『ヘルシオ ホットクック』開発グループが第9回「ものづくり日本大賞」経済産業大臣賞を受賞!
2023年3月13日
1月10日に発表された第9回「ものづくり日本大賞」の「Connected Industries―優れた連携部門」で、当社の水なし自動調理鍋『ヘルシオ ホットクック』開発グループの6名が経済産業大臣賞を受賞しました。「ものづくり日本大賞」は、製造・生産現場の中核を担っている中堅人材や伝統的・文化的な「技」を支えてきた熟練人材、今後を担う若年人材など、「ものづくり」に携わっている各世代の人材のうち、特に優秀と認められる人材を表彰する制度です。
ホットクックは、調理のほとんどを自動化し調理時間の負担を大きく減らすことで物理的・精神的な「ゆとり」を実現したこと、およびクラウドを活用したレシピサービスや当社キッチン家電との連携のほか、他社が提供する食関連サービスとの連携も可能なAIoT※機能により、多様化するライフスタイルをサポートする新しいビジネス展開も期待できるといった点が評価されました。
※ 「AIoT」は、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)を組み合わせ、あらゆるものをクラウドの人工知能とつなぎ、家電を人に寄り添う存在に変えていくビジョンです。「AIoT」および「COCORO KITCHEN」はシャープ株式会社の登録商標です。
今回、受賞した開発グループメンバーに話を聞きました。
――「ものづくり大賞」経済産業大臣賞の受賞、おめでとうございます。まず、感想をお聞かせください。
(中村)この賞は開発した人に対する賞ではありますが、実際には開発メンバーだけではなく、開発から販売、お客様サポートまでたくさんの人たちが関わってきました。開発メンバーはたまたま代表として受賞したのであって、関わった人たち全員が認められたというふうに思っています。
(源)この名誉ある賞の受賞を通して、ホットクックの良さをさらにアピールし、より多くの方に使っていただければと思っています。
(森下)私個人の力ではなく、指導してくださった上司や先輩、フォローしていただいた同僚や後輩、多くの方々に支えられての開発、受賞だと考えています。
(井岡)このたび、このような大きな賞を受賞し、普段から関わっているホットクックのポテンシャルの高さを再認識することが出来ました。これまで調理家電開発に関わって来られた方々の成果・技術を継承・発展させ、引き続き商品開発を通じて社会に貢献できるよう頑張っていきたいと思います。
(吉田)ホットクックの開発や販売に関わってきた多くの方はもちろん、使ってくださっているお客様がいてこその商品だと思いますので、お客様にもたいへん感謝をしています。
(武田)今回の受賞はこれまでホットクックに携わってきたすべての皆さまの努力の賜物です。その代表として受賞させていただくことを本当に嬉しく思っております。
2015年に初めて登場した、水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」。最初は2~4人用の1.6Lの大きさで、無線LAN接続機能もまだついていませんでした。その後、2016年に2~6人用の2.4Lを発売。2017年には初めて無線LAN接続が可能な機種を発売しました。
――ホットクックの生い立ちについて、改めてお聞かせください。
(吉田)ウォーターオーブン「ヘルシオ」に続く、食のおいしさと健康にこだわった新しい商品を検討していた当時、ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」が注目されていました。しかし、和食の定番である煮物で、長時間火にかける必要のある料理は、ずっとつきっきりで調理する必要があり、他の家事や仕事に追われる忙しい現代の生活者には敬遠される傾向がありました。そこで、なんとか手軽に美味しい和食を作れないかと考え、それまでの「ヘルシオ」シリーズにはなかった、「煮る」という加熱方法と、ヘルシオならではの簡単・健康調理にこだわった調理鍋をめざして、2014年夏頃から開発に着手しました。
(中村)業界で初めて調理鍋に自動かきまぜ機能を搭載しました。自動で食材の状態を判別し、その状態に応じてかきまぜの指示を変えるという独自の技術です。毎回同じ力でまぜるのではなく、まぜた感触(まざり具合)を検知し、それを次のかきまぜにフィードバックする仕組みを開発し、食材ごとに試作を何百回と繰り返すことでデータを蓄積して制御を可能にしました。これにより、分量が違っていても同じように仕上げることができます。
(井岡)ただまぜるだけではなく、調理のはじめは強火で全体をまぜ、最後の方には崩れないようにやさしくまぜるといったように、火加減やまぜ技を組み合わせるようにしています。新しいメニューを増やす際は、どのタイミングでまぜるかといった微調整を繰り返してメニューを完成させています。
――ホットクックには、無線LAN接続することでメニューを増やせるという大きな特徴があります。無線LANに接続するというのは、最初からコンセプトにあったのでしょうか?
