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いつでも、どこでも、好きなスタイルで楽しめる
- 開発者のこだわりが形となった「AQUOSポータブル」-

2019年6月26日

著者:広報H

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リビングのテレビとして、たくさんの方に愛されてきた※1「AQUOS」 。実は、シャープは、寝室やキッチン、お風呂など、リビング以外の場所で、いつでも好きなスタイルで楽しめる液晶テレビ「AQUOSポータブル」を商品化しています。今回は、その特長やこだわりについて、商品企画/開発・機構設計/デザインの各開発担当者に聞きました。

※1 マーケティング調査会社の株式会社BCNが主催する「BCN AWARD」の「液晶テレビ」部門で 15年連続最優秀賞受賞(トップシェア)。 https://corporate.jp.sharp/corporate/awards/1901_1/

 

- まず、「AQUOSポータブル」の特長を簡単に教えてください。

「AQUOSポータブル」は、防水&ワイヤレス設計により、いつでも、家中どこでも、好きなスタイルで手軽にテレビ番組を楽しめます。片手で楽に持ち運べるほど軽量で、さっと置いて楽しめる「スリムハンドルスタンド」、広視野角・高精細液晶やタッチパネルを搭載するなど、使いやすさを追求しています。さらに、AIoTクラウドサービス『COCORO KITCHEN』にも対応していて、調理家電と連携<2T-C16AP/C12AP>する便利なテレビです。

いつでも、どこでも、好きなスタイルで楽しめる

 

- シャープのポータブルテレビの先駆けであり、視聴スタイルを変えた「フリースタイルAQUOS」から7年、後継の「AQUOSファミレド」から3年。どういうコンセプトで「AQUOSポータブル」を開発したのですか?

「フリースタイルAQUOS」は、薄さを極めようと、当時の最先端の液晶を使用した製品で、価格はリーズナブルとは言えず、加えて、バッテリ-も重く、気軽に持ち運べませんでした。「AQUOSファミレド」は、防水という新提案を行いましたが、重さの課題は残ったままで、持ちやすさに欠けました。一方、競合メーカーの製品は、当社より軽く、ハンドルとスタンドの使い勝手が向上していました。

シャープは、その反省を踏まえ、「徹底的な軽量化を図り、快適な使い勝手で、女性にも好まれる優しい」製品を目指して開発をスタートさせました。

また、今まで搭載してなかった、広視野角・高精細のフルハイビジョン液晶パネルを採用することにしました。ポータブルテレビでは当社だけです。ポータブルと名付けていますが、あくまでも「AQUOS」です。高画質を追求するのが「AQUOS」のこだわりなんです。

高視野角

下から見上げても 上から見下ろしても クリアな画質

 

- なるほど。持ちやすさを目指して、スタンドとハンドルが一体化した独特の形状の「スリムハンドルスタンド」が誕生したのだと思いますが、どんな苦労がありましたか?

片手でさっと持って、ポンと置いて楽しめる「スリムハンドルスタンド」

片手でさっと持って、ポンと置いて楽しめる「スリムハンドルスタンド」

最初は、金属系の素材を提案していました。でも、コストも高いし重くなるんです。軽量化できる素材を調べてみると、今まで金属製だった自動車のペダルやドアのヒンジなどに、ガラス繊維入りのナイロン材が使われ始めていることが分かりました。すぐに、素材メーカーに相談し、共同開発を進めました。金属に比べると軽量なうえに、ABSやポリカーボネートといった通常使われる樹脂の4倍の硬度を持つ素材です。これにより、スタイリッシュなフォルムを崩さず、軽量化することができました。

検討段階の「スリムハンドルスタンド」(一番左が採用されたもの)

スタンドの裏側なども、強度を検証しながら削り込んで軽量化しています。裏側とはいえ無粋な処理には見せたくないからデザイン性にもこだわりました。組み立てるとほとんど見えないんですが(笑)。

軽量化のために削った「スリムハンドルスタンド」の裏側

 

- 金属だと、お風呂ではお湯で「スリムハンドルスタンド」が熱くなりすぎる可能性もありますしね。この素材を使ったのは納得です。

材料だけじゃなく、グリップ感にもこだわりました。お風呂では、石鹸のついた手で持つかもしれない。滑りにくい形状を求めて、何度も試作品を作り、今の形に落ち着きました。軽量な上に、持ちやすさも加わり、片手で持ってさっと置けるようになりました。

