10月29日(火)から11月24日(日)まで、東京都台東区の上野公園内にある東京国立博物館にて、当社の8K対応液晶テレビ『AQUOS 8K』を活用した展示“8Kで文化財 国宝「聖徳太子絵伝(しょうとくたいしえでん)」”が行われています。
お札の肖像にもなっていた聖徳太子は、数々の功績や伝説を残しています。この絵伝は、それらの物語を一枚のパノラマ絵として見ることができます。東京国立博物館の総合文化展でこの国宝絵伝が公開されるのは、約三年半ぶりのこと。本公開を待ち望んでいた方も多いのではないでしょうか。
国宝「聖徳太子絵伝」は、平安時代の1069年に、絵師 秦致貞(はたのちてい)によって描かれました。太子の生涯を描く聖徳太子絵伝としては最古のものです。太子が建立した法隆寺の絵殿に飾られていたものですが、明治期に皇室に献上され、作品保存の観点から、今は東京国立博物館に移され、厳重に保管されています。
この絵伝は、綾という絹の織物に着色されています。綾は摩擦に弱いそうです。そのため、約千年が経とうとする現在、彩色の剥がれや変色が進んでいます。一般公開される期間や、照明などの展示環境など、多くの制限があります。
そこで、いつでも、どこでも、国宝「聖徳太子絵伝」を楽しめるものとして、8Kの技術が活躍しています。
国宝「聖徳太子絵伝」の高精細画像を収めたアプリケーション「8Kアートビューアー」を8Kの大型ディスプレイに映します。「8Kアートビューアー」は、国立文化財機構 文化財活用センターとNHKエデュケーショナルが制作したものです。
国宝の絵伝と同じ会場に『AQUOS 8K』があります。展示用の3台と、紹介映像用の1台、計4台が設置されていました。
「8Kアートビューアー」は、手元のタブレットで操作することができます。
気になる場面を選んだり、拡大縮小したり、直感的に操作することができました。
国宝の前に立ち、そしてゆっくりと近づいてみる
展示会場を進むと、目の前に国宝「聖徳太子絵伝」が広がります。まずはその大きさに圧倒されました。そして、遠くからでもわかる絵の緻密さ。約950年という長い歳月を想像し、もともとはどんな色彩で、これを見た人はどんなことを考えたのだろうと思うと、背筋が伸びるようです。たいへん貴重な経験です。
それでは、ゆっくりと近づいてみましょう。赤く囲った部分に注目してみます。
近寄ってみると、肉眼ではこんな感じに見えます。
絵伝とガラスとの間は1メートル弱ほど離れているので、これ以上近づいて見ることはできません。様々な場面を見ることができますが、もう少し近づきたい、というのが本音です。
カメラのズーム機能を使って、さらに黄色い枠あたりに近づいてみましょう。
すると、聖徳太子の誕生を祝う宴の場面が見えてきました。1歳の聖徳太子が、抱っこされて嬉しそうに微笑む場面が描かれています。
「8Kアートビューアー」を使ってみる
次に、「8Kアートビューアー」を見てみましょう。70インチの大画面で、ここまで近づいて詳細を見ることができます。ディスプレイをカメラで撮影したものであり、肉眼ではより鮮明です。
中央に、抱っこされて微笑む太子が見えると思います。絹糸の一本一本や、細かい描画までじっくりと楽しむことができました。
解説には英語もあり、おそらく海外の方でしょうか、熱心に読んでいる方もいらっしゃいました。
展示の主催者である文化財活用センターの方は、「デジタルコンテンツなら、時間と場所の制約を受けずに展示することができます。今までは研究者のみが見ていたものを、このように一般公開できるようになりました。今後の研究にも活かしていきたいと考えています」とおっしゃっていました。
まずは国宝絵伝の前に立ち、肌で感じてみる。そして、「8Kアートビューアー」でその緻密な描画をじっくりと見て、解説で知識を深める。そしてもう一度国宝絵伝の前に立ってみてください。それまでとは違った見え方になると思います。国宝絵伝、そして8Kが併設されているこの機会に、ぜひ体験してみてくださいね。
(広報担当:M)
独立行政法人国立文化財機構 文化財活用センター
8Kで文化財 国宝「聖徳太子絵伝」2019
https://cpcp.nich.go.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=dtl&id=10
関連記事