(中村)会社の事業ビジョンとして「8K+5GとAIoTで世界を変える」を掲げている中、次にホットクックで何をやろうかと考えたときに、お客様にとって利便性が向上するのではないかということで、無線LAN接続機能を搭載することになりました。その前の2016年9月に、無線LAN接続により音声対話で毎日の献立選びを相談できるウォーターオーブン「ヘルシオ」<XW-300>を発売していて、その流れもありました。
(吉田)無線LAN接続することが、使う人にとってどんなメリットになるのか、なにができると嬉しいのか、お客様視点で徹底的に考えました。特にホットクックはそれまで家にない家電だったので、何ができるのか店頭で聞かれることも多く、「無線LAN接続することでレシピが増える」ことが響くのではないかと思いました。
2018年にはふたを開けて加熱できる「煮詰め」機能、2019年には使い慣れた鍋のように火加減やまぜかたを選べる「好みの設定加熱」機能を搭載。2020年にはそれまでステンレス製だった内鍋がフッ素コート加工に。
2021年には本体の小型化を実現し、お客様の使いやすさを実現する進化を遂げています。本体サイズや色のバリエーションも増え、選ぶ楽しさが生まれました。
――ホットクックはユーザーの「こんなふうになったらいいな」というお声とともに進化してきたように思います。そういった声はどのように集めてきたのでしょうか。
(吉田)ホットクックはこれまで、お客様のニーズを取り入れて進化させてきました。無線LAN接続を通じて入手した使用状況のデータを分析したり、ホットクックユーザー同士で情報交換していただくための公式コミュニティ「ホットクック部」での声を参考にしたり、お客様とのつながりというところを大事にしながら育ててきた商品です。このような取り組みは、今後も継続していきたいと思っています。
初期のころは、無線LAN接続から使用状況を分析するのに加え、試食体験会やヘルシオ教室(料理教室)などで直接お客様からの声を聞く機会を多くつくることを意識しました。最近ではオンラインのヘルシオ教室で直接お話を伺う機会や、SNSなどで自発的に発信してくださっている方も多く、そういった声も大切にしています。
――まだまだ進化を続けるホットクックですが、今後の抱負を聞かせてください。
(中村)今はまだごく一部の方だけに使っていただいている製品なので、もっと多くの人に知ってもらいたいし、使ってもらいたいです。使っていただいて良さを理解してもらえると、社会の課題に対してもっと貢献もできるだろうし、たくさんの方の声を聞くことで新しい方向性が出せるんじゃないかとも考えています。たとえば、人手不足が課題となっている保育や介護、外食といった業界でも使ってもらい、ものづくりの面から社会貢献できればと考えています。また、クラウドで収集したデータの活用や、食関連サービスとの連携といったことにもさらに積極的に取り組んでいきたいです。
(吉田)お客様から「自分の時間ができた」「生活が変わった」といったお声をいただくので、これからもそんな声を聞き続けられるように努力して、ホットクックを進化させていきたいです。企画の仕事をしていて、お客様に喜んでいただけることや笑顔が増えるといったことがとても嬉しいです。キッチンに立っている時間は思いのほか長いので、その時間を、楽しくワクワク、プラスの感情に変えてもらえるようなものをお客様に届けたいと思います。
(武田)ホットクックは食材と調味料をセットしてスイッチオンするだけでおいしい料理ができあがる、とても便利な調理家電です。この便利さを一人でも多くのお客様に体験いただき、ご愛用いただけるよう、今後も努力していきたいと思います。
(森下)ホットクックは電子レンジなどに比べ、家庭の必需品になりきれていません。必需品になれるように、ホットクックをより良い製品にしていきたいと思います。
(源)ホットクックには、熱心にご愛用いただいているお客様がたくさんいらっしゃいますが、まだまだホットクックをご存じないお客様がいらっしゃることを目の当たりにすることもあります。ホットクックは発売してまだ7,8年しか経っておらず、まだまだ進化の可能性があると考えています。もっと多くの方に知っていただき、一家に一台必要と言われるような商品づくりに取り組みたいと思います。
(井岡)世の中の常識を覆すような商品を作り、人々に驚きと感動を与えられるような商品開発がしたいです。当面の目標としては、準備、片付けも含め、面倒な作業ゼロのストレスフリーな調理家電を開発したいです。これまでの開発においても、たくさんの実験、試行錯誤の繰り返しの日々でした。しかし、失敗と思った実験結果からも新たな発見が生まれると思っています。なんでもやってみよう!の精神でいろいろなチャレンジをして、先入観のない新しい視点でものごとを考えられるようにしたいと思っています。
―――ありがとうございました。
ホットクックという、これまでにない製品の開発に携わったメンバーは、たくさんの方に支えられて今回の受賞に至った感謝を多く口にしていました。話を聞く中で、中村さんが「他社さんからもさまざまな自動調理鍋が発売されてきていますが、これは自動調理鍋という分野が世の中から認められたということ。業界全体で盛り上がっていければと思います。その中でホットクックを選んでもらえるようにがんばります」と話してくれた言葉が印象的でした。当社の創業者、早川徳次は「まねされるものをつくれ」という言葉を遺しましたが、ホットクックはまさにその言葉通りの製品です。これからもホットクックの進化から目が離せません。
(広報Y)
<関連サイト>
経済産業省:ものづくり日本大賞ホームページ
受賞表彰:水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」開発グループが 第9回「ものづくり日本大賞」の経済産業大臣賞を受賞
ニュースリリース:水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」開発グループが
第9回「ものづくり日本大賞」の経済産業大臣賞を受賞
ホットクック製品サイト:https://jp.sharp/hotcook/
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