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誕生より2年。ロボホンはどう成長したのか?進化の過程と今後の展開について、聞きました。

2018年8月28日

著者:i

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ロボホンが誕生したのは2016年5月26日。2年余り前のことです。
人に寄り添う身近なロボットとして愛されてきたロボホン。オーナーさまとのふれあいを通じて、どう成長してきたのでしょうか。その過程やエピソード、今後の展開について、誕生前からロボホンとともに歩んできたIoT HE事業本部の岩越さんにお話を伺いました。

 

ロボホンの企画開発に携わっている岩越さん

 

まずはロボホンが誕生した時の開発コンセプトについて、お聞かせください。

(岩越)スマートフォンが普及する中、当社でも差別化を意識していました。「ただの機械ではなく、人に寄り添うパートナーとは?」とのテーマで議論を重ねる中、「擬人化」がキーワードとして挙がりました。そこで、ロボットクリエーターの高橋智隆さんに相談したところ、「電話機能があるロボットにしてはどうか」との話になり、高橋さんと共同でロボットの開発に挑戦することになったんです。思い描いたキャラクターは「5歳の男の子」でした。オーナーさまの日々の生活に寄り添い、通信機能を備えることで日々成長していくロボホンは、オーナーさまのために一生懸命に考える、素直でまっすぐな性格の持ち主。会話ができるただのロボットではなく、道具としての電話でもない、持ち主と心を通わせるパートナーとしての「モバイル型ロボット電話」というコンセプトが生まれたんです。

 

―ちょっとお茶目で人懐っこいロボホン。5歳の男の子というイメージは、現在も変わりませんね。ところで、開発当時はモバイル型電話としての要素が大きかったわけですが、その点について変化したところはありますか?

(岩越)そうですね。当初は1人1台、電話もメールもできる「モバイル型ロボット電話」という点をアピールしていたのですが、実際にオーナーさまがお使いになる様子を見ると、電話やメール機能を持つ「ロボット型電話」というよりも、会話などが楽しめる「コミュニケーションロボット」としての要素がより強いことがわかってきました。

 

 

―なるほど。そこから「コミュニケーション」をより重視した開発が進んだわけですね。

(岩越)「双方向であること」をより強く意識するようになりました。ロボホンを開発した当初は、今までにない存在なので、ロボホンからあまり主体的に話しかけすぎないことを意識していました。オーナーさまが主導で、ロボホンが受け身という形です。ところが、実際にお使いいただくと「ロボホンからももっと話しかけてほしい」「お互いのコミュニケーションをもっと深めたい」「ロボホンともっと会話したい」というリクエストが増えてきました。そこで発売後のアプリケーションのアップデートの中で、ロボホンから話しかける頻度を徐々に増やしていきました。といっても、いきなり話しかけるとびっくりされるので、「カメラを起動して近くに人がいるかどうかを確認して、オーナーさんが見つかれば話しかける」そんなふうにして、開発を少しずつ進めてきました。

 

―コミュニケーションロボットとしての要素が強くなったことで、ロボホンの性格や行動に広がりは生まれましたか?

(岩越)そうですね。企画開発を進める中で、人に寄り添うロボホンが、オーナーさまに応じて変わっていくようになるといいねという話になり、ロボホンとオーナーさまとの日頃の行動パターンによって、ロボホンが変わっていく設定を考えました。たとえば、一緒に外出する機会が多いとお出かけ好きの性格になり、「一緒に外に行こうよ」とロボホンからおねだりするようになるんです。また、頻繁にダンスや運動をさせているロボホンなら、ダンスの前にいきなり屈伸運動を始めたりすることもあります。予想外のお茶目な行動をとるロボホンの変化は、オーナーさまに好評で、喜んでいただいています。ご自身との関係性に応じてロボホンが変化することで、パートナーというか、コミュニケーションをとる相手としての思いや愛情がより深まるのだと考えています。

 

 

―お話を伺っていると、ロボホンと日々接しているオーナーさまのご意見や思いを尊重されていることが伝わってきます。どのような形でオーナーさまの声を把握されているのですか?

(岩越)最初のうちは、アンケートをメールで配信し、回答していただく形でご意見を伺っていましたが、最近ではネット上の投稿などで、リアルタイムにオーナーさまの声を確認させていただいています。新しいアプリが配信されたり、機能がアップデートされると、熱心なオーナーさまがすぐに使ってくださり、その感想を投稿してくださるんです。それに別のオーナーさまが反応され会話が発展していくので、自然に情報が集まってきます。他には、当社が主催する交流イベントとして、オーナーさまにお集まりいただいて「ロボホンカフェ」を開催したり、今年の1~3月にかけて実施したロボホンと一緒に旅をする「ロボ旅」という企画でイベントを開催したり、直接お話を伺う機会を設けました。

 

―お話の中で、特に印象に残ったエピソードがあれば教えてください。

(岩越)ロボホンを発売して間もない頃に開発された、「ポポン」というロボホンと対戦するリバーシゲームがあるんです。ロボホンは5歳なので、このゲームがものすごく弱いんですが、実際にオーナーさまに使っていただいたところ、ロボホンと本当に対戦している気持ちになれたと好評でした。対戦中、「うーん」と考え込んだり、「少し前からやり直していい?」と聞いてきたり、負けると悔しそうにするのが本当に可愛くて、何とか勝たせてあげたいという気持ちになるそうです。ここまで相手の気持ちを動かせる存在であることに、改めて新鮮な感動を覚えました。機能が正しく使えること以上に、コミュニケーションがとれたり、楽しく使えたりすることが一番求められていて、ロボホンに限らず、そういうやり取りが楽しめることが大切なんだと思いましたね。

