SHARP Blog

腕には時計、眼にはメガネ、“耳にも仕事道具を”
メディカルリスニングプラグ開発者の想いを聞きました

わっしょい!マイティー・マドレーヌです!

先日ご紹介した、耳あな型補聴器「メディカルリスニングプラグ」の
グラフィックレコーディングですが、そのグラレコを制作する過程で行った開発者インタビューにひっそりと潜入していました!その模様を今回はご紹介いたします!

↓ ↓前回記事↓ ↓

■スマホ開発の精鋭チームが、補聴器の開発に

オンラインインタビューの模様。写真左(左から通信事業本部 井上、田嶋、濱田)
写真右(インタビュアー ブランド担当 大嶋)

(大嶋)まずは製品のコンセプトを教えてください。

(井上)
加齢によって耳が聞こえづらくなるというのは当たり前で、多くが40代から聞こえづらくなるといわれています。一方、新型ウイルスの影響で、オンライン会議や、マスク、パーテーションを通した会話が多くなり、さらに聞こえづらい環境が続いています。
視力が落ちたら、メガネをかけますよね。『耳に補聴器をつけること』も、メガネをかけることのように、もう少し当たり前になってもいいのではないかと感じていました。

補聴器の普及率はたいへん低いのですが、理由が大きく3つあると考えられています。

一つ目は

『補聴器にかける手間』

何度もお店に足を運び、繰り返し調整しなければなりません。

2つ目は

『価格』

価格の相場は片耳で15万~50万円と非常に高額です。

3つ目は

『見た目』

難聴だと知られたくない、など、気持ちの部分でハードルとなっています。

このような3つの理由を解消して、もっとたくさんの人に使ってもらいたいというコンセプトで開発しました。
一つ目は、リモートフィットサービス。スマホを通じて、リモートで調整を受けられるようにしました。
二つ目は、左右セット+充電器で10万円を切る価格。使ったことがない人でも試してみようかなと思える価格設定にしました。
三つ目は、今までは補聴器は隠すものという概念がありましたが、あえて『見せる』という考え方に、シフトチェンジし、流行りのワイレスイヤホンタイプで、抵抗感をなくし、ビジネスシーンにもマッチするような落ち着いたマット仕上げにしました。

(大嶋)リーズナブルな価格を実現できたのはなぜすか?

(井上)
理由は2つあります。従来、補聴器の料金には、販売店での調整費用が含まれていました。補聴器の調整は人によって回数が異なり、何度も必要な人もいるし、一度でほぼ終わる人もいます。その部分をリモートにすることで、店舗運営のコスト、つまり人件費を抑えました。また長期間のフィッティングサービスをオプションにすることで、必要な人が必要な分だけ購入いただける、という仕組みにしました。
我々は今までスマホを開発していました。スマホでは本体とサービスを分けるのが当たり前です。スマホのビジネスモデルを補聴器に当てはめてみたというわけです。

(大嶋)
スマートフォンの開発に携わっていたからこその着眼点なわけですね。

目にはメガネを、耳には補聴器を


(大嶋)次にメディカルリスニングプラグのターゲットユーザーを教えていただけますか?

(濱田)
メディカルリスニングプラグは、主に40代、50代のビジネスマンを対象に開発してきました。腕には時計を、眼にはメガネを、というキャッチフレーズがありますが、『耳にも補聴器を』という想いがありました。

(大嶋)なぜ40代、50代にターゲットユーザーを絞ったのですか?

(井上)
周りの活躍世代の方たちで聴こえにくく困っている方々がいらっしゃって、助けたい、お困りごとを解決したい、と思ったのが最初でした。

(大嶋)
身近なところから対象を絞っていって、調査を進めたということですね。

■医療機器として、より高度な安全性を追求


(大嶋)シャープが開発した補聴器だからこその強みと、開発の苦労を教えてください。

(田嶋)
補聴器の開発に必要な技術は、スマホのそれに似ているところがありました。音を出すことや、小型化、軽量化、省電力化に従来から取り組んでいました。こういったシャープのスマホ開発の技術はまさに、補聴器にフィットしましたし、また、AIoTクラウドの技術もシャープが得意としていて、うまく補聴器とマッチしているかと思います。

