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いつもの番組を8Kにアップコンバート AQUOS 8Kの新開発8K画像処理エンジン「Medalist Z2」に迫ります!

2021年10月15日

著者:広報U

こんにちは!広報担当のUです。

みなさん、普段、テレビでどんな番組を観ていますか?バラエティー?ドラマ?
私は映画をよく観ています。動画配信サービスを利用して、気になる映画を見ながらおうち時間を過ごしています。そんなとき「もっときれいな映像で映画が観られたらなー」とよく思うんです。みなさんも、普段よく観ている番組がよりきれいに観られるようになったらいいと思いませんか?

そんな方におすすめなのが、今年6月に発売されたAQUOS 8Kテレビ<8T-C70DW1/8T-C60DW1>です。 今回は、この新製品AQUOS 8K DW1ラインに搭載されている「Medalist Z2」という8K画像処理エンジンの開発についてご紹介します。

ところで、画像処理エンジンってご存知ですか?恥ずかしながら、広報担当Uは詳しく知りませんでした。ごく簡単に説明すると、映像信号に元々含まれている情報を解析し、最適に調整するのが「画像処理エンジン」です。ただ流れてくる映像を映しているわけではなかったんですね。

たとえば、「画像処理エンジン」の行う内容は次のようなものです。

  • ・映像信号から画像を生成
  • ・画質の補正
  • ・色の調整
  • ・コントラストの調整

そしてシャープのAQUOS 8Kに搭載している画像処理エンジンを「Medalist」といいます。昨年発売したAQUOS 8K CX1シリーズに搭載されているのが「Medalist Z1」。今年発売したDW1シリーズには「Medalist Z2」が搭載されています。

みなさんも、普段よく観ている番組がよりきれいに見えるようになったらいいなと思いませんか?

そうなんです、AQUOS 8Kに搭載している画像処理エンジンでは、普段観ている番組がさらにキレイになるんです。

昨年発売したCX1ラインに搭載されている「Medalist Z1」についてはこちらのブログをご覧ください。

今回、「Medalist Z1」からアップデートした「Medalist Z2」の開発秘話を、担当した開発部の下田と企画部の西本に聞きました。

開発部の下田さん

強化した Medalist Z2 の画像処理

―新開発の8K画像処理エンジン「Medalist Z2」は昨年発売のCX1ラインに搭載した「Medalist Z1」と比べ、どういった違いがあるのでしょうか?

(下田)「Medalist Z1」には、2K(フルハイビジョン)のデジタル放送を8K画質にアップコンバートする「8K精細感復元」と「8Kリアリティ復元」、色の調整を行う「リッチカラーテクノロジープロ」といった機能がありました。新開発の「Medalist Z2」ではそれら3つの機能に加え、新たに「スマートアクティブコントラスト」という明るさを調整する機能を実装し、よりリアルな、高精細な映像をご覧いただけるようになりました。従来の3つの機能についても、パラメーターチューニングによって、さらに性能がアップしました。

―それでは、まず「Medalist Z1」から実装されている機能3つについて教えてください。

1.「8K精細感復元」

(下田)まず、「8K精細感復元」は、普段、2Kで見ている画質の映像を8K画質に近づけてキレイに見せることができる機能です。例えば、2Kから8Kにするときは、画素数が16倍に増えます。(2Kは約200万画素、8Kは約3,300万画素)画素数が増えるということは、映像が持つ情報量を16倍に増やさなければならないので、不足する情報量を補う必要があります。その補う作業が「8K精細感復元」です。

2K画質から8K画質にただ変更するだけだと、下の左の画像のように髪の毛のような細い線が単純に16倍の太さで表現されてしまい、1本1本の細さが伝わらなくなってしまいます。それを精細感復元することで16倍の太さにならずに、元の細い線の情報のまま保つことができるので、1本1本の柔らかな髪の動きを表現することが可能となります。遠くにある建物や人なども、細い線をぼかさずしっかり描くように処理することで奥行きが表現されます。

―そうなんですね、ただ画素数を上げるだけでなく、映像を映し出す一瞬のうちに細やかな作業を行っているんですね。これだけでも十分キレイに見えますが、他にはどんなことをしているんですか?

