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「日本製だからこそ品質の高いマスクを作りたい!」
三重工場での生産の取り組みやシャープマスクへのこだわりについて紹介します―<マスクで社会貢献⑤>―

2021年6月2日

Author:広報H

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シャープ三重工場 マスク生産ライン

シャープ三重工場 マスク生産ライン

これまで、シャープマスクの特長(第1回)製造方法(第2回)、お客様へのEC販売を担当する株式会社SHARP COCORO LIFE(以下、ココロライフ)の取り組み(第3回第4回)を当ブログで紹介してきました。私たち電機業界に身をおく者にとっては無縁だったマスク生産への参入のため、製造現場のシャープ三重工場では大変な苦労がありました。連載第5回の今回は、マスク生産への挑戦に日々奮闘する様子や、シャープマスクへのこだわりなどを、生産に携わるシャープディスプレイテクノロジー株式会社(以下、SDTC)の担当マネージャーに話を聞きました。

左:生産管理・出荷管理を担当する (SDTC) パネル生産統轄部 第四生産部 課長 幾竹 択弥

左:生産管理・出荷管理を担当する (SDTC) パネル生産統轄部 第四生産部 課長 幾竹 択弥
右:生産設備導入・製造ラインのレイアウト管理を担当する (SDTC)パネル生産統轄部 実装展開推進部 課長 野村 広明

 

― 昨年3月、急にマスクの生産を担当することになったときの率直な感想を教えてください。

(野村)電機メーカーに入社したのに、まさか自分がマスク作り?というのが最初の感想でした。また、どうやって作るのか、どんな材料や技術が必要なのか全く分かりませんでした。本当にゼロからの出発であり、戸惑いもありました。

(幾竹)専門外の仕事を行うことに正直戸惑いがありました。マスク製造、品質管理、出荷にわたる一連の業務が初めてで、実際にやってみるとこれほど大変だとは思いもよらなかったです。

 

― シャープがなぜ異業種であるマスクの生産に参入することになったのですか?

(幾竹)シャープブログでも紹介されていますが、新型コロナウイルス感染症の拡大のためマスクの入手が難しい状況にあった昨年2月、日本政府から、マスクを作ってもらえないかとの打診がありました。打診を受け、社内で検討した結果、三重工場のクリーンルームを使ってマスクを生産すれば社会貢献につながると判断し、昨年2月28日に生産を決定しました。

 

― クリーンルームのある液晶工場は亀山などにもありますが、なぜマスクは三重で作ることになったのですか?

(野村)三重工場では、液晶パネルの生産効率向上のため、古い設備を入れ替えるなど大幅にレイアウトを見直した経緯もあり、スペースに余裕がありました。ちょうど、この空きスペースの活用法を検討中でしたので、三重工場でマスクを生産することが決まりました。それから大急ぎで準備を進め、約1ヶ月後の3月24日に生産を開始することができました。

シャープ三重工場

シャープ三重工場

 

― マスクの生産には製造装置が必要ですが、どうやって仕入れたのですか?

(野村)私が液晶パネルを担当していた時に付き合いのあった設備メーカーはマスクを扱っていなかったので、一からマスク装置メーカーをあたりました。しかし、当時はマスクの需給が逼迫していたことから、生産能力を増強するところや新規参入する企業もあり、装置の納品には半年以上かかる状況でした。早期に生産を開始するため、親会社の鴻海グループの力を活用し、台湾からマスク製造装置を1台、なんとか導入することができました。

最初に導入したマスク製造装置

最初に導入したマスク製造装置

  

― マスクの作り方はどのようにして習得したのですか?

(野村)ネットや書籍などを見て、一から勉強をはじめました。実は、最も参考になったのはネットの動画サイトなんです(笑)。マスクの製造工程などが掲載されていて、製造全体の流れや生産時間などを理解することができました。こうした情報を参考に、試行錯誤を繰り返しながら作成方法を習得したんです。

この後、もう1台装置を納入し、2台体制で生産をスタート。製造装置や工程にシャープ流のさまざまな改善を図り、新たな装置にフィードバックすることで、設置台数を増やしていきました。

  

― マスクの商品化でシャープがこだわったことを教えてください。

(幾竹)肌触りです。マスクの主要部材である不織布には、マスクの外側と口に触れる内側の2層で使われているスパンポンドと、その間に挟まれ、帯電することで微粒子をキャッチするメルトブローがあります。特に内側のスパンボンドは直接肌に触れるので、色々なメーカーの材料を何度も試して、肌触りの良いものを選びました。お客様からは和紙のような高級感のある肌触りだとお褒めいただいています。

 高級感ある肌触りの不織布を選定

高級感ある肌触りの不織布を選定

 

― 耳ひもにもこだわったと聞きましたが・・・。

(野村)そうなんです。当初は細い耳ひもを使っていたのですが、マスクを付け続けると痛いというご意見をいただきました。『ひもが細い分そこに負担が集中してしまう。では、太くすることで負担を分散させればよいのでは』と考え、太くてやわらかい素材を使ったやわらか耳ひもを材料メーカーと一緒に開発しました。シャープはマスクについて後発ですが、お客様の声には真摯に対応しています。小さめサイズのマスクを導入したのも、もう少し小さめのマスクが欲しいとお客様からご要望をいただいたからなんです。

耳ひも(左:従来 右:新たに開発したやわらか耳ひも)

耳ひも(左:従来 右:新たに開発したやわらか耳ひも)

 

― 生産する中で苦労したところや気をつけているところなどありますか?

