シャープの特例子会社であるシャープ特選工業株式会社(以下、シャープ特選)は、社会貢献活動の一環として、「キャリア教育支援活動」を行っています。「職場の見学」「職場体験実習」「支援学校への出前授業」の3つのコースがあり、これまで多くの生徒さんに参加いただいています。そのうち出前授業は、障がいのある社員が支援学級に出向き、障がいのある生徒さんを対象に自らの仕事や経験などを話すものです。
そんな出前授業ですが、先日大阪府八尾市立成法中学校の普通学級で開催しました。障がいの有無で対象を区別しない初めての取り組みでした。
きっかけは、とある機関紙に掲載された、障がい者雇用フォーラムでのシャープ特選による講演を紹介する記事を成法中学校の先生がご覧になったことでした。ご連絡をいただいたとき「正直に言うと、最初は困ったなと思ったんです」とシャープ特選 総務課長の石垣は振り返ります。なぜなら、普通学級での出前授業の経験がなかったこともあり、中学生の皆さんがどういう反応をするのか、想像ができなかったからとのこと。
ただ、先生方とやりとりをするうちに、「これはぜひ挑戦しなければ!」という思いに変わっていったそうです。実は石垣が以前から考えていたのが「普段、障がい者と関わっていない人に対して何かできないか」ということ。それぞれの違いや他者の価値観に気づくことで、誰にとっても生きやすい社会になるのではないかという思いがあり、特に若い世代にしっかりと自分のこととして受け止めてもらい、将来社会に出た時に思い出してほしいと考えていたとのことです。
そんなときにお声がけいただき、先生方の「学校内あるいは将来の職場において、障がいの有無にかかわらず誰にも人権があること、そこに気づくことができる力、環境を変えていける力を生徒の皆にもってほしい」という熱い思いに触れ、この考えを広げていくことが、障がいのある方が働く環境を作ることに繋がっていくと思い至ったのです。
そんな経緯で実現した今回の出前授業。参加してくれたのは、2年生の4クラス、約130名の皆さんです。事前に学校側と何度も準備を重ね、当初は体育館など大きな場所での講演形式の授業を検討しましたが、ワークショップの時間を設けることにしたこともあり、落ち着いて考えることができるよう、それぞれの教室で開催することになりました。そのため、講師として石垣のほか、吉永、北山の3人で伺い、石垣が2クラス、吉永と北山がそれぞれ1クラスを担当しました。
授業のテーマは、「誰もが生きやすい『共生社会』について考える」。
まず、シャープ特選について紹介しました。シャープ特選には、さまざまな障がいのある社員がいること。みんなが仕事しやすいよう、工夫を重ねていること。そして、そこで働く人たちが、ともに働くことで起きた変化、家族や仕事で関わる方の変化などを通じ、会社が目指す「ともに働く現場」について、話をしました。
次に、「共生社会」について話をしました。厚生労働省のホームページにはこんなふうに記載されています。
共生社会=障がいの有無にかかわらず誰もが人格と個性を尊重し支え合う社会 【参考】内閣府:共に生きる社会を作るために ~身に付けよう心の身だしなみ~ 出典:https://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/kyousei/index-k.html |
ここで言う「誰もが」とは、「自分を含むみんなのこと」です。障がいの有無にかかわらず、ひとりひとりを正しく理解すること、配慮、工夫が必要になることや、自分以外の人の考え方、行動、性格などを理解し、認め、思いやって行動することの大切さを説明しました。
そのあと、「共生社会」を実現するための取り組みについて、具体的に生徒の皆さんができることを、グループごとに考えてもらいました。司会者、書記、発表者の役割を決め、「出た意見を絶対否定しない」というルールで話し合った内容を発表してもらったところ、短い時間にもかかわらず、皆さん真剣に取り組み、お互いの意見に耳を傾けていました。
出前授業が終わったあと、記入してもらったアンケートをご紹介します。授業前に感じていたこととして、「自分には関係ないと思っていた」「テレビや本でしか知らなかった」、また「障がい者と差別なく暮らしていこうというものだと思っていた」「自分たちにできることはあまりないと思っていた」という意見が多かったのですが、授業後には「自分たち一人ひとりが意識を変えていくことが共生社会の実現につながっていくとわかった」「共生社会を実現するために自分たちにもできることがあると分かった」という感想が多く寄せられました。講師の伝えたかったことを、生徒の皆さんがまっすぐに受けとめてくれたと実感した瞬間だったとのことです。
講師を務めた3人は「共生社会というテーマを、自分のこととして真剣に考えてくれていることを感じました」「周りと話しながら一所懸命考えてくれていたことが印象に残っています」また、「若い人たちが柔軟に色々なことを考えてくれ、私たちにとっても学びになりました」と感想を話してくれました。生徒の皆さんだけでなく、講師にとっても新たな気づきを得ることのできた出前授業となったようです。
今回、縁あって実現した出前授業でしたが、たくさんの共生の芽を育むきっかけになったのではないかと感じます。今後もシャープ特選では、障がいのある方もそうでない方も、みんなが区別なく生きやすい社会になる一助となる取り組みを進めてまいります。
(広報Y)
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