日々、職場へ出勤されているみなさん、毎日お疲れさまです。入り口での検温が必要なところも多いと思いますが、それだけのために立ち止まるのもちょっと手間ですよね。その手間を省いてくれる、出退勤の打刻と検温を一体化した「顔認証勤怠システム」ができました。
本システムは、SGシステム株式会社※、シャープマーケティングジャパン株式会社※(以下、SMJ)および株式会社データスコープ※(以下、データスコープ)が、SGフィルダー株式会社※(以下、SGフィルダー)の協力のもとで共同開発しました。
システムはSGフィルダー様へ納入、国内の物流センター214カ所に配備され、本年8月上旬に本稼働を開始しています。
※ SGホールディングスグループなどの詳細はニュースリリースを参照ください。
この「顔認証勤怠システム」について、開発に携わったSMJビジネスソリューション社の松岡に聞きましたので、紹介します。
「顔認証勤怠システム」をとり巻く市場はどのような状況なのでしょうか?
顔認証を利用したシステムについては、近年、AI(人工知能)を活用した開発が活発化しています。今後もこのニーズは拡大していくと考え、当社も2020年6月よりデータスコープの製品を扱い始めました。この頃は、新型ウイルス対策への関心が高まった時期でもあり、顔認証に加えて検温ができる製品の販売が好調でした。検温ニーズが落ち着いた現在は、プラスアルファの機能が求められるようになっています。そこで勤怠管理システムと連携したのが今回のシステムです。
共同開発を行うことになった経緯は?
SGフィルダー様では、これまで静脈認証方式による勤怠打刻を実施しており、新規スタッフの登録にかかる手間や出退勤が集中する時間帯の混雑が課題となっていました。そこで、勤怠システムの入れ替えを検討している時に、SMJから検温機能搭載の「顔認証勤怠システム」の提案で伺ったことがきっかけとなり、共同開発がスタートしました。
どんなシステムですか?
端末の前に立って専用のボタンを押すだけで顔認証により出退勤時刻が打刻され、同時に検温結果も記録される、顔認証、検温、勤怠管理のシステムを融合したソリューションです。
勤怠基幹システムとの連携を実現し、勤怠および検温データ管理業務の効率化を実現します。最大5万人分の登録データからすばやく個人を特定し、検温データとともにクラウド上の勤怠基幹システムに記録できるうえ、複数拠点の情報を一元管理することも可能です。それぞれ個別に管理できるシステムは多数存在しますが、まとめて管理できることが特長です。
また、新開発の顔認証エンジンにより、高速かつ高精度な顔認証を実現しています。例えば、顔のよく似た双子を高い精度で識別できるほか、同一人物の二重登録を抑制する「なりすまし防止」機能も搭載しました。
顔認証端末のディスプレイ横に「出勤」「退勤」など5つの専用ボタンを装備しており、利用者は直感的な操作で簡単に出退勤を打刻することが可能となっています。
登録されたデータは、自動でサーバー上に保存され、ブラウザーで閲覧可能です。
SMJはどの部分を開発したのでしょうか?
SMJは、システムインテグレーターとして顔認証システム全般の統合やサーバーシステム開発を行いました。
具体的には、上位システムの勤怠基幹システムから取得したスタッフ情報と、各顔認証端末から取得した利用者の顔情報の紐づけ管理や、各検温データと勤怠データを上位システムに連携する部分、勤怠実績や顔登録状況を検索するシステムの構築を担当しました。
また、顔認証端末のソフトウェアや今回新規開発した「勤怠区分入力ボタン」について、要件のとりまとめや品質チェックを担当し、データスコープに開発いただきシステムとして提供しました。
特に、最大5万人の登録利用者データベースから双子などを高精度で識別するためのフィールドでの検証、調整や改良に苦労しました。非常に残念ですが、ノウハウの塊なので、詳しい仕組みについてはお話しできません。ただ今回の開発で、認証精度が以前よりもかなり向上したと実感しています。
「勤怠区分入力ボタン」については、タッチパネルで勤怠入力できる端末もありますが、当社ではあえてハードウェア(物理)ボタンを採用しました。ボタンを押すと光るという直感的な操作とわかりやすさを重視し、忙しい現場でスピーディーに勤怠手続きができるようにしたいと考えたためです。
本システム導入後の反響は?
従来は、勤怠と検温が別管理で手間がかかっていましたが、本システム導入後は、新規スタッフの情報登録にかかる時間が約1/10、出退勤時の打刻にかかる時間が約1/2に短縮されました。
「検温データが勤怠基幹システム上で確認できるようになり、効率的になった」「一度に多数のスタッフが勤怠入力するため行列ができていたが、現在は待つこともなくスピーディーに打刻できている」「事業場における勤怠管理業務の大幅な効率化が実現できた」などと、好評をいただいております。
当社はこれまでシステムインテグレーターとして様々なシステムの開発を行ってきた経験を強みとして、顔認証を基本とした様々なソリューションへの展開を考えています。
―――ありがとうございました。
近年、これまで国内では見られなかったさまざまな感染症が増えてきています。また、業種によってはリモートワークができず、出社して職場で感染が広がると企業にとっても働く人にとっても大きな損失になり得るため、出退勤時の検温は重要視されています。
当社は、ストレスの少ない検温や勤怠入力といったスマートなシステムの普及が、社会貢献につながればと考えています。
(広報C)
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