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織田信長の弟[有楽斎]が所持した重要美術品「大井戸茶碗 有楽井戸」に触(ふ)れてみませんか?
-新たな文化財鑑賞ソリューションによる実証実験(”8Kで文化財「ふれる・まわせる名茶碗」”展)を実施-

新文化財鑑賞ソリューション試作機による「触(ふ)れる」鑑賞体験(イメージ)

新文化財鑑賞ソリューション試作機による「触(ふ)れる」鑑賞体験(イメージ)

 

東京国立博物館に所蔵されている重要美術品「大井戸茶碗 有楽井戸」をご存知でしょうか?
織田信長の弟、有楽斎はじめ、名だたる茶人が手にした16世紀の名品で、朝鮮の窯で作られた貴重な茶碗だそうです。織田信長の名前が出てくると、文化財に詳しくない私でも、なんだか気になってきます。そう言えば、16世紀後半の李氏朝鮮を舞台に、朝鮮史上初めて宮廷陶工まで登りつめた女性を主人公とする韓流ドラマを、好きで良く見ていたことを思い出しました。直接の関わりはないかもしれませんが、どこかつながっているようで、ますます興味がわいてきました。その「大井戸茶碗 有楽井戸」、実はもうすぐ、東京国立博物館で今までにないような新体験で堪能できるのです。

「大井戸茶碗 有楽井戸」(東京国立博物館所蔵の重要美術品)

「大井戸茶碗 有楽井戸」(東京国立博物館所蔵の重要美術品)
朝鮮 16世紀 ほんのり赤みを帯びたやわらかい枇杷(びわ)色が特徴。
有楽斎はじめ名だたる茶人が手にした

 

当社は、文化財活用センター※1および東京国立博物館※1と協力し、「8Kで本物に触(ふ)れる」をテーマに、より多くの人々に文化財鑑賞を楽しんでもらえるように新たな鑑賞方法を研究。「シャープ8Kインタラクティブミュージアム」をベースに、文化財鑑賞ソリューションを開発しました。「大井戸茶碗 有楽井戸」を題材として、本開発で制作した試作機による実証実験を、本年(2020年)7月29日から8月2日まで、”8Kで文化財「ふれる・まわせる名茶碗」”の展示名称にて東京国立博物館「東洋館」で公開します。
→ 詳細情報(ニュースリリース)はこちら

東京国立博物館「東洋館」での 8Kで文化財「ふれる・まわせる名茶碗」展 (会場イメージ)

東京国立博物館「東洋館」での 8Kで文化財「ふれる・まわせる名茶碗」展 (会場イメージ)

※1 独立行政法人 国立文化財機構に属します。

 

通常、歴史的価値のある文化財は、博物館などで目で見て鑑賞することはできても、残念ながら手に取ることはできないものがほとんどです。ガラス越しにそのデザイン・色・文様など外観を楽しむことはできますが、特定の角度からしか鑑賞できないことが多く、その陶器の魅力を存分に味わうことはできません。そうした中、シャープは、独自の8K先進技術を用いて、単なる鑑賞を越えた体験を味わえる「8Kインタラクティブミュージアム」を、昨年(2019年)開発しました。間近で見たり、直接、手に取ったりすることが難しい貴重な美術品や工芸品などの高精細画像を、超高精細8Kディスプレイに表示、見たい部分をタッチ操作で拡大して細部まで鑑賞することができます。立体形状の陶器などでは、通常展示では死角になる真下など、普段は見られない視点(角度)に画像を回転させて見ることができます。

ICOM Kyoto 2019に参考出展した8Kインタラクティブミュージアム

ICOM Kyoto 2019に参考出展した8Kインタラクティブミュージアム

「8Kインタラクティブミュージアム」が法隆寺 大宝蔵院に設置(ニュースリリース)
「第25回 国際博物館会議京都大会(ICOM Kyoto 2019)」に8Kインタラクティブミュージアムを参考出展(ニュースリリース)
ICOM Kyoto 2019に8Kインタラクティブミュージアムを出展(SHARP Blog)

 

でも、可能ならば実物に触(ふ)れながら鑑賞したいと思いませんか? 見るだけでなく、触ったり、重さを感じたりできれば、さらに印象深い体験になるはずです。本物にさわることはできませんが、触れたような体感を味わえるシステムとして、今回開発したのが、「8Kインタラクティブミュージアム」をベースとした「文化財鑑賞ソリューション」です。

昨年、文化財活用センターが東京国立博物館で当社8Kディスプレイを使った国宝「聖徳太子絵伝」の特別展示を行った際、来場者からの評価が非常に高かったそうです。そこで、文化財活用センターでは、「8K等の先進技術を活用して、今までと違った角度で文化財に親しんでもらえるような、新しいこと、面白いことをシャープと進めたい」と考えていたそうです。当社としても「さらに、今まで以上の新しい体験やソリューションを提供し、8Kの世界を広く展開したい」と考えていたため、両者の方向性が一致し、共同研究の上、完成したものです。

題材は先述の通り、東京国立博物館所蔵の重要美術品「大井戸茶碗 有楽井戸」。かたちも重さも実物の文化財そっくりに制作した新開発の「茶碗型コントローラー」と70V型の大型8Kディスプレイ、加えて8K画像データを用意しました。「茶碗型コントローラー」と8Kディスプレイに映し出された高精細な文化財の3D画像データ「8Kデジタルレプリカ」がリアルタイムに連動しており、手に持ちながら回転させると、画像データも回転します(360度、どの方向にも回転可能)。見たい部分を見たいサイズで、断面さえも自由に鑑賞できます。