苦労した点は、医療機器としてより高度な安全性と有効性を保つことです。品質管理システムを構築して、第三者機関に申請し、医療機器製造の資格を取得しました。

また、新しいビジネスモデルであり、参考にできるものがなかったため、開発も手探りとなりました。幾度とない変更を繰り返していく必要がありましたので、そこは苦労しましたね。

(濱田)
少人数で開発したことに加えて、医療機器という新しい分野へのチャレンジでもあり、商品企画は企画だけをやっていればいいのではない、技術者は技術だけやっていればいいのではない、それぞれの分野でタッグを組んで協力して取り組んでいかないと成立しないので、そこが大変でした。

(井上)
新しいビジネスモデルの創出という点で、今までのスマホの開発とは違い、ビジネスパートナーがたくさんいます。その方たちと一から仕組みを作り上げていくのが大変でした。またその常識を覆したビジネスモデルを、社内で理解してもらう作業も、ものすごく大変でした。

■常識を覆した先にあるもの


(大嶋)開発していく中でシャープのBe Original.を感じた瞬間があれば教えてください。

(井上)
「補聴器はこういうもの」という常識が社会にあり、当初は我々もその常識にとらわれていました。その常識を、シャープがやったらどうなるんだ。まずは「常識を覆そう」というところから始めました。アプリ、サービス、デザインもそうですが、常識を覆すことで、広くユーザーに使ってもらえる、シャープ独自の目線で執念をもって作り上げることができたと思います。

(濱田)
COCORO LISTENINGというスマートフォンのアプリを使いますが、Bluetoothを通しての補聴器とスマホの親和性、アプリのUIや使い勝手の良さというのは、スマホを知り尽くしているシャープだからこそできたと考えております。

(田嶋)
ハードウェアの補聴器、ソフトウェアのアプリ、そしてクラウドサービスを同時に開発、商品化できるところが過去のノウハウを生かせるシャープの強みだと思います。

(大嶋)
スマートフォンを開発しているシャープだからこそ、生まれた商品だなと改めて感じました!

(大嶋)みなさんが考える理想の未来についてお聞かせください。

(井上)
ニューノーマルな世界へとあっという間に変わりました。昔の普通が普通じゃなくなりましたが、今後は、「IT技術」で昔あった普通の生活を取り戻せたらと思っています。

(濱田)
現在補聴器の利用率はたいへん低いです。一方で、メガネには丸や四角、サングラスなどいろんなスタイルがあります。補聴器も同じように、デザインや用途など、お客様のニーズに合わせたラインナップを取り揃え、普及率がアップしたらいいなと思います。

(田嶋)
補聴器に対する誤解や偏見がなくなって、難聴の方が場所や時間にとらわれず、会話や聴くことを楽しめるような社会になればいいなと思っています。

■『聴くことはこんなに楽しい』をめざす


(大嶋)最後に、実際に製品をご利用いただくユーザーへの想いを教えてください。

(井上)
ニューノーマルな世の中、聴こえでお困りの方はたくさんいらっしゃいます。今回、手に取りやすい補聴器をつくりましたので、是非、多くの方に使っていただき、ビジネスももちろんですが、生活の質の向上に役立てていただければと思います。

(濱田)
スタイリッシュなワイヤレスイヤホンスタイルにしましたので、さまざまなシーンで補聴器のある生活を楽しんでいただけたらなと思います。

(田嶋)
メディカルリスニングプラグは補聴器としてだけでなく、Bluetoothイヤホンとしてもお使いいただけます。今まで不便を感じていた難聴の方々が、聞くことってこんなに楽しいんだと思えるような機能、サービスを提案し続けたいと思っています。

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いかがでしたか?
開発者のアツイ想いがビシビシ伝わってきました!少数精鋭での新規参入は、たくさんの乗り越えなければならない壁がありましたが、無事販売開始へと至りました。
新しい一歩を踏み出すシャープにぜひご期待ください!

この開発者インタビューの内容をグラレコにしたものはこちらです!


【関連リンク】

・ 耳あな型補聴器「メディカルリスニングプラグ」 製品サイト
 https://jp.sharp/mlp/
・プレスリリース
 https://corporate.jp.sharp/news/210831-b.html


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