“テレビの価値って何ですか? それを変えることはできますか?”
こんな漠然とした問いと向き合っていただいた、熱い熱い3日間をレポートします。
11月10日から12日まで、東京ビッグサイトで開催した当社単独の大規模イベント「SHARP Tech-Day」の会場にて、テレビをテーマにしたハッカソン「Future AQUOS Hackathon in SHARP Tech-Day」を開催しました。
ハッカソンとは、設定されたテーマに対して、期間内にアプリケーションや製品のプロトタイプを開発し、アイデアの斬新さや技術の優秀さを競い合うイベントです。
今回のテーマは、「テレビの価値を変えてしまおう!」。
事前に参加者を募集した結果、25名(9チーム)の方にご参加いただきました。3日間という短い期間で、テレビの価値を変えるソリューションの創出やアプリケーションの開発にチャレンジいただきました。
ものすごいスピードで開発されるアプリケーション
冒頭、ハッカソンの司会進行や支援など、ファシリテーターをしていただいた株式会社ORPHE 代表の菊川裕也様より、ハッカソンの狙いや全体の流れなどをお話しいただきました。
こちらがハッカソン会場。
各チームには、当社テレビ「AQUOS」のほかUSBカメラなどの開発に必要な機器が提供され、実際に開発するアプリを動かしながら開発は進められました。
「テレビといえば、ドラマやバラエティを観るもの。それならスマートフォンやタブレットでもいいじゃん」そう考える方も少なくないはず。
今回のハッカソンでは、その価値観をどのように変えられるか、そこに勝利の鍵がありそうです。
限られた時間のなか、真剣ながらも、楽しい雰囲気でハッカソンは進みました。
そして、あっという間の最終日。
持ち時間は3分、渾身のプレゼンテーションはどれも面白い!
審査員を交えて、各チームのプレゼンテーションがスタートしました。持ち時間は3分です。短い時間で、いかにわかりやすく、魅力的に伝えるかが重要となります。
ユーモア溢れるプレゼンテーションに、会場が笑いに包まれます。
全チームのプレゼンテーションが終わり、審査員は別室に移動して審議します。
緊張の表彰式。最優秀賞に選ばれたチームは……
いよいよ表彰式。優劣つけがたいアイデアばかりですが、1位を決めなければいけません。審議も白熱したようで、開始が少し遅れるほどでした。
表彰式は、菊川様と、今回のハッカソンを推進した当社 研究開発本部 オープンイノベーションセンター 所長の金丸により進行されました。
ステージでは、改めて各チームのアイデアが発表。すぐにでも実現してほしいものばかりです。
どのチームが優勝するのか、まったく予想がつきません。
プレゼンテーションも終わり、まずは審査員特別賞の発表です。
審査員特別賞は、「ボッチでクラッピーシンドローム」チーム!
テーマは、「空間コンピューティングの本命はテレビです」
ヘッドマウントディスプレイをかけて目の前に仮想のモニターをつくり出し、大画面で映画やパソコン画面を表示する空間コンピューティング技術が近年進化しています。本アイデアでは、それをテレビで実現してしまおうというものです。作成いただいたプロトタイプでは、テレビを覗くと、その向こうに立体的な空間が広がっているように観えました。
続いて、優秀賞の発表です。
優秀賞は、「TODOROKI」チーム!
テーマは、「ミルヨク」 〜見ればミルほど世界がヨクなるTV〜
テレビを観ている人をカメラで撮影し、広告に目線が向くと視聴者にコインが送られる仕組みです。コインは募金活動をしている団体に寄付することができ、寄付された方からのお礼やちょっとした返礼品が届きます。AIが視聴者の “道徳スコア” を算出し、スコアをあげる楽しみも。テレビを観るほどに、社会貢献できるというアイデアです。
そしていよいよ、最優秀賞の発表です。
最優秀賞は、「愉快な仲間たち」チーム!
テーマは、「家族に寄り添う AI ファミリーアシスタント」
AIを搭載したテレビが、家族のアシスタントになるというもの。テレビに映った製品やサービスなど、家族が興味ありそうなものをAIが⾃動的に分析し、仮想通貨で購⼊できたり、番組の感想について会話したりすることができるというアイデアです。プロトタイプでは、インターネット動画サイトで動画を観ている際に、映った家電をリスト化し、そのまま購入するといった流れを実演されていました。
審査を終えて
審査員より、ハッカソンについてのお言葉をいただきました。
まずは、情報科学芸術大学院大学 教授の小林茂様より。
テレビは、リビングのなかで一番いい場所にあり、なおかつ電源が常に供給されている。その意味をどういう風に解釈するのか、まだまだ自由だなと思いましたし、それがうまく解釈できれば、いろいろな価値を生み出せると改めて実感しました。
次に、弁護士でありnote社外役員、グットデザイン賞審査委員も務める水野祐様より。
シャープさんみたいな大きな会社が、こういうオープンイノベーションに取り組むことは非常に価値があることだと思います。例えば今回のハッカソンでも、非常にプライベートな空間にあるテレビの可能性ということに皆さん着目されていて、それって大企業で開発しようとすると、すぐにプライバシーとか、個人情報保護の問題でやめておこうという話になりやすい。まずはデモをつくって、イマジネーションを働かせるというのは、非常に大きいことだと思います。そういうところにこそ、次の種が隠れていると確信しています。
続いて、当社 常務執行役員 CTO 兼 R&D担当 兼 研究開発本部長 種谷 元隆より。
まずは本当に3日間、ありがとうございました。テレビを一生懸命考えていただき、非常にありがたいと感じています。今回、審査員のなかでも意見が分かれまして、高いレベルのなかでどうやって選ぶんだと、議論が白熱しました。どのテーマも非常に魅力的です。シャープの中だけで考えていても変われないという想いで開催したハッカソンです。皆さんのアイデアから、大きなきっかけをたくさんいただきました。受賞チームに関わらず、次のフェーズに向けて一緒に考えていきましょう。
最後に、ハッカソン開催に多大なるご協力をいただいた京都芸術大学 教授の小笠原治様より。
どのようなテーマ設定にしているか、伝わりやすいかというところで選び、このような結果となりました。テレビが実は空間コンピューティングの真ん中にあるとか、テレビを観ていたら世の中を良くできるとか、テレビが家族のアシスタントになるとか。何年後かに実現されたとき、ここにいる皆さんはその最初を観た人になります。物をつくるってすごく楽しいですし、実際、今回関わられたシャープのスタッフの方々も楽しんでいただいたと思います。そういう一人ひとりの熱量というのが、大きな組織を変えるところを今まで見てきていますので、ぜひその熱量をイベントで終わらせずに、進んでいただければと思います。
最後に記念撮影をして、ハッカソンイベントは終了しました。
ハッカソンには、テーマの理解、市場の分析、斬新なアイデアの創出、時間内での開発など、新規事業の立ち上げに必要なステップがぎゅっと詰まっています。想像力やスキル、そしてなにより熱量が本当にすごい。世の中を変えるものは、時間をかけて練りに練られたものとは限りません。一瞬のひらめきと行動が、“少し未来の当たり前”になっていくこともある、ということを感じました。
今回のハッカソンが、テレビの価値をどのように変えていくのか。今後の動きもしっかりとお伝えしていきたいと思います。
(広報M)
シャープ Open Incubation:https://oi.jp.sharp/
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