「スリムハンドルスタンド」について熱く語るデザイン担当の清水さん

「スリムハンドルスタンド」について熱く語るデザイン担当の清水さん

 

- こだわって開発されただけあって、確かに握りやすいしデザインもシャレていますよね。もっとも苦労したのは「スリムハンドルスタンド」なんですね。

いや、もっと大変だったのは、モニター部分のサイド外周を覆う「外周プロテクション」なんです。外周を半透明な素材で包んでいるんですが、当初は金属フレームのような美しさを検討していました。しかし、企画段階で、営業部門から『お風呂とか、キッチンのステンレスとか、硬くて濡れているところでの使用を想定して工夫して欲しい』と強く言われまして…。技術的な難易度も高く、コストが上がりますが、滑らず柔らかい素材を外周に付けることで安心して使え、見た目も変わる。使う人に優しい製品を目指すという開発コンセプトに立ち返り、困難を承知で方向転換をしました。

 

- 確かに、柔らかい素材の「外周プロテクション」は滑りにくそうだし、角もなくなり優しい雰囲気です。テレビには、よく使われているものなんですか?

いえいえ。最近は、キッチンのヘラやスプーンなどにシリコン素材(樹脂)がよく使われていて、これを使おうと気楽に考えていました。でも、調べると、シリコン素材は、手の油とか水分を吸って膨張し、使ううちに外れやすくなるとのこと。加えて、お風呂で使う場合、シリコン入りのシャンプーが触れると、化学反応で溶けたり変色したりすることが分かりました。そこで目を付けたのが、樹脂とゴムの中間素材「エラストマー」なんです。シリコン素材より柔らかいしうってつけです。

「外周プロテクション」(モニターのサイド外周を柔らかくて滑りにくい「エラストマー素材」に)

「外周プロテクション」
(モニターのサイド外周を柔らかくて滑りにくい「エラストマー素材」に)

素材は決まりましたが、次は成型方法です。モニター外側のプラスチック素材と外周部分の素材を、密閉できるよう張り付けなくてはいけません。別々に金型を用意すると、どうしても、すきまが生じる可能性があります。そこで、AV製品ではまず使うことのない、同時に2種類の素材を成型する2色成型(射出成型)を採用しました。でも、この方法は試作が困難で、また、均一な透明の外周を実現するのに何度もやりなおしました。大きな声では言えませんが、コストがかなりかかってるんです。ここが一番のチャレンジでした。

「外周プロテクション」を説明する開発/機構設計担当の中嶋さん

2色成型(射出成型)で作った外周部分を持って、
「外周プロテクション」を説明する開発/機構設計担当の中嶋さん

 

- お風呂の話が出て来ましたが、誤って浴槽に落としたりしても大丈夫なのですか?

もちろんです!「AQUOSポータブル」は、IPX6/7※2※3相当の防水・撥水対応なので安心して使ってください。実際のところ、浴槽に落としても浮くんです。モニター内部には、液晶パネル以外に充電池や基盤などが入っていますが、電池の配置を工夫することで、今まで複数あった基盤を1枚にしました。コストダウンのために進めたことですが、軽量化にもつながりました。先ほど述べた「スリムハンドルスタンド」での軽量化などもあり、結果的にお風呂でも沈まない製品になりました(笑)。

※2 IPX6(噴流に対する保護等級)とは、常温の水道水で内径12.5mmの注水ノズルを使用し、約3mの距離から100リットル/分の水を最低3分間注水する条件であらゆる方向から噴流を当てても、機器としての機能を有することを意味します。

※3 IPX7(浸水に対する保護等級)とは、常温で水道水、かつ静水の水深1mのところにモニター部を静かに沈め、約30分間放置後に取り出したときに機器としての機能を有することを意味します。

 

- 安心しました。厳しい規格にも適合した製品なんですね。防水と言えば「ワンタッチ防水キャップ」も特長の一つですよね。

はい。ここもかなり苦労して作りました。充電差し込み口の部分に、水を塞ぐふた(キャップ)を付けました。今までは、確実に防水するために、ふたをはめる→ロックスイッチの2回のアクション が必要でした。しかし、使いやすさへのこだわりから、ワンアクションでの方法を模索しました。

どういう形状がいいのかと、水に関わる製品をみて回ると、ワンタッチで開閉できる水筒や調味料のキャップに目が行きました。確かに閉めたら水が漏れません。これだ!と思い、これをヒントに開発に取り組みました。「ワンタッチ防水キャップ」と名付けたこの部分は、水筒など、誰もが体験したことのある操作方法 なので、お客さまにも直感的で使いやすいと好評です。