(幾竹)数え上げればきりがないのですが、例えば耳ひもの例で言うと、ゴムなのですごく伸びるんです。それをミリ単位で精度よく切断していかないといけません。長さや左右のバランスも不安定な部分がありました。不織布も伸びるんですよ。以前、担当していた液晶パネルでは、巨大なガラスをパネル毎のサイズにカットしていくのですが、固いため、伸びるという観点では気になりませんでしたが、マスクの生産では、柔らかい布であることに起因した不具合の調整に手間取りました。

(野村)お客様の肌に直接触れる製品です。特に衛生面・清潔さに最新の注意を払っています。ブログ(第1回第2回)でも紹介されていますが、クリーンルームに入る前に素手で消毒した後、手袋をして再度消毒したり、抜けたまゆ毛が入り込まないように粘着性のあるシールで抜け毛を除去したりするほか、マスクに加えてフェイスシールドも装着するなど、徹底した対策を取っています。

 

― 先ほどお客様の声に真摯に対応しているという話をききました。三重工場はエンドユーザー向けの製品は作っていませんでしたが、マスクを担当して品質に対する意識に変化はありましたか?

(野村)以前、担当していた液晶パネルの品質にも同じように慎重に取り組んでいましたが、注意すべき点が違います。初めて一般のお客様へダイレクトに商品を提供する中、お客様の声をもとに開発した「やわらか耳ひもがいいね」とツイートされたこともあり嬉しかったですね。こうしたお客様からの反応もあり、品質への意識が変わりました。

 (幾竹)液晶パネルは消費者が手に取る最終製品ではなく、お客様のダイレクトな反応を耳にする機会が少ないんです。お客様の喜びの声を聞くと、やはりモチベーションが上がります。

  

― 累計生産2億枚に到達しました。これも、さまざまな取り組みや努力の結果なんですね。

(野村)マスクの生産を担当しているのは、もともと一緒に液晶パネルを担当していたメンバーで、これがチームワークの良さに繋がっています。初めてのマスク生産で苦労した分、担当者間の絆はさらに強まったと思います。チーム一丸となって取り組んだ結果が2億枚突破に繋がったのではないでしょうか。

 (幾竹)人手が足りない時期には、営業や管理部門などディスプレイの他部門からも交代で応援に来てもらっています。ディスプレイ部門だけでなく、EC販売を担当するココロライフや、パッケージデザインを担当したデザイン部門など、さまざまな部門が”One SHARP”で力を結集したからこそ、2億枚までたどり着けたのだと思います。

マスク製造ライン

マスク製造ライン

 

― 最後に、今後の夢やマスクへの想いなどをお聞かせください。

(幾竹)液晶については経験があるので、ここをこうすればこうなるという想定ができるのですが、マスクの経験は1年で、まだまだ勉強が必要です。知見のある方にノウハウを教わりたいですし、マスクの生産に携わっている他社の方々とも交流を深める機会があればと感じています。そこで得た知識を応用し、お客様にもっと喜んでもらえるマスクを作ることで、社会貢献を果たしたいと思っています。

 (野村)社内外で話題に上ることも多いので、緊張が解けず、マスクの装置や耳ひもが夢に出てくるほどです(笑)。しかし、多くのお客様にご愛用いただけていると思うと、担当して本当に良かったと思います。シャープのマスクに多くの反響をいただいたのは、国産のマスクだったことも要因だと思います。やはり、日本製だからこそ高い品質のものを作らないといけない。これからも徹底的な品質改善に努めたいと思います。

取材中の野村さん・幾竹さん

 
― ありがとうございました。


取材中に「マスクの表と裏が逆ですよ」と指摘を受けました。マスクを生産している企業の社員として恥ずかしい限りですが、その違いにすぐに気付けるのは、常にマスクのことを考えているからですね。こうしたマスクに対する真剣な思いは、今回取材したマネージャーだけでなく現場の一般社員も同じです。

次回は、三重工場の一般社員にマスクへの熱い想いを聞きます。今回書ききれなかった部材調達などの話も紹介します。ご期待ください。

※  記載されている内容は、掲載日時点の情報です。

「『マスクを作ってくれてありがとう』との感謝の言葉があったから・・・」 マスク作りへの苦労や挑戦、想いなど担当者の本音を聞きました!―<マスクで社会貢献⑥>―

 

(広報担当:H)

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■製品情報:不織布マスク
■ECサイト:COCORO STORE(マスク抽選販売 / マスク定期便)
■ニュースリリース:
 マスク生産開始のお知らせ
 個人のお客様向け ECサイトでのマスク販売開始のお知らせ
 個人のお客様向け「不織布マスク(小さめサイズ)」を発売
 「マスク定期便サービス」を開始
 三重県多気町のふるさと納税の返礼品に「不織布マスク」が採用
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 マスク販売1周年記念! 『巣ごもり生活応援キャンペーン』を開始
 「不織布マスク(抗菌タイプ)」を発売
■受賞表彰:新型コロナウイルス感染症流行に際し日本社会に貢献した企業として経済産業省より表彰

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