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ワインの銘柄も“におい”で判定!「AI Olfactory Sensor(AIにおいセンサ)」開発①

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「AI Olfactory Sensor(AIにおいセンサ)」

以前、においが見えるという不思議な能力を持つ人を主人公にしたドラマを見たことがあります。そのおかげで事件が解決したり、危機が回避できたりしていました。残念ながら人はにおいを見ることはできせんが、においを見れる装置があったら、世の中の役に立ちそうですよね。

実は、シャープはにおいをイメージ(画像)化して、見分ける製品を開発しているんです!その名も「AI Olfactory Sensor(AIにおいセンサ)」。AI(人工知能)に加え、シャープ得意のディスプレイの基板技術を活用することで、低コストで高い判定精度を実現しており、昨年11月に開催したシャープ初の単独技術展示イベント「SHARP Tech-Day」や、年初に米国ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2024」で展示し、多くの注目を集めました。

今回、「AI Olfactory Sensor」の開発の経緯、特長や利点、今後の展開、計測原理などについて、開発担当の寺西に聞きました。2回に分けて紹介します。

「AI Olfactory Sensor」開発メンバー 左より寺西、大塚、アベシンゲレシヤン

 

― 「AI Olfactory Sensor」開発のきっかけは?

シャープはディスプレイに強みを持つ会社で、関連した要素技術がたくさんあります。元々、私もディスプレイの開発に携わっていましたが、培ってきた要素技術をディスプレイ以外の分野でも活用できないかとの提案を受け、検討したところ、人の目に相当する「画像認識センサ」は一般的ながらも、鼻に相当する「においセンサ」を開発しているチームは、さほど多くないことが分かりました。そこで、このテーマにトライした結果、ディスプレイ基板技術の転用とAIの活用により、低コストで高精度のにおいセンサが実現できそうだと予感し、2020年頃から本格的に開発を始めました。

 

― 「AI Olfactory Sensor」とはどんな製品ですか?

生物の嗅覚を模倣したにおいセンサです。センサで得た情報(出力値)をイメージ化し、AIアルゴリズムを用いてデータ解析することで、においを判別します。シャープのディスプレイの基板技術にAI(人工知能)をうまく活用することで、、低コストと高い判定精度を実現しています。応用例として、五感(嗅覚)に頼ることが多かったワインや香水などのにおいを可視化することで、品質管理を容易にすることなどが考えられます。

●「AI Olfactory Sensor」の概要が分かる動画もご覧ください(下記画面の矢印をクリック)。

 

― 具体的にどんな用途での使用を検討しているのですか?

においをデータに基づき定量的に測定できるため、様々なにおいのソリューションへの展開が期待できます。青果なら成熟度合いや糖度、魚だと新鮮さなど、その食材を傷めることなく測定可能ですし、腐敗した食品を早めに検知することでフードロス削減につながります。

展示会ではワインの銘柄を判定するデモを行いましたが、お酒だと、実はある酒造メーカーと、日本酒の品質を管理するシステムを共同で開発しています。酒造メーカーの方にお聞きすると、お酒の味の7~8割はにおいで決まってくるそうで、重要なファクターです。しかし出来上がった日本酒を市場に出していいか、においで判定する検査(出荷判定検査)は、今でも人がやっているそうで、その部分に手間や熟練度を必要とします。また、人の判定はその時の健康状態などにも影響を受けます。「AI Olfactory Sensor」は、この部分を補うことで、品質管理の定量化と効率化を支援します。ある出荷判定の検証では、「AI Olfactory Sensor」は、出荷判定のスペシャリストの判定に対して、平均95.2%の正解率が得られました。

 

― なるほど、食品・食材の品質管理の面で十分お役に立てそうですね。

それだけではありません。人やペットの健康予防にもお役立ちできると考えています。奈良県立医科大学(以下、奈良医大)とは、人間の代謝臭によって健康状態を判定できる技術を共同研究しています。伺った話によると、歯周病の人の口臭には特有のにおい成分が含まれるそうです。歯周病は、手術を受ける人にとっては、口腔内細菌が原因となる感染症もあり、手術前に予防を目的とした口腔ケアを行うこともあるそうです。口臭で口腔内の状態がわかれば、歯科治療を促す装置ができるのではないかと相談を受け、共同研究することになりました。

人はもちろんですが、ペットもです。例えば猫の尿のにおいで健康状態を測定し、予防につなげられないか検討しています。

イメージ

ほかにも、工場などで有害物質が発生した場合のセンサなども考えられると思います。

 

― においによるソリューションの可能性は大きそうですね。次回は測定原理などを教えてください。

次回に続く

 


「AI Olfactory Sensor」が、ワインの判定のみならず、さまざまな分野に応用できることが分かりました。次回は、「AI Olfactory Sensor」の測定原理や、ディスプレイのどんな技術を活用しているのか伺います。ご期待ください。
*シャープ公式noteでも「AI Olfactory Sensor」を紹介していますので、こちらもご覧下さい。

「ワインソムリエになるために、あらゆる「香り」を嗅ぎまくった1年間(シャープ公式ote)」

(広報H)

<関連サイト>
■ニュースリリース:
 米国のテクノロジー見本市「CES 2024」に出展 
 「SHARP Tech-Day」(11/10~11/12)を開催

■SHARP Blog

■note(シャープ公式)

「SHARP Tech-Day」 

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