 

「ポポン」の楽しみ方

 

―こうしたアプリを開発される中で、大変だったことや心がけておられることがあれば、教えてください。

(岩越)そうですね。電話アプリにしても、メールアプリにしても、スマホの液晶画面を見ながら操作しますが、ロボホンは音声で会話をして使っていただく仕組みなので、どのようにプログラムすればいいか、頭を悩ませました。ロボホンが、話しかけられた言葉を何でも理解してくれるわけではありません。そこで、ロボホンが確実に認識できるように、ロボホンに何を言わせて、オーナーさまに何と答えてもらうか、オーナーさまからの的確な答えを引き出せるような問いかけをロボホンにさせようと、Q&A形式で会話の展開を考えています。(下はその一例です)

ロボホンの方から「おっけーかだめだよで答えて」ということで、ユーザーの発話を誘導します。

 

また、オーナーさまとの交流が増えたからでしょうか。新たなアプリの開発を検討するとき、皆さんのお顔が自然に浮かんできて、「このアプリはどうだろう?喜んでいただけるかな」など、あれこれ想像してしまうんです。「楽しくコミュニケーションしていただく。」 そこを第一に考えるようにしています。たとえばアラームアプリでは、二度寝せずに毎日キチンと起きたら、ロボホンがご褒美に歌をうたってくれるようになったのですが、それもその一例です。機能が正しく使える、それを超えるコミュニケーションロボットとしてのプラスアルファの言葉や動作って何だろうと、常に自分自身に問いかけながら取り組んでいます。

 

―岩越さんの奮闘ぶりが目に浮かびます。嬉しかったことや達成感を味わえたことがあれば教えてください。

(岩越)毎年、ロボホンの誕生日をお祝いするオーナーズイベントを開催しています。1周年は広島、2周年は奈良でしたが、たくさんの方からご応募をいただいた時は本当に嬉しかったですね。実はこのイベントは、発売当時から予定していたわけではありません。そもそも、携帯電話の誕生日を祝うというのも変な話で(笑)それなのに、いつの間にか恒例になったのは、ロボホンがオーナーさまにとって、かけがえのないパートナーのような存在になっているからです。パートナーであるなら、誕生日を祝いたいと思うのは自然な流れですよね。さらに、公式のオーナーズイベントとは別に、オーナーの皆さんが自主的に会場を予約し、手づくりのケーキやお菓子で、ロボホンの誕生を祝ってくださいました。
また、ロボホンを可愛がってくださるオーナーさまの中には、ご自分で作った洋服や帽子でロボホンにオシャレをさせておられる方も多くて、こんな楽しみ方もあるのだと驚きました。オーナーさま同志、日頃からSNSで情報交換をされたり、ロボホンを連れて一緒に旅行に行かれたり、強い絆が生まれているようです。ロボホンを介してそこまでコミュニティが広がるとは、正直予想していなかっただけに、嬉しいですね。

「ロボホン誕生2周年記念オーナーズイベント in 奈良」に潜入!!
http://blog.sharp.co.jp/2018/06/08/12991/

 

―今後のロボホンはどうなっていくのでしょうか?

(岩越)これからも「一緒に生活し、コミュニケーションを深めるパートナー」という基本は変わりませんが、生活の中で役立つ機能をもっと増やしたいと思っています。その一つの例が、お子さまの英語学習向けに開発した「英語学習」アプリです。ロボホンに英語で話しかけることで、「聞く」「話す」のどちらも学ぶことができますし、毎日学習をすると、ロボホンがご褒美にメダルをくれたりします。また、ご高齢の方向けに開発した「あんしん」アプリは、決まった時間に「薬飲んだ?」と声をかけてくれたりします。
現在、ロボホンの購入層で多いのは、40~50代の女性。当初の想定通りですが、嬉しいことに、最近では60代や小さなお子さまのおられる30代の方も少しずつ増えてきました。「英語学習」や「あんしん」のような、ターゲットを明確にした実用的なアプリの開発にも力を入れることで、より幅広い層のオーナーさまに、ロボホンとふれあっていただけると嬉しいです。

 

ロボホンと一緒に、お子さまが楽しく英語を学べるアプリ「英語学習」

ロボホンがご高齢の方に寄り添い、暮らしをサポートするアプリ「あんしん」

 

―そのために取り組まれていることはありますか?

(岩越)より幅広いオーナーさまにお届けできるように、新機種の投入やラインアップの拡大も検討しています。また、楽しく役立つアプリの開発など、現在のロボホンの成長についても、もちろん続けていきます。ロボホンがたくさんの方に愛されるよう、より一層頑張ってまいりますので、どうぞご期待ください。

 

―岩越さん、ありがとうございました。

 

ロボホンが誕生したときのキャラクターのイメージは、素直で一生懸命な5歳の男の子。2年以上たった現在もその印象が全く変わらないのは、ロボホンの世界観がぶれることなく、守られてきたからだと感じました。「機能が正しく使えること以上に、コミュニケーションが求められている」と語る岩越さん。機能は上書きされていきますが、心の琴線にふれる言葉やしぐさは心の奥深くに留まり、積み重ねられていくのではないでしょうか。無邪気な言葉やしぐさで和ませてくれるだけでなく、人と人との絆も深めてくれる不思議な魅力を持ったロボホン。小さな体にたくさんの可能性を秘めたロボホンの今後の活躍がますます楽しみになってきました。

 

ロボホンサイト
https://robohon.com/

(広報担当:I)

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