC)のみなさんです。

 KRSCは2001年の操業開始と同時に自己循環型マテリアルリサイクルを始めました。自己循環型マテリアルリサイクルとは、リサイクルに出された家電からプラスチックを回収して素材化し、再び商品で使用するという循環構造のこと。自己循環型マテリアルリサイクルを実現するためには、商品としての長期使用に耐えうる、純度の高いプラスチックを、リサイクル対象家電から最大限に回収することが求められます。

 今回はKRSCがどのように高品質なリサイクルを実現しているのか、そのひみつに迫りました。

自己循環型マテリアルリサイクル
冷蔵庫の自己循環型マテリアルリサイクルの歴史

■冷蔵庫の自己循環型マテリアルリサイクルの流れ

リサイクルの流れについて、動画をご覧ください。

(冷蔵庫)自己循環型マテリアルリサイクル取り組みのご紹介
https://youtu.be/Wqp6lVp8z14

流れを理解していただいたところで、より詳しくご説明していきたいと思います。

■質の高い再生プラスチック原料を生み出すためには手作業による選別が必要

 役目を終えた冷蔵庫は、「家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)」に基づき、KRSCを含む家電リサイクルプラントでリサイクルされています。

家電リサイクル法でメーカーにリサイクルが義務付けられた対象品がKRSCに運び込まれます

 リサイクルに必要となるのが、素材ごとの選別です。再生プラスチックの品質向上のカギは「いかに素材の純度を上げるか」。さまざまな素材で構成されている冷蔵庫を、できる限り細分化して選別することが求められますが、破砕後に選別すると素材の純度も落ちてしまいます。そこで、KRSCでは運び込まれた冷蔵庫を人の手で解体・選別し、再生プラスチック原料の品質を守っています。

手際良く野菜室・冷凍室のケースを外し、コンベアへ
パッキンは塩化ビニルと軟質マグネットで構成されており、次工程で分離されます
冷蔵庫から手解体で回収される主な回収物

■熟練職人の目で厳しくチェックされることで、高品質な再生プラスチック原料へ

 野菜・冷凍ケースは前工程で選別された後、プラスチック選別破砕工程へと運ばれます。この工程では、白いポリプロピレン(以下、PP)製のものとそれ以外を選別して破砕、グレードの異なる再生プラスチック原料にしています。

 野菜・冷凍ケースの選別作業は、私たちが想像するほど単純な作業ではありません。例えば、同じに見える白色PPケースでも、異樹脂や多量の無機物が含まれている場合があります。このようなケースが混入すると、再生プラスチックの物性や耐久性に悪影響を及ぼします。

 KRSCでは現場担当者の卓越した選別技術により、このような野菜ケースもしっかりと選別することができます。素材の表示はもちろんのこと、持った瞬間の重みや手触り、叩いた時の音など、些細な情報から異樹脂や多量の無機物の混入を見分ける様子は、まさに職人そのもの。また、同じ白でも色味の違いがあるものや汚れが付着しているものも、人の目で厳しく選別しています。

黄色矢印のケースは少し緑寄りの白色 
少しでも品質を上げるため、厳しくチェックされています
アルミを取り外す際もPP以外の混入がないよう、ネジ1本までしっかりと確認

 このような職人の存在は、自己循環型マテリアルリサイクルに長年取り組んできたKRSC独自の強みであり、他のリサイクルプラントには簡単に真似できないもの。KRSCの現場担当者の技術が、高品質な再生プラスチック原料を生み出す秘訣となっています。

■KRSCの品質重視の取り組みが、役目を終えた家電を資源へと変える

 厳選された再生プラスチック原料は、一般的な処理をされたものとどのくらいの品質差があるのでしょうか。

左:厳選された再生プラスチック原料  右:一般的な処理をした再生プラスチック原料

 右側の一般的な処理をした再生プラスチック原料は白がくすんでいる上、他色の混入も見られます。また、破砕品の形状も一様ではないことから、プラスチックの物性に差があるようにも見受けられます。

 一方、左側の厳選された再生プラスチック原料はきれいな白色。均一性も高く、プラスチックの純度の高さをうかがわせます。

 KRSCでは、効率的な搬送ラインの設計や新装置の導入などにより工場としての効率アップを図りながら、必要な部分には人の手を入れることで品質の向上に成功。しっかりと人の手をかけて選別作業をすることで再生プラスチック原料の品質が向上し、使い終わった家電を様々な商品へと生まれ変わらせることができるのです。

 世界的にSDGs推進の流れにあり、今後高品質な再生プラスチック原料の需要はどんどん増えていく見込みです。KRSCのみなさんが持つ知識と経験が、シャープ製品の再生プラスチック使用率向上だけではなく、サーキュラーエコノミーの実現に大きく貢献しています。

 シャープはこれからも環境に配慮しながら、自己循環型マテリアルリサイクル技術を活用し、限りある資源を有効活用してまいります。

<関連サイト>
■製品サイト:冷蔵庫製品ページ
■リリース:プラズマクラスタ―冷蔵庫5機種を発売
関西リサイクルシステムズ株式会社ホームページ
■シャープBlog:
 KRSC 解体・選別~破砕・選別まで(洗濯機の事例)

■シャープのサステナビリティ
 プラスチックの自己循環型マテリアルリサイクル技術 ~家電から家電へ。何度も繰り返し再生利用~
 ・プラスチックの自己循環型マテリアルリサイクル技術とは
 ・解体・回収技術の向上で、廃プラスチックの再資源化を推進
 ・異物除去や添加剤処方の見極め、品質管理への取り組み

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