もう遠い昔のことのようにも思えてしまいますが、つい2年前の今頃は、世界中から多くの観光客が日本を訪れ、観光地や繁華街などでさまざまな言語が飛び交う光景が私たちにとっての日常でした。年々増加し続ける訪日外国人に、より多くの日本の魅力をお伝えするべく、いかにおもてなしすることが出来るか、みんなで考えていた頃の記憶がよみがえってきます。
今はまだ、自由な往来が難しいですが、この困難な状況を乗り越えた後には、再び多くの訪日観光客をお迎えできると思います。その時に向け、訪日観光の体験が少しでも快適なものとなるよう、あらかじめ適切な情報を収集でき、また、実際にお越しいただいた際に思わぬトラブルに遭ってしまったとしても、助けとなるような仕組みをご用意することも大切なおもてなしの一つだと思います。
2021年7月1日に運用を開始した、独立行政法人国民生活センター(以下、国民生活センター)の「訪日観光客消費者ホットライン専用多言語対応※1ホームページおよび多言語対応※1チャットボットシステム※2」も、そのような仕組みの一つです。
※1 対応言語:英語、中国語〔簡体字・繁体字〕、日本語。FAQ等を除く簡易ページは、韓国語、タイ語、ベトナム語、フランス語にも対応(導入時点)。
※2 短文でリアルタイムに会話する「チャット」とロボットを意味する「ボット」を組み合わせた言葉。AI(人工知能)を活用した自動会話プログラムのこと。
このシステムに、シャープマーケティングジャパン株式会社(以下、SMJ)が開発したAIサービス「Brainrobi(ブレインロビ)」を導入いただいたご縁から、今回、国民生活センターさまに本システムの立ち上げに至った経緯や、今後の狙いなどについてお話を伺いました。
はじめに、国民生活センターと「訪日観光客消費者ホットライン」についてお教えいただけますか?
独立行政法人国民生活センターは、消費者一人一人が安全・安心な生活をおくるために、消費者トラブルの相談対応や未然防止・拡大防止のための情報提供、商品テスト、裁判外紛争解決手続などの事業を行っている国の機関です。
「訪日観光客消費者ホットライン」は、海外からの訪日外国人観光客の増加に伴い、2018年12月より通訳を介した電話相談による専門窓口を開設し、訪日外国人観光客の消費者トラブルの相談に対応してきました。(現在は、英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語、フランス語、日本語に対応)
今回、本ホームページを開設された背景や課題、目的などを教えていただけますか?
2018年12月より電話相談を受け付ける中で、実際にどのようなトラブルや問題が訪日外国人観光客の方に起きているか、情報が寄せられ、蓄積されてきました。これらの情報をトラブルの未然防止や拡大防止に活用するための方法を検討してきました。
また、相談に応対している中で、訪日外国人観光客の方々は、日本滞在中にトラブル解決のための情報を入手しトラブル対応を行わなければならず、短い旅行行程の中でこれらを行うのは容易ではないことを実感しました。一方、ホットラインの受付時間は限られています。
こうした背景から、観光客の方々がホットラインの受付時間以外でも、24時間365日いつでも、トラブル解決に役立つ情報を入手できるよう、多言語対応のホームページとチャットボットを導入しました。
現在、新型ウイルスの影響で外国人観光客が日本を訪れるのは困難な状態が続いています。世界の状況などを見ながら、日本が外国人観光客の渡航制限を解除する場合に備え、引き続き、取り組んでいきたいと考えています。
今回構築されたシステムはどのような内容でしょうか?
多言語でホームページを構築し、ホットラインの窓口を案内するとともに、FAQ(よくある質問への回答)を掲載しています。簡単に情報を検索できるシステムやチャットボットを導入し、旅行者の方々がトラブルにあった場合に、これらを活用して自己解決に役立ていただけることを目指しています。
また、ホームページには日本の文化・習慣などを紹介する「お役立ち情報」も掲載しています。これは文化の違いなどからトラブルになりやすい事項などを事前に知っていただき、トラブル回避につなげていただくことを目的としています。読み物として、トラブルに遭っていない人にも楽しく読んでもらえるように工夫しています。
ホームページやチャットボットを利用いただくことにより、旅行者の方々が知りたいときにいつでも簡単に必要となる情報にアクセスできるようになりました。
また、スマートフォンを利用することを想定して、スマートフォンで見やすいように画面のデザインを工夫しています。ホットラインの電話番号をタップするだけで通話できるようにしたり、外国人がよく利用するSNSの共有ボタンを配置したりするなど、利便性にも配慮しています。
言語は英語、中国語〔簡体字・繁体字〕だけでなく、日本語でも表示されます。訪日外国人観光客の方だけでなく、訪日外国人観光客の方がどんなことで困っているかを知るためなど、観光客を迎える日本の方々にも使っていただけると嬉しいです。
今後、充実、発展させていきたい内容などはありますか?
このシステムでは利用状況や解決率、どのような問い合わせが多いかなどを、「ダッシュボード」や「レポート」という機能で管理しており、情報分析を行いながらシステムの改善対応が容易にできるようになっています。これらの活用や、チャットボットの学習によるAI進化により、FAQの解答精度の向上を図っていきます。また、トラブルの解決や未然防止のためのコンテンツの充実化を進めていきます。
そしてトラブルに遭った方はもちろんのこと、まだトラブルに遭っていない方々にも活用いただき、さらに友人・知人などへ広めていただけるようなサイトにしていきたいと考えています。
――ありがとうございました。
今回、導入いただいた「Brainrobi」には、「BOT」「ASSISTANT」「VOICE」「KNOWLEDGE」の4つのサービスがあり、無人化・省力化で効率を高め、スピーディ&スムーズに問題を解決します。
国民生活センターさまでは、「Brainrobi KNOWLEDGE」をFAQとチャットボットの多言語コンテンツの統合管理に、また「Brainrobi BOT」をチャットボット基盤として採用いただきました。
「Brainrobi」の詳細はSMJホームページにてご紹介しています。
「Brainrobi」はBrain(頭脳)+Robin(コマドリ)から名付けました。「いつも傍らに居て、助けてくれる」がコンセプトです。イメージキャラクターはコマドリの「ロビン」です。よろしくお願いします!
渡航制限が解除され、みんなが安心して自由に往来できる日が一日も早く訪れることを願うとともに、当社のサービスで訪日観光客の不安を少しでも和らげられるよう、これからも支援していければ幸いです。
(広報C)
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