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「いずみの国歴史館」でシャープのワープロに触れてきました

2022年11月1日

著者:広報Y

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シャープの本社がある大阪府堺市の南に隣接する、和泉市の「いずみの国歴史館」。緑豊かな公園に隣接した、和泉市の歴史を今に伝える博物館です。その「いずみの国歴史館」の企画展にシャープのワードプロセッサ(ワープロ)が展示されると聞いて、さっそく見学させていただきました。

現在外壁工事中ということで、もうすぐ美しい建物が青空のもと現れます

「いずみの国歴史館」の担当者の方から当社に連絡をいただいたのは今年7月のこと。同館で10月より開催される企画展「イチオシ!2」に当社のワープロを展示したいということで、ワープロに関する資料を探していらっしゃいました。和泉市の歴史を伝える博物館に当社のワープロ・・・?

担当者の方によると、現在の和泉中央駅付近にあたる和泉丘陵内を開発する際、現地の大規模な発掘調査をしたそうです。和泉丘陵は多くの古墳が発見された歴史ある場所で、1981年から9年をかけて調査が行われました。その時、報告書などの膨大な資料作成に活躍したのが当社のワープロ<WD-530>で、1999年に開館した「いずみの国歴史館」に資料などを引き継いだ際、一緒に運び込まれたそうです。それから倉庫に保管下さっていたものを、今回の企画展に展示するということでした。
なるほど、そういうことですね!すぐに当時のカタログなどをコピーしてお送りしました。

さて、その企画展「イチオシ!2」。和泉市の文化財に携わる担当者の方それぞれがコーナーを持ち、ご自分が見せたいと思うものを展示するという楽しい企画で、大好評だった2017年に続き、2度目の開催だそうです。そして歴史館を運営する和泉市教育委員会 文化遺産活用課の歴史を物語る資料として、倉庫に眠っていたワープロを企画展に展示することを考えて下さったのは、学芸員の深川さん。当社ワープロにスポットを当てていただき、本当にありがとうございます!

そもそもワープロって?

ワープロといっても、ある年齢以下の方にはピンとこないかもしれませんね。パソコンの文書作成ソフトウェアの機能に特化した機械・・・と言えば伝わるでしょうか。ワープロ1台で、文書作成から印刷までできます。

当社は1977年、業界で初めて日本語ワードプロセッサの試作に成功、1979年に<WD-3000>を商品化しました。価格は驚きの295万円!それが1986年発売の<WD-530>では定価17万8千円になりました。わずか7年の間に1/16以下にまで価格が下がったのです。当時の技術の進化のスピード感が伝わってきますね。手軽に購入できるようになるにつれ、オフィスなどに次々とワープロが導入され、多くのメーカーがワープロ市場に参入しましたが、パソコンの普及とともにその需要は縮小し、当社も2003年に生産を終了しています。

日本語ワープロ「書院」 <WD-3000>1979年発売

<WD-530>と感動の対面!ワープロの思い出に浸ってみる。

10月の晴れた日、「いずみの国歴史館」におじゃまし、企画展を見学させていただきました。こちらが<WD-530>展示コーナーです。

展示するにあたり、二十数年ぶりに電源を入れてみたところ、問題なく動いたとのこと。来訪者も自由に触れることができます。深川さんによると、ワープロを使ったことがある方からは「懐かしい」というお声や、ワープロを初めてみるというお子さまからは「パソコンじゃないの?」などというお声があがるということです。

私も使わせてもらいました。私がシャープに入社した頃はまだワープロを使っていたので(年齢逆算しなくていいですよ)、なんだか懐かしい!文字サイズを倍角や4倍角にするなど、パソコンにはない機能もあります。ローマ字入力で「シャープ」と打ってみようとしたら、「P」のキーが壊れているみたいで残念!同じようにいくつかのキーが使えませんでしたが、きっと当時たくさん使っていただいた証ですね。

横にある紙送りのツマミを操作し、印刷したい位置に紙を合わせてピンポイントに印字することもできます。今のプリンターではできない技ですね。

ワープロと一緒に、印刷や文書の保存に使用するフロッピーディスクや、印刷に使う感熱紙も展示されており、ワープロでタイプした文書を印刷することも可能です。感熱紙は、裏表を間違えると印刷できないんですよね。そういえばインクリボンは一度使っただけではもったいなくて、カートリッジをひっくり返して再使用したこともあるなぁ。そうすると文字が欠けて印刷されちゃうんですよね。えっ、何を言っているのか意味がわからない?それに感熱紙にフロッピーディスク?知らない方にとっては、もはやなにかの呪文のようですよね!

ワープロの展示を企画してくださった「いずみの国歴史館」学芸員の深川さん(左)と、和泉市教育委員会 生涯学習部 文化遺産活用課 総括参事の乾さん(右)

当時、実際にこのワープロで資料を作成したという乾さんにお話を伺いました。

<WD-530>は、和泉丘陵内発掘調査会の発掘調査事務所で初めて導入したワープロだったそうです。それまで手書きだった資料が、まるで印刷所に依頼したかのような活字の資料になり、本当に感動したそうです。

こちらの資料は当時作成されたものです。発掘調査における現地での説明会の際、それまで配布していたのは手書きの資料を印刷したものでしたが、<WD-530>導入を機にワープロで作成した資料を配布するようになったそうです。読みやすくなったうえに、ちょっと資料の格があがったような印象になりますね。

また、乾さんがまだ大学生だった頃、同級生がゼミでの発表のために当時まだ珍しかった当社のワープロを使ってレジュメを作成しているのを見て衝撃を受けた、という思い出を懐かしそうに聞かせてくださいました。

今回の企画展では、ワープロをはじめ、学芸員の方それぞれの思いが詰まった展示を見学することができます。

企画展「イチオシ!2」前期は12月18日(日)まで開催中、後期は2023年1月14日(火)~3月19日(日)開催予定です。ワープロの展示は前期ですので、ご覧になりたい方は前期中に足をお運びください。嬉しいことに入館料は無料ですので、お近くの方は何度でもどうぞ!

当社ではもう生産していないワープロですが、こんなふうにワープロにまつわる話を聞き、とても嬉しかったです。ワープロに触れた方みなさまにそれぞれの思い出を聞かせていただきたいな・・なんて思ってしまいました。また、初めてワープロという機械に触れたという方には、思い出がひとつ増えたのではないでしょうか。そんな機会を作ってくださった「いずみの国歴史館」の皆さま、本当にありがとうございます。

(広報Y)

<リンク>

シャープ 商品ヒストリー:https://corporate.jp.sharp/info/history/only_one/
和泉市いずみの国歴史館ぶろぐ:http://ic-rekishikan.jugem.jp/

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