2.「8Kリアリティ復元」

(下田)「8Kリアリティ復元」はアップコンバートしたときに生じる斜め線のデコボコを滑らかに修正する機能です。2K映像を8K映像にしたとき、情報量の差から曲線がデコボコの段差になって、不自然に見えてしまうものを、実際に目で見ているのに近い滑らかな曲線に復元する作業です。そのことでよりリアリティのある映像に復元します。

―たしかに、ギザギザしている映像はかなり違和感がありますよね。それに映像のほとんどは直線ではなく曲線なのでより不自然さを感じますね。「8K高精細復元」と併せて行うことで、2Kの映像もキレイに見えるんですね。ほかにはどんな処理があるんでしょうか?

3.「リッチカラーテクノロジープロ」

(下田)「リッチカラーテクノロジープロ」は映像が持つ本来の色を正確に表現するための技術です。「Medalist Z2」を搭載するAQUOS 8KのDW1ラインでは、広色域のパネルを採用しています。このパネルの特性を最大限に生かすため、入力信号に合わせてマッピングをしています。これにより色彩豊か、かつ忠実で自然な映像を再現することが可能になります。

―どんな映像でもパネルが持つ最大限の色域を出すことで、より自然な色合いを出すことができるんですね。この技術の中で特にこだわったところは何ですか?

(下田)特にこだわったのは肌の色の表現です。より自然な本来の肌の色を映し出せるように、従来の色設計から肌の色の軸を増やすことで、個別に調整するようにしました。人の肌の色は、作られた色だとたいへん違和感を覚えます。できるだけ本来の色に近づけられる方がいい。なので、この部分は特に意識して作りました。

―ありがとうございます。では、今回、DW1ラインの「Medalist Z2」から新たに搭載された「スマートアクティブコントラスト」について教えてください。

4.「スマートアクティブコントラスト」

(下田)「スマートアクティブコントラスト」は入力された映像の種類によって異なる明るさの度合いを調整し、メリハリのある映像にする機能です。映像信号のダイナミックレンジ(表現できる明るさの段階)をどの映像であっても最大限に使用することで、黒はより黒く、白はより白く映すことができます。映像信号の種類は多様化し、それぞれに特徴があります。それらフォーマットのひとつひとつに対し、色や明るさの濃淡表現を最適化しています。

―個々に対応するのはとても複雑な処理ですね。「スマートアクティブコントラスト」の特長はどういったところですか?

(下田)コントラストの高い映像を作ろうとするなら、黒と白の諧調を広げるといいのですが、ただ広げるだけでは、明るいところと暗いところ、それぞれの明暗が失われ、塗りつぶしてしまったような平面的な映像になってしまいます。例えば服のしわや空に浮かぶ雲のモコモコした形など、奥行きや細部の質感が見えなくなってしまうんです。スマートアクティブコントラストでは、白飛びや黒つぶれといったのっぺりした表現にならずに、暗いところと明るいところを見分けながら、そこに映っているものをきちんと見せられる映像になっています。

―背景に溶け込んでしまっていた髪の毛の1本1本や、薄暗かった顔の表情もはっきりと見えるようになるんですね!まるで実物を見ているみたいですね!これを開発する上で大変だったことはありますか?

(下田)従来のコントラスト処理機能よりも、明るさを調整する幅を広げたので、映像の明るさが切り替わっていく場面で、見る人が違和感を覚えない映像を実現するのに大変苦労しました。

―ありがとうございます。

まだある Medalist Z2 の特長

ここまで「Medalist Z2」の4つの機能を紹介しました。つづいて、Medalist全体の機能について聞いてみました。

―この「Medalist Z2」を搭載したAQUOS 8K のDW1ラインで、特にキレイに見えるのはどんな映像ですか?

