シャープ特選工業。健常者、障がい者、すべての社員が笑顔で仕事ができる会社に。
2017年9月12日
7月に開催された第23回夏季デフリンピックに、シャープエンジニアリング株式会社の古島啓太さんがサッカー日本代表の主将として出場しました。惜しくも決勝リーグ進出はなりませんでしたが、シャープ社内は古島さんの応援で大いに盛り上がりました。大会前には、同じく日本代表としてデフリンピックに出場経験のあるシャープ特選工業株式会社(以下、シャープ特選)の高橋裕樹さんとの対談を、こちらでご紹介しました。
【対談】第23回夏季デフリンピックに、SEKの古島さんがサッカー日本代表のキャプテンとして出場します!
http://blog.sharp.co.jp/2017/07/11/10947/
今回は、高橋さんが勤めるシャープ特選について詳しく知るべく、取材に行ってきました。
早川徳次が考えるシャープ特選
シャープ特選は、1944年、シャープ創業者の早川徳次が、太平洋戦争で失明された軍人のためにつくった「早川分工場」がはじまりです。シャープ特選の社内には創業者の書が何枚も掲げられていますが、中でもこの「何糞」という書は、シャープ特選の原点とも言えるもの。その言葉の力強さが、まるで社員たちを励ましているかのようです。
身体障害者雇用促進法が制定される10年も前の1950年、「合資会社 特選金属工場」を設立。経営陣8人全員が視覚障がい者でした。そこには「何かを施す慈善より、障がい者自身で仕事をし、自助自立出来る環境を作ることこそが福祉に繋がる」という創業者の強い信念がありました。
その後、社名を1963年に「合資会社 早川特選金属工場」に、1982年には現在の「シャープ特選工業株式会社」と改めました。
シャープ特選は、1977年に日本で第一号となる特例子会社に認定されました。特例子会社とは、企業が障がい者の雇用を推進する目的で設立した会社のことで、一定の要件を満たした場合、親会社に雇用された労働者として、障がい者の雇用率を算定できます。障がい者が利用しやすいエレベーターやトイレなどの設備が整っていたり、仕事をする上での配慮がなされていたりするため、障がい者が安心して業務に集中でき、個人の能力をより高く発揮する機会を引き出せるのです。例えば階段でも使える車いす。非常時に備え、シャープ特選では各階に設置しています。
現在、シャープ特選の従業員数は97名で、そのうち障がい者は57名です。障がいの特性に応じて、電子デバイスの加工や部品の組み立て、複合機のリペア作業などの生産・修理サービス系や、印刷やデータ入力などの事務・業務サービス系の業務に従事しています。自分たちが携わった製品が、広くお客さまにご使用いただいているという思いが、社員のモチベーションにつながっています。
また、シャープ特選では、見守りと育成の観点から、健常者を含む社長以外の全社員に対し、サポーターがいます。現在17名いるサポーターは、健常者、障がい者に関係なく、各職場のリーダークラスの社員の中から選ばれています。サポーターは、自分が担当する社員の業務だけでなく、体調などにも気を配ります。この制度には、誰もが働きやすい職場づくりを進めるためだけでなく、サポーター自身の成長を促すという側面もあるそうです。
社員のモチベーションアップにつながるものとして、MVPカードという制度もあります。社員同士でがんばった人へのメッセージを書いたカードを食堂の掲示板に貼り出すことで、社員同士のコミュニケーションの活性化に役立っています。
シャープ特選では、障がい者の就労支援を目的に、全国の聴覚支援学校などに出向いて講義を行うなど、キャリア教育支援活動にも取り組んでいます。講義では、同じ障がいを持つ社員が自分自身について話します。受講した生徒の皆さんが自分の将来像をより具体的に思い描く一助になるだけでなく、講義を担当した社員が「人のためになっている」と感じることで、モチベーションが向上し、職場定着にも繋がるのです。
キャリア教育支援活動で講師を務める高橋さん
シャープの経営理念には、「広く世界の文化と福祉の向上に貢献する」という一文があります。シャープは、人を笑顔にする製品をつくっている会社です。これからも健常者と障がい者がともに笑顔で働ける環境を大事にしていきたい。それが、お客さまの喜びにも繋がっていくと思うのです。
(広報担当:Y)
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