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「ローカル5G」ってなに? 世の中どう変わるの?
「ローカル5G対応ルーター」の開発者に聞きました!

2020年10月19日

著者:広報C

当社は、本年8月に「ローカル5G対応ルーター」を開発し、10月16日から製品の提供を開始しました。

そこで、「ローカル5G」とはどんなものか、また、「ローカル5G」で世の中は一体どう変わるのか、「ローカル5G対応ルーター」開発陣を代表して、通信事業本部 研究員の小林と日向に聞きましたので、ご紹介します。

「ローカル5G対応ルーター」開発陣を代表して、日向さん(左)、小林さん

――2020年春に各通信事業者が提供を開始した5G通信サービスと「ローカル5G」との違いはどんなところですか?

(小林)まず「ローカル」という言葉を聞いて、「地方」をイメージされる方も多いと思いますが、ここでは「限られた地域」という意味で使われています。

各通信事業者が展開する5G通信サービスに対し、「ローカル5G」は、地域の団体や企業が主体となって、自らの建物内や敷地内といった特定のエリアで自営の5Gネットワークを構築・運用するネットワークのことを言います。

例えば、スタジアムなどのスポーツ施設やテーマパーク、空港、駅、物流倉庫、スマートファクトリー(工場)、農場、建設現場、医療施設などで、自らネットワークを構築するイメージです。 運用を開始するためには、土地の所有者、または依頼された者が電波を送受信する「アンテナ基地局の免許」を申請し、取得する必要があります。

  1. ※1AIoTなどの最先端テクノロジーを使い、観客がさまざまな角度からの映像や関連情報をリアルタイムに得ることができるような、電子化されたスタジアム。
  2. ※2AIoTなどの最先端テクノロジーを使って省力化し、また総合的に管理する工場。

 

当社は、2020年春から各通信事業者の5G通信サービス向けに、5G対応スマートフォン「AQUOS R5G」「5Gモバイルルーター」の提供を開始し、国内ではトップ集団を走るメーカーです。

当社の「5Gモバイルルーター」はWi-Fi6※3に対応し、2.5GBASE-T※4のLANポートやUSB3.0※5(USB Type-C)も搭載しており、無線・有線どちらの接続でも使用できます。同時使用も可能です。どれもベストエフォートでGbpsの通信速度を実現できる仕様になっているため、5Gはもちろん、4Gでもトップクラスの高速通信が可能です。

  1. ※36世代目の最新Wi-Fi規格で、正式には「IEEE 802.11ax」と呼ばれる無線LAN通信規格。
  2. ※41000BASE-TのLANケーブルが使える、2.5Gbpsの通信速度に対応した有線LANの規格。
  3. ※5パソコンと周辺機器などを接続するための規格。従来規格のUSB2.0に代わるものとして2008年に策定された。

 

「5Gモバイルルーター」と各機器の同時接続イメージ

一方、「ローカル5G対応ルーター」は、Wi-Fi6や有線LAN接続などの仕様は「5Gモバイルルーター」と同様ですが、「ローカル5G」が独自に使う周波数帯に対応しています。即ち、2019年12月に制度化されたミリ波の「28.2-28.3GHz」や、今後、割当てが検討されている「28.3-29.1GHz」、サブ6の「4.6-4.9GHz」にも対応。周波数の拡大も見据えており、幅広いネットワークに活用できます。

 

※総務省資料より

――独自のローカル5Gネットワークを構築する利点は何でしょうか?

(日向)4Gに比べ、最大約10倍程度の高速通信が可能で、しかも低遅延。大容量のデータをやり取りでき、多数同時接続が可能といった5Gの特長を生かしながら、個別のニーズに対応することができ、かつ専用で使えて他のユーザーの通信による干渉を受けないという利点があります。

また、送信/受信比率を利用シーンに合わせて独自に設定可能で、例えば監視カメラ用途では、カメラからの受信データを重視して受信比率を上げたり、逆に映像配信では各表示機器への送信データの比率を上げたりと、必要に応じて変更できます。

ほかにもスマートファクトリーであれば、製造ラインの監視カメラやFA機器、各種センサーをローカル5Gネットワークに接続することで、画像などの大容量データを超高速・低遅延で伝送することが可能になります。

さらに、直進性が強いミリ波を使う場合、建物の壁などに遮られ、エリア外に電波が漏れにくく、また外からの電波も入って来にくいため、電波干渉が抑制され、安定した通信が期待できます。

「ローカル5G対応ルーター」と有線LANなどを組み合わせることにより、各方面で個別のニーズに合わせた実証、導入が進んでいくと思います。

 

想定されているケース  ※総務省資料より

――技術的な課題はありましたか?

(日向)通信事業者の5Gとは異なる、「ローカル5G」特有の仕様を実装したところです。 例えば、通信事業者向け「5Gモバイルルーター」をベースに、同事業者による5Gと干渉しないように設計しなおすだけでも、「ローカル5G対応ルーター」は実現できます。この場合の「ローカル5G対応ルーター」から基地局方向への上りの通信速度は「5Gモバイルルーター」と同程度です。しかし、「ローカル5G」では、例えば大量の画像データをリアルタイムに収集するなどのニーズのため、上りの通信速度向上への期待が高く、実現のためには「ローカル5G」特有の仕様も満足する設計にする必要があり、苦労しました。

 

――最後に、今後の意気込みをお願いします。

(日向)シャープは「ローカル5G対応ルーター」を提供することで各社と協力し、様々なソリューションを提供できるように積極的に取り組み、皆さまの生活や事業活動に貢献していきたいと考えています。ご期待ください。

 

――ありがとうございました。

 

「ローカル5G」を導入する地域・企業が増えてくると、近頃、スマートフォンのゲームで採用され有名になったAR(拡張現実)のほか、MR(複合現実)、VR(仮想現実)、さらには、すべての仮想空間技術をまとめたXR(クロス/エクステンディド リアリティ)技術を駆使したスコープやカメラなどの装備が合わせて進化してくると思います。そして、それらを装着した近未来的な装いの人たちを、建設や防災の現場、テーマパークなど、身近なところで見かけるようになるでしょう。きっと先には、とても便利で楽しい、素晴らしい世界が広がっています。想像すると今からワクワクします。

(広報担当:C)

 

ニュースリリース

ローカル5G対応ルーターを開発

https://corporate.jp.sharp/news/200817-a.html

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