ワンタッチで開け締めができる「ワンタッチ防水キャップ」

ワンタッチで開け締めができる「ワンタッチ防水キャップ」

お風呂だけでなく、キッチンでも便利に使えます。画面に撥水対応を施しているので 、キッチンでの飛び跳ねた汚れもなども簡単に拭き取れます。撥水仕様は指紋が付きづらいという効果もあるんですよ。

 

- キッチンと言えば、「ヘルシオ」などの調理家電と連携して便利な使い方ができるんですよね。

はい、他社の製品と最も大きく違う自慢の機能です。<2T-C16AP/C12AP>には、AIoTクラウドサービス「COCORO KITCHEN」の専用アプリを搭載していて、見やすい大画面で、レシピを見ながら、食事のメニューを決めることができます。決めたら、画面上の「送信」ボタンを押すと、「ヘルシオ」や「ホットクック」などに調理情報が送信され、スタンバイ状態になります。あとは、必要な具材を入れれば調理スタートです。このアプリは元々スマホ用なので縦画面になっているのですが、「AQUOSポータブル」用にカスタマイズし、横画面で見られるように工夫しました。

AIoTクラウドサービス「COCORO KITCHEN」と連携

AIoTクラウドサービス「COCORO KITCHEN」と連携

 

- 他にも「AQUOSポータブル」ならではの技術は使われているんですか?

従来製品では、部屋の隅やお風呂などに持っていくと電波がつながりにくいという意見をいただくことがありました。そこで、「ビームフォーミング※4」という電波の飛びを良くする技術を採用しています。

「ビームフォーミング」技術を説明する商品企画担当 三浦さん

「ビームフォーミング」技術を説明する商品企画担当 三浦さん

※4 ビームフォーミング:無線LANの技術で電波の飛びを良くする技術。チューナーボックスからモニターに無線で電波を飛ばす際に指向性を持たせ、最も電波が飛びやすいところを使うことで、つながりやすくなります。

 

ありがとうございました。数々の努力やチャレンジをして完成した、こだわりのつまった製品であることが良く分かりました。

「AQUOSポータブル」は、暮らしの向上、デザイン性などが認められ、2018年のグッドデザイン賞※5を受賞しました、さらに「VGP2019」でパーソナルビジュアル賞※6をいただくなど、社外からも高く評価されています。一人暮らし向けとしてはもちろん、さまざまな用途に使える2台目、3台目の液晶テレビとして、ぜひご検討下さい。

※5 「ポータブル液晶テレビ<2T-C16AP/2T-C12AP>」は、「2018年度 グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。https://corporate.jp.sharp/corporate/news/181003-c.html
「2018年度 グッドデザイン賞」公式サイトhttps://www.g-mark.org/award/describe/47418?token=nDe0I7DR9f

※6 株式会社音元出版発行の有力AV専門誌「AV REVIEW」が主催するオーディオビジュアル機器の総合アワード「VGP2019」において、AQUOSポータブル』APシリーズ<2T-C16AP/C12AP>はパーソナルビジュアル賞を受賞しました。 https://corporate.jp.sharp/corporate/awards/1811_1/

「AQUOSポータブル」の開発者

「AQUOSポータブル」の開発者
(左より、商品企画担当 三浦さん、開発/機構設計担当 中嶋さん、デザイン担当 清水さん)

液晶テレビ「AQUOSポータブル」 (上:<2T-C16AP-W>、左下:<2T-C12AP-B>、右下:<2T-C12AF-W>)

液晶テレビ「AQUOSポータブル」
(上:<2T-C16AP-W>、左下:<2T-C12AP-B>、右下:<2T-C12AF-W>)

(広報担当:H)

<関連サイト>
製品サイト:ポータブル液晶テレビ「AQUOSポータブル」
https://jp.sharp/aquos/lineup/apaf.html
リリース:液晶テレビ『AQUOSポータブル』3機種を発売
https://corporate.jp.sharp/corporate/news/180827-a.html
リリース:「2018年度 グッドデザイン賞」を受賞
https://corporate.jp.sharp/corporate/news/181003-c.html
受賞表彰:AV専門誌「AV REVIEW」主催「VGP2019」で当社の”8Kワールド”が審査員特別賞を受賞
https://corporate.jp.sharp/corporate/awards/1811_1/
「2018年度 グッドデザイン賞」公式サイト
https://www.g-mark.org/award/describe/47418?token=nDe0I7DR9f

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