新文化財鑑賞ソリューション(イメージ)

新文化財鑑賞ソリューション(イメージ)
実物そっくりに制作した新開発の「茶碗型コントローラー」と、70V型8Kディスプレイ


8Kで文化財「ふれる・まわせる銘茶椀」展 鑑賞イメージ(動画)

「茶碗型コントローラー」を回転させると、8Kディスプレイに表示されている

「茶碗型コントローラー」を回転させると、8Kディスプレイに表示されている
「大井戸茶碗 有楽井戸」の画像も回転します

8Kだから「大井戸茶碗 有楽井戸」の画像を高精細なまま拡大できます

8Kだから「大井戸茶碗 有楽井戸」の画像を高精細なまま拡大できます

加えて、「志野茶碗 銘 振袖」や重要文化財「青磁茶碗 銘 馬蝗絆(ばこうはん)」の8K画像コンテンツを用意しています。3つの茶碗を同時に比較しつつ、画像の「拡大」「回転」だけでなく、自由な角度での「断面」表示が可能です。複数の文化財を様々な視点から比較して見るという、実物展示ではほぼ実現不可能な、デジタルならではの鑑賞が可能になります。

3つの茶碗の断面を同時に比較

3つの茶碗の断面を同時に比較

さらに、画面上に表示された「見どころ」にコントローラーの角度を合わせると、その「見どころ」の意味をテキストと音声で解説する仕組みになっています。その茶碗の理解を、より深めることができます。

「見どころ」の意味をテキストと音声で解説

「見どころ」の意味をテキストと音声で解説

もともと、8Kディスプレイは約3,318万画素の超高精細表示で、本物を見ているような感覚を体験できますが、表示させる画像データも16K以上のさらに高解像度なものを用いており、拡大しても細部がぼやけることなく、鮮明に映し出すことができます。超高精細画像を見ながら、実物さながらの茶碗を手にし、拡大・回転など自在に茶碗を操作することで、まるで本物の名茶碗に触れているような臨場感を味わっていただけます。

 

実証実験期間中は、本物の「大井戸茶碗 有楽井戸」も本館4室にて展示されるそうです。合わせて鑑賞すると、より楽しめそうですね。紹介していくうちに、韓流ドラマのシーンが浮かんできました。まさに世界中どんな博物館でも体験できないここだけの新しい展示であり、行ってみる価値が大いにあると思います。今まで、博物館へ足を運ぶことはほとんどありませんでしたが、今回はぜひ、現地で体験してみようと思います。鑑賞体験には、事前予約(無料)が必要です。文化財活用センターのホームページ(https://cpcp.nich.go.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=dtl&id=15)から簡単にお申し込みいただけます(当該ページ下部にお申し込みサイトへのリンクがあります)ので、ご興味のある方は、ぜひ、早めにお申し込みください。

東京国立博物館や文化財活用センターからも、「この体験を通じて茶碗鑑賞の面白さに触れ、実物への関心はもちろん、他の茶碗への興味につなげて欲しい」とのメッセージをいただいています。

東京国立博物館 本館(外観)

東京国立博物館 本館(外観)

 

シャープは“8K+5GとAIoTで世界を変える”との事業ビジョンのもと、より社会を豊かにするため研究・開発を進めています。当社はこれからも8Kが創り出す新体験をみなさまに提供すべく取り組んでまいります。

 

<展示内容>
■ 8Kで文化財「ふれる・まわせる名茶碗」

会 場

 
東京国立博物館MAP

東京国立博物館 東洋館1階ラウンジ<東京都台東区上野公園13-9>(https://www.tnm.jp/

期 間

2020年7月29日(水)~8月2日(日)

料 金

無料

主 催

東京国立博物館・文化財活用センター・シャープ株式会社

申 込

日時指定による事前予約制 先着順。(https://cpcp.nich.go.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=dtl&id=15
(当該ページ下部にお申し込みサイトへのリンクあり)

展示内容

  ●「有楽井戸をじっくりみる」
  重要美術品「大井戸茶碗 有楽井戸」の8K画像コンテンツを
  茶碗型コントローラーで操作しながら鑑賞  

  ●「3つの茶碗を比較する」
  「志野茶碗 銘 振袖」と重要文化財「青磁茶碗 銘 馬蝗絆(ばこうはん)」も
  同時表示して鑑賞  

試作機
使用機器

「8Kインタラクティブミュージアム」をベースとしたシステム
・70V型8Kディスプレイ(茶碗型コントローラー採用試作機)2台※2

※2 シャープは、共同研究において、8K機材、8K 3D画像データ、コントローラーによるインタラクションシステム、表示コンテンツ一式を開発・制作しています。
* 東京国立博物館ガイドラインに従い、感染防止策を実施します。

 

(広報担当:H)

 

<関連サイト>
8Kで文化財「ふれる・まわせる名茶碗」展(当該ページ下部に、お申し込みサイトへのリンクあり) 

■ニュースリリース
8Kで本物に触(ふ)れる」をテーマに開発した文化財鑑賞ソリューションの実証実験を東京国立博物館で公開
8Kインタラクティブミュージアム」が法隆寺 大宝蔵院に設置
第25回 国際博物館会議京都大会(ICOM Kyoto 2019)」に8Kインタラクティブミュージアムを参考出展

■シャープブログ
 ICOM Kyoto 2019に8Kインタラクティブミュージアムを出展

東京国立博物館 公式ホームページ
国立文化財機構 文化財活用センター 公式ホームページ

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