(下田)スポーツ中継など、スタジアムの奥行きなどは特にリアルに見えます。まるで自分が会場にいると錯覚するような体験ができると思います。8K映像にアップコンバート(8K精細感復元と8Kリアリティ復元)することで、手前に見えているものは太く、奥にあるものは細く描くことができるので、より奥行きと立体感のある映像になるからです。

―新製品のDW1ラインからYouTubeの8K動画にも対応しましたよね。

(下田)そうですね、8Kカメラで撮影し8K画質のままアップロードされた映像を、8K画質のまま観ることができます。もちろんそれ以外の動画も高画質化して見ることができますよ。他にも、動画配信サービスの映像もアップコンバートされるので、よりキレイな画質で見ることができます。

―なぜ画像処理エンジン「Medalist Z1」を改良することにしたのでしょうか?

(下田)8Kの放送はまだ多くありませんが、多くの方に8Kの美しさを知っていただくために開発したのが、2Kや4K放送を8Kにアップコンバートする画像処理エンジン「Medalist Z1」でした。当社は業界に先駆けて8Kに取り組んでおり、その良さについて発信し続ける必要があると思っています。なので、今回新製品を開発する上でもこの画像処理エンジンの部分はこだわって改良を行いました。

―特に開発で苦労したところは?

(下田)2Kの地上デジタル放送でも8K映像のように美しく表示するには、どうすればいいのか。その部分の開発は非常に苦労しました。奥行き感と立体感を演出したい、という課題をひとつずつクリアしていきました。

―ありがとうございます。  画像処理エンジン「Medalist Z2」は映像を映し出す数秒の間に、画質を高めて復元し、色合いや明るさの調整も行っていたんですね。その機能があってこそ、通常の番組が8K画質のようにキレイに見えるわけですね。

企画部の西本さん

8Kの用途と未来

―8Kは高精細なテレビ以外に、どのような用途があるのでしょうか?

(西本)8Kはとびきりキレイな映像を見ることだけが全てではなく、これからの生活をより便利にする手段のひとつだと思っています。例えば医療分野で扱う手術のシーン。これまではモニターで見えなかった0.02ミリほどの手術糸も、8Kならしっかり鮮明に映し出すことができます。患者さんの体内の組織や質感もわかるので、手術の安全性が格段に高まります。他にも5Gと組み合わせることで災害時の被災状況をリアルタイムに伝送するシステムやインフラのシステムなど、さまざまな企業や技術と共同で行うことで、8Kは社会の課題を少しずつ解決しています。ニューノーマルの世の中になり、今まさに時代の転換期を迎えていると思います。8Kは今後さらに、産業の発展や人々の生活を支える技術として貢献していきます。

―最後に、液晶テレビAQUOSが誕生してから、2021年で20周年を迎えました。今後、未来に向けて、どんなテレビを作っていきたいですか?

(下田)おうちで過ごす時間が増え、テレビを観る機会が以前より増えたという方も多いと思います。また、今後は8Kテレビの活用法として、テレビ番組や映画などのコンテンツを見る以外に、自分が記録した思い出の映像を8K画質で楽しむ時代がやってくるはずです。そのとき、8K画質で観る迫力の映像を思う存分に楽しんでいただけるようなテレビを作っていきたいと思います。

(西本)この20年で画質は大きく進化してきました。しかし、まだまだ進化し、画質向上への追求に終わりはないだろうと思っています。しかし、ただキレイな映像を映すだけではなく、昨今の健康意識の高まりに呼応して、視力や健康に配慮した人にやさしいテレビをすべてのお客様に提供していきたいですね。

―どうもありがとうございました。

当社は8K関連商品を数多く創出しています。今まで見えていなかったものが見える驚き、普段気に留めていなかった風景が、8Kでがらっと変わって見える感動をぜひ味わっていただきたいと思います。リアリティ溢れる8K映像をぜひテレビでご体感ください。

広報担当:U

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